2026年6月診療報酬改定後の 訪問看護 算定漏れチェックリスト|経営者・管理者向け

Summary
2026年6月1日施行の診療報酬改定では、複数の新設加算、変更された加算、見直された区分が一斉に動き始めました。経営者・管理者が算定漏れを防ぐためのチェックリストを、施行3日目(6月3日)に整理しました。
目次7項目
本記事は、2026年6月1日に施行された診療報酬・介護報酬改定の3日目(6月3日)に公開したものです。訪問看護物価対応料、介護保険の訪問看護への介護職員等処遇改善加算(1.8%)、ベースアップ評価料(I)の引き上げ、包括型訪問看護療養費、D to P with N、訪問看護医療情報連携加算、特別地域訪問看護加算の拡充——これら複数の制度変更が、6月1日から一斉に動き始めました。
施行直後の今、経営者・管理者にとって最重要なのは、新区分への対応漏れ・算定漏れの確認です。数千円から月数十万円規模の収益機会が、確認漏れによって失われる可能性があります。
私たちHokanPress編集部では、施行3日目の時点で、経営者・管理者が施行直後に確認すべきチェックリストを整理しました。施行直後の混乱を最小化し、新制度を確実に経営に反映させるための実務ガイドとして活用していただければ幸いです。
施行から3日間で起きていること
まず、施行から3日間で訪問看護業界全体で起きていることを整理します。
制度変更の同時施行
2026年6月1日施行で、訪問看護に影響する制度変更が一斉に動き始めました。
主な変更:
- 訪問看護物価対応料の新設(月初日60円、2日目以降20円)
- 介護職員等処遇改善加算の訪問看護への新設(加算率1.8%)
- ベースアップ評価料(I)の引き上げ(780円→1,050円)
- ベースアップ評価料(II)の見直し(2026年6月は区分1〜18で30円〜540円、2027年6月以降は36区分)
- 包括型訪問看護療養費の新設
- D to P with N(訪問看護遠隔診療補助料 2,650円・月1回)の新設
- 訪問看護医療情報連携加算(1,000円/月)の新設
- 特別地域訪問看護加算の拡充
- 機能強化型訪問看護管理療養費4(地域と連携して精神科訪問看護を提供するステーションの評価)の新設
- 複数名訪問看護加算等の同一建物・人数別評価への変更
これらすべてが同時施行のため、現場での対応負担は非常に大きい状況です。
現場で生じやすい混乱
施行直後の現場では、以下のような混乱が生じやすい状況があります。
第一に、レセプトソフトの対応確認漏れ。新区分の自動算定設定が完了していないと、6月分のレセプト提出時に算定漏れが発生する可能性があります。
第二に、訪問記録の記載項目変更への対応遅れ。新区分の算定根拠として必要な記載項目が、訪問記録に反映されていないケースが想定されます。
第三に、スタッフへの周知不足。改定内容を現場スタッフが正確に理解していないと、訪問時の記録や利用者への説明に齟齬が生じる可能性があります。
第四に、利用者・ご家族への説明不足。自己負担額の変更や訪問内容の変化について、事前説明が不十分なケースも想定されます。
6月分レセプト提出までの時間
6月1日から6月分のレセプトを提出するまでの時間は、想像以上に短いものです。
6月分レセプトのスケジュール:
- 6月1日: 改定施行
- 6月末: 算定対象期間終了
- 7月10日まで: レセプト提出
つまり、施行から約40日間で、新区分での算定を確実に行い、レセプトを提出する必要があります。施行直後の今週・来週の準備が、経営に直結する重要な時期となります。
施行直後に確認すべきチェックリスト
ここから、経営者・管理者が施行直後に確認すべきチェックリストを整理します。
チェック項目1: レセプトソフトの対応確認
レセプトソフトのアップデート状況を、確実に確認します。
確認内容:
確認1-1: 新加算の自動算定設定
- 訪問看護物価対応料
- 介護職員等処遇改善加算(1.8%)
- ベースアップ評価料(I)1,050円
- ベースアップ評価料(II)の新区分
- 訪問看護医療情報連携加算
- D to P with N
