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50件の記事介護報酬は3年に1度しか動かない——17団体が「毎年の物価・賃金対応」を要望|医療保険の訪問看護には、すでに2段階の設計がある
介護の事業者・専門職17団体が2026年10月6日、木原稔官房長官に要望書を提出した。基本報酬の十分な引き上げに加え、毎年の賃金改善と、物価動向を踏まえた毎年の対応を求めている。介護報酬は原則3年に1度の改定だが、2026年6月には期中改定が行われ、3年サイクルはすでに一度崩れた。一方、医療保険の訪問看護には、物価対応料を2027年6月に倍額にする段階設計が先に入っている。訪問看護は、二つの改定サイクルの両方に乗っている。
介護費12.2兆円、訪問看護は7.5%増で全体の3倍の伸び——総額の4%で増加分の12%を占める|令和7年度介護給付費等実態統計
厚生労働省が9月30日に公表した令和7年度の介護給付費等実態統計で、介護保険の費用額は12兆2,208億円、前年度から2.4%増えた。介護予防訪問看護を含む訪問看護は約4,870億円で7.5%増。内訳は訪問看護が4,354億円で7.1%増、介護予防訪問看護が516億円で11.2%増だった。総額の約4%にすぎないが、1年間の増加分の約12%を訪問看護が占めている。報道は特養や通所の規模を伝えたが、伸びの側から見ると別の姿が出てくる。
2027年度改定の「基本的な視点」が出た——AIなど介護テクの評価を居宅系へ、ただし例示に訪問看護はない|5つの視点を訪問看護から読む
厚生労働省は2026年9月30日の介護給付費分科会に、令和9年度介護報酬改定に向けた「基本的な視点(案)」を示しました。5つの視点のうち4番目で、「居宅系サービスも含めたAI等の介護テクノロジーの活用」が明記されています。これまで施設中心だった生産性向上の評価が、在宅へ広がる方向です。ただし資料に訪問看護という語はなく、8月に例示されたのは訪問介護、通所介護、居宅介護支援でした。訪問看護の立場から5つの視点を読みます。
訪問看護ステーションの「立ち上げ失敗」はどこで起きるか——開設した年度のうちに廃止した87か所、京都は19か所、常勤換算2.5人の壁|2026年4月時点の全国データ
全国訪問看護事業協会の令和8年度調査によると、開設したその年度のうちに廃止した訪問看護ステーションは87か所で、前年の69か所から増えました。京都府は19か所で最多です。新規開設2,428か所に対し、廃止は960か所、休止は328か所。立ち上げの失敗は、多くの場合、常勤換算2.5人という人員基準の線上で起きています。数字と法令から、どこでつまずくのかを整理します。
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)は、必要な賃上げ額から逆算して区分を選ぶ——賃金改善算定基礎額・医療保険の利用者割合・【A】の計算手順
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)は、(Ⅰ)だけでは賃上げの原資が足りないステーションのための上乗せです。区分は自由に選ぶのではなく、職員の月額賃金総額から出す「賃金改善算定基礎額」と医療保険の利用者割合をもとに【A】を計算し、別表2に当てはめて決めます。届出手続き通知に沿って、計算の材料・式・計算例・2027年5月までの上限・区分の見直しを整理します。
訪問看護の質を測る物差しがないなかで、ISO9001が使われ始めた——6社18事業所が団体認証
訪問看護分野で国内初となるISO9001の団体認証が、2025年12月に取得されました。6社18事業所が統一した品質マネジメント体制のもとで一括認証を受けています。日本看護協会の実態調査では、ケアの質の評価方法として「定まった評価指標はない」が41.8%で最多でした。制度が物差しを用意できていないなかで、民間の汎用規格が使われ始めたという構図です。
10月1日から変わった4つの制度——カスハラ対策が義務化、106万円の壁が撤廃、最低賃金は全国平均1,177円
2026年10月1日、訪問看護ステーションの運営に関わる制度が複数変わりました。カスタマーハラスメント対策が全事業主の義務になり、猶予期間はありません。短時間労働者の社会保険加入要件から月額8.8万円という賃金要件が撤廃され、いわゆる106万円の壁がなくなりました。最低賃金は全国加重平均で1,177円、56円の引き上げです。何がどう変わったかを整理します。
