訪問看護には三つの入口があります。医師の指示書、ケアマネジャーのケアプラン、そして病院の退院支援室です。前二回で扱った二つと比べ、退院支援には固有の特徴があります。動き出しが早く、依頼される利用者の医療依存度が高いことです。入退院支援加算の要件により、病院は入院後3日もしくは7日以内に動き始めます。第三の入口の構造を整理します。
訪問看護は、医師の指示書とケアマネジャーのケアプランという二つの入口を通らなければ、介護保険の利用者に届きません。前回は医師会との関係を扱いました。今回はもう一方の入口、ケアマネジャーとの関係です。依頼先は固定化する、訪問看護師は怖いと思われることがある、そしてケアマネは医療を学びたがっている。公開資料と現役ケアマネの発信から、構造を整理します。
訪問看護ステーションの新規開設は年2,437件と過去最高を記録しました。参入の熱は高い一方で、開業には法人設立から指定申請まで独特の手続きがあり、順序を誤ると開業日は何か月も遅れます。人員基準2.5人の確保、事前協議、そして資金計画。相場として語られる「1,000万円」が本当に足りるのかを検証したうえで、着手から指定まで最短120日とされる道のりの全体像と急所を宮木が解説します。開業の成否は申請書を出す前にほぼ決まっています。
介護職員等処遇改善加算は2012年度の創設以来、一貫して訪問看護を対象外としてきました。「医療職中心のサービスであり、介護職の処遇改善という趣旨になじまない」という整理です。その構造が2026年6月、ついに転換しました。期中の臨時改定により、訪問看護にも加算率1.8%の処遇改善加算が新設されたのです。14年越しの転換が何を意味するのか。算定の要件と実務、医療保険側との二本立ての整理、そして残された課題を、宮木が解説します。
訪問看護の収支差率は、令和6年度で10.3%と、介護サービスのなかでも高い水準にあります。数字だけを見れば経営は容易に見えますが、現実には廃止や休止に至る事業所が後を絶ちません。収益性が高くても、経営が続くとは限らない。その分かれ目にあるのが「数字で経営できているか」です。稼働率、人件費率、加算算定率。看護師出身の経営者が避けがちな数字と向き合い、黒字で事業を続ける技術を、宮木が論じます。
看護師を一人採用するのに、80万円から125万円。訪問看護の経営者にとって、人材紹介会社に支払う手数料は、それほど重い負担になっています。人手が足りず、紹介会社を頼らざるをえない一方で、その手数料が、報酬で運営する事業所の利益を、静かに削っていきます。国も適正化に動き始めました。人材紹介手数料の問題の実態と、経営者が取るべき打開策を、宮木が論じます。
訪問看護の経営は、報酬だけで成り立つわけではありません。国や自治体は、事業所を支える制度を数多く用意しています。適切な加算、返済不要の補助金、有利な融資。知っていれば活用でき、知らなければ、その分だけ取りこぼしてしまう。「得する」というより、「知らないと損をする」制度です。訪問看護の経営者・事業者が活用できる主な制度を、加算、賃上げ支援、設備投資、資金繰り、人材確保という切り口で、整理してお届けします。
同じ訪問看護ステーションでも、都心で運営するのと地方で運営するのとでは、経営のあり方がまるで違います。都心は利用者が集まりやすい半面、家賃も人件費も高く、競合がひしめく。地方は利用者が少なく移動も長い一方、固定費は軽く、競合も少ない。需要、コスト、競合、人材、そして地域加算などの制度の面から、都心と地方の訪問看護経営の違いを、比較して整理します。開業や経営戦略を考える方に向けた分析です。
「地方は看護師が足りない」。多くの人がそう思っています。けれど、データは少し違う姿を映します。人口あたりの看護師数が最も多いのは高知県、最も少ないのは埼玉県。その差は2.1倍で、人口比で多いのは、意外にも地方でした。この看護師の地域偏在は、訪問看護と、地域で暮らす人が受けられる在宅医療に、深く影響します。偏在の実像と、経営への影響を、宮木がデータから読み解きます。
訪問看護の現場では、医師の往診を待つあいだに、利用者の状態が悪化し、入院に至ることがあります。この「医師を待つ時間」を越える制度が、特定行為研修です。手順書に基づいて、看護師が一定の医療行為を、医師の個別の指示を待たずに行える。訪問看護の高度化の切り札になりうる仕組みです。制度の中身、訪問看護での意義、担い手不足の現実、そして経営者が向き合うべき選択を論じます。
訪問看護ベースアップ評価料が、段階的に引き上げられています。利用者1人あたり月1回の単価は、780円から2026年6月に最大1,830円へ、そして2027年6月には最大2,880円へ。年間で見れば数百万円規模の賃上げ原資になります。さらに、この8月には令和7年度分の実績報告も控えています。制度の中身、金額の推移、8月の対応、そして原資の設計まで、経営者・管理者がいま確認すべきことを、宮木が整理します。