- 特別地域訪問看護加算の新区分
確認1-2: 変更された加算の自動再計算
- 難病等複数回訪問加算(同一建物・人数別)
- 夜間早朝加算(同一建物・人数別)
- 深夜加算(同一建物・人数別)
- 複数名訪問看護加算(同一建物・人数別)
- 複数名精神科訪問看護加算(同一建物・人数別)
確認1-3: 包括型訪問看護療養費の対応
- 算定要件の自動判定
- 同一建物入居者の自動カウント
- 個別算定との切り替え
確認1-4: ソフトベンダーへの問い合わせ
- アップデート完了の確認
- 対応未完了の項目の確認
- 想定される算定エラーの確認
- バックアップ計画の確認
レセプトソフトが対応していないと、手作業での算定が必要となります。今週中の確認が不可欠です。
チェック項目2: 体制届の提出状況
新設加算の算定には、事前の体制届提出が必要です。
確認内容:
確認2-1: 介護職員等処遇改善加算の体制届
- 2026年5月15日までの提出(原則)
- 自治体によっては6月15日まで柔軟対応
- 未提出の場合の即時対応
確認2-2: ベースアップ評価料(I)(II)の届出
- 受付期間: 5月7日〜6月1日
- 受領確認の取得
- 区分選択の妥当性確認
確認2-3: 訪問看護医療情報連携加算の届出
- 算定要件確認
- 連携体制の整備状況
- 届出書類の準備
確認2-4: 機能強化型訪問看護管理療養費の届出継続
- 既存届出の有効性確認
- 要件継続の確認
- 必要に応じた届出更新
確認2-5: 特別地域訪問看護加算の算定要件
- 該当地域への提供有無
- 新たな要件(移動時間30分以上・往復と訪問の合計2時間30分以上)への該当
- 届出は不要(届出の対象となる加算ではない)
体制届が未提出だと、算定要件を満たしていても算定できません。今週中の最終確認が必要です。
チェック項目3: 訪問記録の記載項目見直し
新区分での算定根拠として、訪問記録の記載項目を見直します。
確認内容:
確認3-1: 訪問時間の正確な記載
- 訪問開始時刻
- 訪問終了時刻
- 移動時間(出発・到着時刻)
- 訪問時間と移動時間の合計
確認3-2: 同一建物・同一日の訪問人数の記載
- 同一日に同一建物内で訪問した利用者数
- 算定区分の判定根拠
- 建物の特定情報
確認3-3: 訪問内容の具体的記載
- バイタルサインの数値
- 観察事項の客観的記述
- 実施した看護内容
- 利用者・ご家族の反応
確認3-4: 加算算定の根拠記載
- 緊急訪問の必要性
- 複数名訪問の医学的必要性
- 特別地域該当の確認
- D to P with N実施の記録
確認3-5: 医療情報連携の記録
- 連携医療機関名
- 共有した情報の内容
- 共有のタイミング
- ICTツール使用記録
訪問記録は算定の根拠です。記載項目の漏れが、後の返還リスクにつながります。
チェック項目4: スタッフへの周知状況
現場スタッフへの改定内容の周知を確認します。
確認内容:
確認4-1: 全スタッフへの説明実施
- 説明会の実施有無
- 参加できなかったスタッフへの個別フォロー
- 説明資料の配布
- 質問対応の窓口
確認4-2: 新しい業務フローの理解
- 訪問記録の記載方法変更
- 算定根拠の意識
- 利用者・ご家族への説明
- 緊急時の対応
確認4-3: 個別ケースへの対応理解
- 包括型対象利用者の特定
- 同一建物内訪問の管理
- 特別地域該当利用者の特定
- 医療情報連携の対象
確認4-4: 困った時の相談体制
- 経営者・管理者への即時相談
- 不明点のリスト化
- 月次振り返りの実施
スタッフが理解していないと、現場での記録ミスや算定ミスが多発します。
チェック項目5: 利用者・ご家族への説明準備
改定による影響を、利用者・ご家族に説明する準備を行います。
確認内容:
確認5-1: 自己負担額への影響説明
- 物価対応料の自己負担
- 各加算の自己負担への影響
- 訪問頻度の変更可能性
- 説明資料の準備
確認5-2: 訪問内容の変更説明
- 訪問時間の変更可能性
- 同一建物内訪問の変更
- ケアプランの見直し
- 主治医との連携内容