訪問看護の処遇改善加算、「誓約」で始めた事業所が3月末までにやること——賃金改善・実績報告・返還を避ける確認リスト
訪問看護の処遇改善加算は、令和8年度に限り、要件を「誓約」で満たしたことにして算定を始められます。誓約した取組の期限は令和9年3月末、結果は令和9年7月31日(通常の場合)が期日の実績報告書で報告します。厚生労働省の通知とQ&Aをもとに、特例要件・加算Ⅳに準ずる要件それぞれでやること、毎月の賃金改善、返還を避けるための確認を整理しました。
処遇改善加算、訪問看護の算定率は67.6%——3割超が取っていない|居宅介護支援76.0%、訪問リハ59.8%
厚生労働省が8月末の介護給付費分科会に、2026年度改定で拡充した処遇改善加算の取得状況を報告しました。訪問看護の算定率は2026年6月時点で67.6%。新たに対象となった4サービスのうち、居宅介護支援は76.0%、介護予防支援は76.9%、訪問リハビリテーションは59.8%です。訪問看護の3割超が、初めて設けられた加算を取っていません。
【速報】令和8年版厚生労働白書、テーマは「現場で働くこと」——取材事例8件に訪問看護事業所はゼロ|介護の赤字は37.5%、病院は58.0%
2026年9月29日、令和8年版厚生労働白書が公表されました。第1部のテーマは「これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」。人材と生産性向上が主題です。2024年度の赤字割合は病院58.0%、介護サービス37.5%、障害福祉43.6%。ただし第2章で紹介された取材事例8件に、訪問看護事業所の事例は含まれていません。白書が書いたことと、書かなかったことを整理します。
ホスピス型住宅の大手2社に報酬返還の指導——厚労省が7月に社長を呼び自主点検を要求、1月からの全国調査を受けて
2026年9月30日、共同通信が報じました。ホスピス型有料老人ホームを運営する東証プライム上場の大手2社に対し、厚生労働省が入居者への訪問看護で不適切な診療報酬の請求があったとして、健康保険法に基づき報酬を返還するよう指導したという内容です。厚労省は7月に2社の社長を呼び、自主点検と返還を求めたとされています。2026年1月から実施している全国調査の結果です。
カスハラを理由に訪問を断れるか——「正当な理由」の明確化が2027年度改定の論点に、審議会では慎重論も
厚生労働省が8月末の介護給付費分科会で、カスハラを理由としたサービス提供拒否のあり方を論点として示しました。運営基準は「正当な理由」なく提供を拒んではならないと定めていますが、その解釈が明確でないため、事業所も保険者も判断に迷います。国として明示すべきという意見がある一方、安易な契約解除につながることへの慎重論も出ています。訪問看護の立場から論点を整理します。
指定は受けているのに動いていない訪問看護ステーションが560か所——休止率は三重10.7%・神奈川1.2%で約9倍の開き|47都道府県データ
訪問看護ステーションの指定を受けながら動いていない「休止」が、全国で560か所あります。指定19,314か所の2.9%で、前年の479か所から81か所増えました。休止率は三重県の10.7%から神奈川県の1.2%まで約9倍の開きがあり、地方ブロックでも北海道・東北5.5%と中国2.3%で2倍以上の差があります。全国訪問看護事業協会の令和7年度調査をもとに47都道府県を整理しました。
看護職員3.5〜4人未満の事業所が最も赤字——44.7%、3人未満の41.2%より高い|管理者を分母に含めるということ
日本看護協会の実態調査で、2024年度の収支差率が赤字だった訪問看護事業所は27.2%。規模別に見ると、最も赤字が多かったのは看護職員3.5人以上4人未満の層で44.7%だった。3人未満の41.2%より高い。人を増やしたのに赤字が増えるという逆転が起きている。管理者が訪問に出るかどうかという問題が、この層に最も強く効く。日本看護協会の実態調査で、2024年度の収支差率が赤字だった訪問看護事業所は27.2%。規模別に見ると、最も赤字が多かったのは看護職員3.5人以上4人未満の層で44.7%だった。3人未満の41.2%より高い。人を増やしたのに赤字が増えるという逆転が起きている。管理者が訪問に出るかどうかという問題が、この層に最も強く効く。