2026年6月の診療報酬改定で、高齢者向け住まいに併設・隣接する訪問看護への評価が大きく変わりました。同一敷地内も「同一建物」とみなし、人数と日数に応じて単価は逓減。さらに包括型訪問看護療養費が新設され、評価は「訪問1回」から「1日の合計時間」へと軸を移しました。医心館やサンウェルズの不正請求問題を背景にした適正化の全容を、独立系メディアの立場から整理してお届けします。
2025年12月の医療法改正で、2030年末までに電子カルテの普及率をほぼ100%にすることが法律に明記されました。国は標準型電子カルテを2026年度中に完成させ、全国の医療情報を一つの基盤でつなごうとしています。これは病院・診療所の話であり、訪問看護ステーションは「医療機関」ではありません。しかし、訪問看護はこの流れの外にはいられない——最大の受益者にも、取り残される側にもなりうるのです。その理由と、経営者が備えるべきことを論じます。
「良い看護をしていれば、利用者は自然に集まる」。訪問看護の経営で、これほど危険な誤解はない。訪問看護の利用者は、自分で事業所を探して申し込むことはほとんどなく、ケアマネジャーや病院を経由して利用が始まる。つまり、営業=挨拶回りをしなければ、利用者は来ない。廃止理由の上位が「利用者が少ない」であるというデータを踏まえ、なぜ営業が不可欠なのか、誰に何を伝えるべきかを、経営の視点から論じる。
最低賃金が毎年大きく上がる中、「賃上げの原資が出ない」という声は、訪問看護の現場でも切実です。そんな事業所を支える制度が、業務改善助成金です。賃金を引き上げ、あわせて生産性向上の設備を導入すると、その費用の一部(最大600万円)が助成されます。令和8年度は9月1日申請開始で、コースの再編や一般車両の対象外化など大きな変更がありました。制度の中身と、申請で失敗しないための要点を、HokanPress編集部が整理してお届けします。
訪問看護ステーションの廃止は過去最高の水準にある。だが、事業を「畳む」以外の道もある。「渡す」——M&Aによる事業承継だ。後継者不在の解決、人材確保力のある大手への傘下入り、譲渡益の獲得。廃業とは異なる出口である。訪問看護を含む譲渡で2億6,000万円という事例も動く一方、買い手が最初に見るのは「その事業所が属人化していないか」だ。承継という選択肢を、経営の視点から整理する。
2026年7月23日の介護給付費分科会で、人口減少地域向けの新枠組み「特定地域サービス」の線引き案が示された。基準は75歳以上人口密度5人/㎢未満など、該当は356市町村・全体の20.5%。2027年4月施行だ。だが訪問看護の経営者が直視すべきは別のところにある。配置基準の弾力化も、月額定額の包括評価も、対象として念頭に置かれたサービスに訪問看護は入っていない。この構造を、数字で読む。
精神科訪問看護への参入を2026年の規制強化局面を踏まえて解説。市場規模(公費800億円超)と適正化の流れ、参入に必要な従事者・指示書の要件、既存ステーションへの上乗せか特化型かの選択、機能強化型Type 4、参入リスクまで。
訪問看護には、静かに進行する危機がある。利用者はこの10年で約3倍に増えたのに、それを担う看護師は、看護師全体のわずか5%に満たない。2025年に必要とされる13万人に対し、現状は約6万人。しかも、訪問看護師は40代が7割を占め、高齢化が進んでいる。需要の急増、担い手の不足、そして高齢化。この三重の危機を、宮木が数字で直視する。10年後、誰が訪問看護を担うのか。
2026年7月、訪問看護に関わる見落とせないニュースがありました。中小企業庁が、資金繰り支援制度「セーフティネット保証5号」の対象業種に、訪問看護ステーションを含む「看護業」を指定したのです。中東情勢の影響を踏まえた臨時の指定で、売上が減少した事業者は、別枠で最大2億8千万円の信用保証を受けられます。制度の中身、対象となる要件、そして活かし方までを、HokanPress編集部が整理してお届けします。
訪問看護ステーションは増え続けています。それなのに、廃業する事業所も過去最高の水準です。2024年度の廃止は886件で、前年から約26%増えました。需要は高まっているはずなのに、なぜこれほど潰れるのでしょうか。看護師2.5人という人員基準の壁、採用難と離職の悪循環、利用者が集まらない現実、資金繰りと経営ノウハウの不足——訪問看護が廃業に至る原因を、HokanPress編集部が整理してお届けします。
訪問看護をめぐって、根深い論争が続いている。「訪問看護」を掲げながら、実態はリハビリが主体になっている事業所をどう扱うか、という問題だ。2024年度改定で理学療法士等の訪問に「3つの減算」が導入され、2026年度改定でも見直しが続く。リハビリ職側からは影響への懸念も強い。セラピスト訪問の増加という構造と、報酬改定が迫る事業モデルの転換を、経営の視点から直視する。