確認5-3: ご家族への文書配布
- 改定内容の概要説明
- ステーションの対応方針
- 質問への対応窓口
- 連絡先の明示
確認5-4: 不安への対応準備
- よくある質問への回答準備
- スタッフ間の説明統一
- 個別相談への対応体制
利用者・ご家族への丁寧な説明が、信頼関係の維持につながります。
チェック項目6: 連携先への情報共有
主治医、ケアマネジャー、訪問介護員等の連携先への情報共有を確認します。
確認内容:
確認6-1: 主治医への情報共有
- 改定内容の概要
- D to P with N実施の打診
- 訪問看護指示書の見直し
- 訪問頻度の調整
確認6-2: ケアマネジャーへの情報共有
- ケアプランへの反映
- 利用者への説明連携
- 担当者会議での議論
- 新規紹介への影響
確認6-3: 多職種への情報共有
- 訪問介護員との連携
- 福祉用具貸与事業者との連携
- 訪問リハ事業者との連携
- 連携病院との連携
確認6-4: 業界団体との情報交換
- 全国訪問看護事業協会の情報
- 都道府県訪問看護連絡協議会
- 地域の同業者ネットワーク
連携先との連携が、適切なケア提供と算定の前提となります。
チェック項目7: 月次レセプト前の最終確認体制
6月分レセプト提出に向けた最終確認体制を整えます。
確認内容:
確認7-1: 6月分レセプトのスケジュール
- 6月末: 算定期間終了
- 7月10日まで: レセプト提出期限
- 月次確認のタイムスケジュール
確認7-2: ダブルチェック体制
- 担当者と管理者によるチェック
- 算定区分の妥当性確認
- 算定漏れの検出
- 不適切算定の防止
確認7-3: 算定根拠資料の保存
- 訪問記録との照合
- 体制届の写し
- 賃金改善計画書
- 連携記録
確認7-4: 修正対応の準備
- レセプト修正の手順
- 修正期限の確認
- 不明点の相談先
確認7-5: 翌月以降の改善ポイント
- 6月の経験を7月に活かす仕組み
- スタッフへのフィードバック
- 業務フローの最適化
最初の月のレセプトが、その後の運用基準を作ります。
重要算定項目の確認ポイント
特に重要な算定項目について、詳細な確認ポイントを整理します。
重要項目1: 訪問看護物価対応料
訪問看護物価対応料は、医療保険上の訪問看護療養費を算定する全ての利用者に対して自動算定される構造です。
確認ポイント:
- レセプトソフトでの自動算定設定
- 月初日と2日目以降の区分
- 包括型対象者の場合の物価対応料2(20円)の適用
- 自己負担額への影響の説明準備
物価対応料は単独では小額ですが、確実に算定することが重要です。
重要項目2: 介護職員等処遇改善加算(1.8%)
訪問看護への新設加算で、5月15日までに体制届が必要だった項目です。
確認ポイント:
- 体制届の受領確認
- 加算率1.8%の自動算定設定
- 賃金改善計画の実行状況
- スタッフへの賃金反映の準備
- 実績報告書作成の体制
体制届が未提出の場合、6月分から算定できません。即時の対応が必要です。
重要項目3: ベースアップ評価料(I)1,050円
訪問看護管理療養費(月の初日の訪問)又は包括型訪問看護療養費を算定する利用者1人につき月1回算定する評価料で、780円から1,050円(継続的に賃上げを実施しているステーションは1,830円)に引き上げられました。
確認ポイント:
- 新金額への自動切り替え
- 月初訪問の判定の正確性
- 評価料(II)との区分選択
- 収入を対象職員のベア等とそれに伴う増加分に充てているか
- 賃金改善計画書の整合性
引き上げ額が確実に算定されているか、月次で確認します。
重要項目4: ベースアップ評価料(II)の区分
2026年6月は区分1〜18(30円〜540円)で、区分19〜36は2027年6月以降に算定します。区分は、賃金改善算定基礎額などから計算した数値で決まります。
確認ポイント:
- 届け出た区分の計算(賃金改善算定基礎額・医療保険の利用者割合など)の確認
- 継続的な賃上げの評価(注7)の該当の有無
- 対象職員数や(I)の算定回数が1割以上変動したときの区分の再計算