介護情報基盤、運用開始が決まったのは1,545市町村で88.7%——残る196市町村は調整中、全国運用は2028年4月
厚生労働省が9月18日の社会保障審議会介護保険部会で、介護情報基盤の準備状況を報告しました。2028年4月の全国本格運用までに運用開始時期が確定しているのは1,545市町村、全体の88.7%です。令和8年度中に416市町村、令和9年度中に1,129市町村が始まります。残る196市町村は調整中です。複数の市町村にまたがって訪問する事業所にとって、開始時期の差は実務に直結します。
訪問看護の離職率には全国統計がない——病院は11.0%、県の調査では常勤で訪問看護15.9%に対し病院13.9%
病院の看護職員の離職率は、毎年公表される。2024年度は正規雇用で11.0%だった。全国8,000を超える病院を対象にした調査で、都道府県別や病床規模別の内訳まで出る。訪問看護ステーションには、それがない。県が実施した調査では、常勤看護職員の離職率が訪問看護15.9%、病院13.9%という数字があるが、全国規模で継続的に測った統計は見当たらない。業界サイトに流通する「約15%」にも出典がない。
朝ドラ『風、薫る』の派出看護婦会は、訪問看護ステーションの前身だった——127年前に家庭へ看護師を送る仕組みがあった
NHK連続テレビ小説『風、薫る』が描く派出看護婦会は、病院から独立した組織が家庭に看護師を派遣する仕組みでした。訪問看護ステーションの前身と位置づけられています。大関和が『派出看護婦心得』を出したのは1899年。127年前です。この仕組みはなぜ消え、なぜ1992年まで訪問看護の制度化を待つことになったのか。そして、当時の課題のいくつかは、いまも残っています。
住宅型ホームの登録基準案が出た——併設事業所の利用を入居条件にすることが認められなくなる
厚生労働省は9月18日の検討会で、住宅型有料老人ホームに導入する登録制の登録基準案を示しました。人員配置は原則として夜間を除き職員を常駐させ、夜間はオンコール体制を義務化する内容です。訪問看護に直接関わるのは囲い込み対策のほうで、併設・隣接や同一・関連法人、提携関係にある事業所の利用を入居の条件とすること、かかりつけ医やケアマネジャーの変更を強要することを認めない案が示されました。年内の政省令公布を目指しています。
訪問看護遠隔診療補助料は月1回2,650円——地域要件なしで新設、介護保険側は月1回314単位
2026年度の診療報酬改定で、訪問看護遠隔診療補助料が新設されました。医師がオンラインで診療し、看護師が利用者宅で同席する形を、訪問看護ステーション側が算定できます。月1回2,650円。改定前は、診療報酬上の評価がへき地診療所等の医師側に限られ、ステーション側の報酬はありませんでした。定期訪問のなかで行う場合は算定できず、介護保険の利用者には別の取扱いが疑義解釈で示されています。線引きを整理します。
看護師は減っていない、2024年は過去最多の136万人——減っているのは准看護師で、ピークから40.8%減
看護師は年々減っているのか。厚生労働省の衛生行政報告例で確認すると、2024年末の就業看護師は1,363,142人で過去最多です。減っているのは准看護師で、2002年の393,413人から233,022人へ、40.8%減りました。看護師と准看護師を合わせた総数は増えていますが、その伸びは2020年以降ほとんど止まっています。数字を追います。
訪問看護ステーションの廃止率は全国5.1%——奈良・福岡6.9%、愛媛と長崎は廃止ゼロ|2026年4月時点の47都道府県データ
全国訪問看護事業協会の令和8年度調査(2026年4月1日現在)をもとに、都道府県別の廃止率を整理。2025年度は新規2,428か所・廃止960か所で、全国の廃止率は2年続けて5.1%。母数200か所以上の県では奈良・福岡の6.9%から愛媛の0%まで開きがあり、前年度に高かった鹿児島・千葉は大きく下がりました。開業前に自分の県の2年分の数字を確認するための記事です。
乳幼児加算が1,400円になった——小児の訪問看護利用者は8年で2.7倍、受け入れる事業所は4割台(2016年調査)