在宅を支える両輪、訪問看護と訪問介護が、いま正反対の方向へ動いている。訪問看護は稼働数18,743件・15年連続増、新規開設は過去最高の2,487件。一方、訪問介護は2025年の倒産が91件と突出し、空白地帯は100自治体を超えた。だが訪問看護もまた、廃止・休止が過去最高を更新している。この非対称が訪問看護の経営に何を意味するのか、検証可能なデータで対比し直視する。
訪問看護ステーションへの実地指導(運営指導)は、近年厳格化の傾向にあります。2026年6月改定で「適正な手続きの確保」が明確に義務化され、サンウェルズ事件以降の業界全体の意識変化もあり、実地指導への対応力が経営の生命線となっています。指摘されやすい7つの項目と整備すべき体制を率直に整理しました。
訪問看護ステーションを含む全介護事業所は、2024年4月からBCP(事業継続計画)策定が義務化されました。2026年6月の通知「梅雨期及び台風期における防災態勢の強化について」も発出され、災害対策の実効性が改めて問われています。訪問看護のBCP策定の実務ポイントを整理しました。
日銀は2026年6月15-16日の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げる見通しと複数のメディアが報じています。約31年ぶりの1.0%水準は、訪問看護経営にも明確な影響を持ちます。借入金利の上昇、物件賃料、看護師の生活、物価高騰——5つの波及効果と経営者の対応を、10年余り運営してきた立場から整理しました。
訪問看護師のオンコール手当は、業界の一般的な相場として1回3,000円〜6,000円、夜間出動時は5,000円〜15,000円が追加されるとされます。月の担当回数や手当水準は事業所により大きく異なり、看護師の離職要因として上位に挙がる構造的な問題です。HokanPress編集部が、業界の実態と経営者が見直すべき体制を整理しました。
2026年6月1日施行の診療報酬改定から3日目を迎えました。複数の新設加算、変更された加算、見直された区分が一斉に動き始める中で、経営者・管理者として算定漏れを防ぐためのチェックリストが必須となります。
訪問看護ステーション経営において、機能強化型訪問看護管理療養費の取得は最重要の経営戦略です。Type 1の月13,230円は通常型の約1.8倍。年間収益で看護師1名分以上の差が生まれます。10年余り経営してきた立場から、Type 1〜4の要件、取得までのロードマップ、よくある失敗パターンを整理しました。
厚生労働省は2026年5月8日、診療報酬改定に関する疑義解釈(その5)を公表した。包括型訪問看護療養費の人員配置基準、ベースアップ評価料の運用詳細が明確化され、6月1日施行に向けた最終確認が進んでいる。経営者として今すぐ押さえるべき変更点と、現場運用への影響を整理する。
2026年度介護報酬の期中改定で、処遇改善加算が訪問看護にも初適用される。しかし加算率は訪問介護の最大28.7%に対し、訪問看護はわずか1.8%。この格差は何を意味し、訪問看護経営者は何を見るべきか。10年余り訪問看護ステーションを運営してきた立場から、構造問題と経営戦略を整理する。
2026年6月施行の診療報酬改定で、訪問看護に「訪問看護物価対応料」が新設されます。月初日60円、2日目以降20円(包括型は20円)で、令和9年6月以降は倍増の予定。物価高騰下で運営する訪問看護ステーションを国が制度的に支援する仕組みです。
訪問看護ステーション数が約15,700か所を超え過去最多を更新した。在宅医療シフトの追い風で開設ラッシュが続く一方、廃業率も上昇している。経営者として10年余り運営してきた立場から、急増の裏で進む業界の二極化と、これから生き残る事業者の条件を整理する。
全国訪問看護事業協会の調査によれば、2023年度に廃止された訪問看護ステーションは701件、休止が291件。新規開業数2,437件に対して約4割が1年以内に消えていく現実がある。経営者として10年余り運営してきた立場から、典型的な失敗パターン5つと、開業前に必ず確認すべきチェックリストを整理する。
2026年6月、訪問看護に「介護職員等処遇改善加算」が初めて新設される。加算率1.8%、対象は看護師・事務職を含む全スタッフ。算定するには5月15日までの体制届提出が必須となる。経営者として今すぐ着手すべき4つの実務と、賃金改善計画策定のポイントを整理する。
東京商工リサーチが発表した2025年の介護事業者倒産は176件で、2年連続の過去最多更新となった。訪問介護は91件と3年連続最多で、訪問看護ステーションの経営にも警鐘を鳴らす数字である。倒産の構造的要因と、2026年改定で加速する大規模化の流れ、訪問看護経営者が今読み解くべきメッセージを整理する。
訪問看護ステーションを開業するには約500万円の初期投資が必要とされる。物件取得費、車両費、医療機器、システム導入費など具体的な内訳と、開業後の運転資金まで、実際に開業したステーション経営者の視点で解説する。
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