2026年度の診療報酬改定で、訪問看護基本療養費の乳幼児加算のうち超重症児等以外の区分が1,300円から1,400円に引き上げられました。医療保険で訪問看護ステーションを利用する小児は、2017年の1万4,415人から2025年には3万8,589人(速報値)へ増えています。一方、2016年の実績を尋ねた調査では、小児の訪問看護を実施している事業所は4割台でした。100円の引き上げが何を変えるのか、受け入れが進まない理由と合わせて整理します。
障害福祉の費用が1年で12.1%増えた——新規事業所だけ報酬を下げる手法が使われた|訪問看護に来るとすれば、どこか
2024年度の障害福祉サービス等の総費用額は約4.2兆円で、前年度比12.1%増でした。厚生労働省はこれを「急伸」と位置づけています。2026年6月には期中の報酬改定が行われ、収支差率が高く事業所数が伸びているサービスについて、新規に指定を受ける事業所に限って基本報酬を引き下げました。訪問看護はこの費用に含まれませんが、使われた判断基準は訪問看護にも当てはまります。
訪問看護のオンコール待機が労働時間と認められた判決がある——割増賃金990万円、付加金783万円
訪問看護ステーションの看護師が、緊急対応のための待機時間も労働時間にあたるとして割増賃金を求めた裁判があります。横浜地裁は待機時間を労働時間と認め、割増賃金990万7,484円と付加金783万2,119円の支払いを命じました。待機手当は1回平均2,233円。手当を払っていれば足りるとは限りません。何が判断を分けたのかを整理します。
限度額を超えて訪問した事業所が12.1%——回数を増やしたいときに確認する順番
日本看護協会の調査で、介護保険の限度額を超えて、利用者の自己負担か事業所の持ち出しで訪問した事業所が12.1%ありました。651事業所のうち79です。訪問の回数を増やしたいとき、限度額の残りがないと言われることがあります。そのときに確認する順番を整理します。
訪問看護のサテライト、距離の上限は本体から20〜30分——「人員は合算でよい」とは限らない|移動が長い地域ほど置きにくいという矛盾
サテライトは、新たな指定を受けずに訪問看護の拠点を増やせる仕組みです。本体と一体で運営する出張所で、人員基準は本体と合わせて満たせばよい、と説明されることが多くあります。ただし自治体の運用を見ると、合算を認める東京都に対し、和歌山県は本体単独で基準を満たすことを求めています。距離の上限も20〜30分程度に設定されています。移動の長さを解消したい地域ほど、この距離の条件に引っかかります。
全国370事業所の学研グループが訪問看護に参入——「エリアホスピス」は、併設型が締め付けられる時代にどう成立するか
学研ホールディングスのグループ会社で、全国370以上の介護事業所を運営するメディカル・ケア・サービスが、2026年2月に初の訪問看護ステーションを東京・大森に開いた。掲げたのは「エリアホスピス」。自宅での看取りを支え、難しくなれば近隣の自社の介護付有料老人ホームへ移ってもらい、同じ職員が最後まで関わる。高齢者住宅に訪問看護を併設するモデルへの規制が強まるなかで、大手はどんな形で入ってきたのか。
訪問看護の個別指導、対象は1件当たり平均額の上位1%——単価が高いこと自体が選定理由になる
訪問看護療養費請求書の1件当たり平均額が高い事業所を、高い順に選んで個別指導する。そういう仕組みが2025年度から動いている。選定基準は二つで、都道府県の平均額を超えていること、そしてステーション総数の上位おおむね1%に入っていること。不正を疑われたからではなく、単価が高いという理由で指導の対象になる。広域展開する事業者には共同指導という別の枠組みもある。
訪問看護の27.2%が赤字、12.1%が持ち出しで訪問している——日本看護協会の実態調査651事業所|特別地域加算の算定は2.9%
日本看護協会が「令和9年度介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」の報告書(2026年3月付)を公表しています。651事業所の回答です。2024年度の収支差率は27.2%が赤字。介護保険の利用限度額を超え、利用者負担か事業所の持ち出しで訪問したケースがあった事業所は12.1%。特別地域訪問看護加算を算定しているのは2.9%。9月16日の分科会で訪問看護の二団体が示した要望と、重なる論点が並んでいます。
訪問看護のWeb掲載義務は3つある——介護保険側の期限は2025年4月に切れている|最後の一つ、医療情報連携加算の経過措置も9月30日で終了
2026年9月30日は、訪問看護医療情報連携加算に関するウェブサイト掲載の経過措置が終わった日です。ただし、訪問看護のWeb掲載義務はこれだけではありません。医療保険の書面掲示事項は2025年5月31日で、介護保険の重要事項は2025年3月31日で、それぞれ経過措置が終了しています。訪問看護は医療保険と介護保険の両方にまたがるため、確認すべき期限が三つあります。9月30日を入口に、過ぎた二つも合わせて点検するための整理です。
訪問看護の番が来た——9月16日、2団体が求めたのは「賃金改善分を本体報酬へ」|2027年度改定の意見交換会が終了、次は12月
2026年9月16日、第267回介護給付費分科会が開かれ、3回にわたる関係団体等意見交換会が終わりました。最終回のテーマは医療系サービスと中山間・人口減少地域。日本訪問看護財団と全国訪問看護事業協会は、全地域で24時間365日の訪問看護を提供する基盤の強化を要望しています。柱は、賃金改善分を本体報酬に組み込むこと、特別地域・中山間地域加算の加算率の見直し、そして初回の夜間帯の緊急訪問に夜間等の加算が算定できない要件の見直しでした。
訪問看護の加算一覧【2026年版】|医療保険・介護保険の主な加算と算定要件、6月改定の変更点
訪問看護の加算を医療保険(訪問看護療養費)と介護保険(訪問看護費)に分けて一覧化。金額・単位、主な要件、2026年6月臨時改定で新設・見直しされた加算(処遇改善加算1.8%、医療情報連携加算、複数名・難病等複数回の人数別評価、特別地域加算の拡充、機能強化型4)を、実際に運営する編集部が整理しました。取りこぼしを点検するための基準表です。
訪問看護ステーションへの支給は1施設22万8,000円——窓口が都道府県ごとに違い、受け取り損ねが起きている|賃上げ・物価上昇支援事業
令和7年度の医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業で、訪問看護ステーションへの支給額は1施設あたり22万8,000円と定められました。要件は訪問看護ベースアップ評価料の届出と診療報酬請求の実績です。ただし実施主体は都道府県で、受付期間も窓口も自治体ごとに異なります。東京都は8月7日で締め切り、介護保険の指定を受けたステーションの物価支援は別事業の対象という注記も付いていました。制度の中身と、いま確認しておくべきことを整理します。
訪問看護物価対応料は月初日60円、2日目以降20円——月8回訪問で1人あたり月200円|2027年6月に倍額という段階設計が意味するもの
2026年度診療報酬改定で、訪問看護物価対応料が新設された。月の初日の訪問で60円、2日目以降の訪問で20円。編集部の試算では、月8回訪問する利用者1人につき月200円である。ナフサが前年比65%高、医薬品の限定出荷が971品目という環境に対して、この金額をどう見るか。ただし注目すべきは額ではなく、2027年6月に所定額の200%へ引き上げるという段階設計のほうにある。
特定行為研修の修了者は11,840人、目標10万人に対して12%——訪問看護で進まない三つの壁|加算はあるのに算定できない構造
看護師の特定行為研修の修了者は11,840人。政府は2025年までに10万人以上の養成を掲げていたが、達成率は約12%にとどまる。訪問看護に絞ると、事情はさらに込み入っている。人員規模が小さくて研修に出せない、修了しても実施に至らない、そして加算はあるのに医師が手順書を出さなければ算定できない。三つの壁を整理し、2027年度改定の議論にどうつながるかを考える。
インフルエンザの流行入りが去年より5週間早い——訪問看護が9月から感染対策を始める理由|1999年以降で2番目の早さ
インフルエンザが8月に流行入りしました。全国の定点当たり報告数が1.11となり、流行開始の目安の1.00を超えています。1999年以降では2009年に次いで2番目の早さで、去年より5週間ほど早い。訪問看護は1日に何軒もの家に入る仕事です。まだ暑いこの時期に、何を始めておくといいのか。訪問の順番、車の中の使い方、体調が悪いときの判断まで、今日からできることを書きます。
看護師の基本給は12年で5,868円しか上がっていない——増えたのは手当|訪問看護は、その構造の最先端にいる
日本看護協会の調査によると、病院に勤務する看護師の基本給月額は2012年から2024年の12年間で5,868円、約2.3%しか増えていない。一方で税込給与総額は約8.5%増えた。上がったのは手当である。訪問看護の給与は、もともと訪問件数とオンコールの手当で積み上がる構造だ。基本給が動かないまま手当で組み立てる給与が、看護師のキャリアにどう効くのかを考える。
円153円、医薬品の限定出荷966品目、中東の原油高——世界情勢は4つの経路で訪問看護に届いている|公定価格の業界が値上げできないということ
為替は153円台から156円台、中東情勢を受けて原油は高止まり。医薬品は厚生労働省の8月の集計で限定出荷966品目、供給停止889品目にのぼる。訪問看護は輸出も輸入もしない業種だが、世界情勢は確実に届いている。物品の価格、薬の入手、燃料と移動、そして人材。4つの経路を整理し、公定価格という仕組みのなかで事業所に何ができるのかを考える。
2027年度改定の意見交換会が始まった——訪問看護の番は第3回、12月には方向性が固まる|訪問介護が先に出した論点が、そのまま返ってくる
9月10日、介護給付費分科会で2027年度改定に向けた関係団体等意見交換会の1回目が開かれた。3回に分けて行われ、1回目は居住系・施設系・医療系を除く介護系居宅サービス。訪問看護は第3回にあたる第267回に割り当てられ、同回は9月16日に開かれた。1回目で訪問介護の団体が示した論点は、地域を面的に支える事業所と集合住宅中心の事業所では事業構造が違う、というものだった。訪問看護が同じ問いを受けるのは確実だ。10月から12月が具体論の期間で、12月には方向性が固まる。改定の地図を整理する。
訪問看護の求人倍率4.54倍は全施設種別で最高——でも上がった理由は求人が増えたからではない|求職者が13万人から6万人台へ
訪問看護ステーションの求人倍率は4.54倍。病院の500床以上が1.93倍ですから、施設種別のなかで飛び抜けています。この数字は「訪問看護は引く手あまた」の根拠として使われがちですが、同じ調査の別の数字を見ると、求人数は横ばいで、求職者が13万人台から6万人台へ半減していました。倍率を押し上げたのは分母の減少です。数字の読み方と、事業所・看護師それぞれにとっての意味を整理します。
看護師が起業して管理者になるとき、最初にぶつかる5つの困難——10人の証言を分析した査読論文から|資金・事務・組織
訪問看護ステーションの経営課題を語る記事の多くは、コンサルティング会社が自社の経験則をもとに書いている。日本健康医学会雑誌に2026年に掲載された質的研究は、自ら起業して管理者になった看護師10名への面接から、困難を5カテゴリ、対処を7カテゴリ、望まれる支援を7カテゴリに整理した。手持ち資金を感覚で決めていた。共同経営者と経営感覚が合わなかった。任命した管理者の姿勢で依頼が途絶えた。研究が拾った証言を、廃止理由の統計と重ねて読む。
経過措置は9月30日で終了——訪問看護医療情報連携加算のウェブサイト掲載、10月1日以降の扱いと確認する5項目|未掲載のまま算定すると施設基準を満たさない
2026年6月に新設された訪問看護医療情報連携加算(月1回1,000円)は、ICTを用いた連携体制を掲示し、原則としてウェブサイトにも掲載することが施設基準です。ウェブサイト掲載には、5月31日時点で指定を受けていた事業所を対象に9月30日までの経過措置がありました。10月1日以降に未掲載のまま算定を続けると施設基準を満たさなくなります。届け出ている事業所が確認すべき5項目を短く整理します。
精神科訪問看護は、同一建物10人以上で「週」から「月」に数え方が変わった——一般の利用者と合算する新ルールと、GAFが届出要件になった意味|2026年6月改定
2026年6月の改定で、精神科訪問看護基本療養費の同一建物区分は5段階に細分化された。10人以上の建物では、算定の数え方そのものが週から月に切り替わる。しかも人数は精神科の利用者だけでなく、一般の訪問看護と包括型の利用者を合算して数える。グループホームや高齢者住宅を複数回るステーションでは、建物ごとに異なる数え方が同居する。GAFは機能強化型4の届出要件に組み込まれ、評価の記録が報酬に直結した。精神科特化型の事業モデルに何が起きているかを整理する。
ケアプランデータ連携システムは2027年1月に介護情報基盤へ統合——年額21,000円が無料になり専用ソフトも不要に|訪問看護が今から準備すること
ケアプランデータ連携システムが2027年1月を目途に介護情報基盤へ統合され、介護保険資格確認等WEBサービスへ移行します。専用ソフトは不要になり、年額21,000円の利用料もなくなる。ただし移行後も使う事業所は事前登録が要り、介護ソフトが標準仕様に対応していなければ連携できません。訪問看護ステーションが年内に確認しておくべき項目を、7月29日の厚生労働省通知をもとに整理します。
同一建物居住者への20分未満の訪問は算定できない、2時間未満の再訪問は合算——記録書への実施時間記載が算定を左右する|2026年度改定の短時間訪問ルール
2026年度診療報酬改定で、訪問看護記録書に実際の訪問開始時刻と終了時刻を記録することが求められるようになりました。同時に、同一建物居住者への訪問看護(訪問看護基本療養費(Ⅱ))では、適切な訪問時間は30分以上を標準とし、20分を下回る場合は算定できない取扱いが示されています。前回訪問から2時間未満で20分以上30分未満の訪問を行う場合は、原則として所要時間を合算して1回。記録した時間が、そのまま算定の可否を決めます。3つの数字の意味と、現場の運用で確認すべき点を整理します。
BCP研修は年1回45分で足りる——訪問看護ステーションでそのまま使える研修の型と、記録に残す3点|資料を作る前に決めること
BCPは策定して終わりではない。運営基準は研修と訓練の定期的な実施を求めており、実施した記録がなければ未実施と同じ扱いになる。しかし研修資料を一から作ろうとして止まっている事業所は多い。必要なのは分厚い資料ではなく、45分で回せる型と、記録に残すべき3点である。訪問看護ステーションでそのまま使える研修の構成と、実施記録の書き方を示す。
糖尿病の足は、年1回の観察では守れない——訪問看護が毎回の訪問で見る4か所と、気づかれない低血糖|在宅のフットケア
糖尿病診療ガイドライン2024は、足の定期観察を少なくとも年1回、ハイリスクの人にはさらに高頻度で行うことを推奨しています。でも在宅の高齢者は、視力が落ち、腰が曲がり、自分の足の裏を見られません。年1回の外来では足りない部分を、週1回や2回の訪問が引き受けることになります。毎回の訪問で必ず見る4か所、靴下を脱いでもらう声のかけ方、そして症状の出ない低血糖の見つけ方を、現場の順番で整理します。
機能強化型4は月初日9,030円、常勤4名から取れる——精神科訪問看護の実績を評価する新区分の要件と、1〜3との決定的な違い|2026年6月施行
2026年度診療報酬改定で、機能強化型訪問看護管理療養費に4が新設されました。月初日9,030円。精神科訪問看護で支援ニーズの高い利用者を受け入れ、24時間対応と地域連携の体制を整えたステーションを評価する区分です。1〜3と比べて何が違うのか。1・2との違いは、常勤看護師等4名以上という規模とターミナルケアの実績を問わない点で、この2点は3と同じです。3との違いは、精神障害の利用者への重点的な支援の実績と、地域の連携機関との連携を求める点にあります。要件を一覧で比較し、どの事業所が取りに行けるのかを整理します。
訪問看護師の年収は549万円——病院より高いのか、低いのか|日本看護協会調査で読む「夜勤手当のない給与」の中身と、オンコール1回2,233円の現実
訪問看護師の年収は平均549万8,716円。日本看護協会の2024年度調査の数字です。病院より高いという話も、夜勤がないから低いという話も、どちらも聞きます。どちらが本当なのでしょうか。基本給、手当、賞与、オンコール、時間外。給与明細の項目ごとに調査の数字を並べ、病院から訪問看護へ移るときに何が増えて何が減るのかを、私自身の経験も交えて整理します。2026年に入った処遇改善加算の話も含めます。
訪問看護の移動手段、車・自転車・バイクはどれが正解か——燃料費より重い「固定費と事故」の経済学|ガソリン170円と自転車青切符の時代に
ガソリンは補助金で170円に抑えられている。自転車には2026年4月から青切符が導入された。訪問看護は移動が業務の一部である以上、移動手段の選択は経営判断だ。ただし試算すると燃料費が収支に与える影響は小さい。重いのは車両の固定費と事故のリスクである。車・自転車・バイクを経済性と事故リスクの両面から比較し、事業所の立地と訪問密度に応じた選び方を整理する。
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