- 実績報告書での証明準備
区分は計算で決まるため、計算の誤りがそのまま算定額の誤りになります。
重要項目5: 包括型訪問看護療養費
サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム等の建物に併設・隣接するステーションが、届け出た建物に住む別表第7・第8該当者や特別訪問看護指示の利用者に、24時間体制で頻回の訪問看護を行う場合の、1日単位の新設の包括型評価です。
確認ポイント:
- 対象利用者の特定
- 個別算定との切り替え判断
- 24時間対応体制の充実
- 訪問頻度の適正性
- 利用者・ご家族への説明
包括型と個別算定の選択は、経営判断として重要です。
重要項目6: D to P with N
主治医が緊急に診療が必要と判断し、その指示で看護職員が居宅を訪問して、情報通信機器を用いた診療の補助を行った場合の新設の評価(訪問看護遠隔診療補助料)です。定期的な訪問看護の中で行うものは対象外で、算定は月1回に限られます。
確認ポイント:
- 連携医師との実施合意
- ICT環境の整備
- 2,650円(月1回)の算定要件
- 訪問記録での実施記録
- 主治医との情報共有
実施には複数の準備が必要ですが、新たな収益機会となります。
重要項目7: 訪問看護医療情報連携加算
医療機関とオンラインで診療情報を共有・活用した場合の新設加算(月1,000円)です。
確認ポイント:
- セキュリティが確保された連携システム
- 連携医療機関との合意
- 月1回の算定タイミング
- 算定根拠の記録
- 情報共有の内容
ICT環境の整備が前提となる加算です。
重要項目8: 特別地域訪問看護加算の拡充
過疎地・離島での訪問看護に対する加算が拡充されました。
確認ポイント:
- 該当地域への提供有無
- 新たな要件(特別地域内のステーションから特別地域に住む利用者へ、片道30分以上・往復の移動と訪問の合計2時間30分以上)の対象判定
- 訪問時間と移動時間の正確な記録
- 区分選択の妥当性
該当する事業所は、確実に新区分を活用します。
重要項目9: 複数名訪問看護加算の見直し
同一日・同一建物内の算定人数に応じた階段的評価に変更されました。
確認ポイント:
- 同一日・同一建物の判定
- 人数別区分(1人又は2人、3〜9人、10〜19人、20〜49人、50人以上)
- 区分選択の自動化
- 訪問記録での根拠記載
- ホスピス型住宅等への影響
特に集合住宅併設事業者は、収益への影響を詳細に試算する必要があります。
算定漏れを防ぐための実務体制
施行直後の混乱期を乗り越えるため、算定漏れ防止の実務体制を整えます。
体制1: 月次レセプト前のダブルチェック
レセプト提出前に、必ずダブルチェックを実施する体制を作ります。
ダブルチェックの体制:
- 担当者(1次チェック)
- 管理者(2次チェック)
- 必要に応じて外部専門家(3次チェック)
チェック項目:
- 算定区分の妥当性
- 算定漏れの有無
- 不適切算定の有無
- 訪問記録との整合性
時間を確保して、確実なチェックを行います。
体制2: 算定漏れチェックリストの月次運用
毎月のレセプト前に確認する標準チェックリストを作成します。
リストの内容:
- 各加算の算定状況
- 体制届の有効性
- 訪問記録の質
- 連携実績の記録
- 算定根拠資料の保存
これを月次の業務フローに組み込みます。
体制3: 困った時の即時相談体制
施行直後は、判断に迷う場面が多発します。即時相談できる体制が必要です。
相談体制:
- 顧問税理士・社会保険労務士
- 業界団体(全国訪問看護事業協会等)
- 同業者経営者
- 業界専門メディア
- 厚生労働省・地方厚生局
複数の相談先を確保しておくことが、判断の精度を高めます。
体制4: 疑義解釈の継続フォロー
厚生労働省は施行後も継続的に疑義解釈を発出します。
フォロー体制:
- 厚生労働省の発信を週1回確認
- 業界団体の発信を週1回確認
- 専門メディアの解説記事を週1回確認
- 重要情報の社内共有
継続的なフォローが、運用の精度を高めます。
体制5: 7月以降への改善サイクル
6月の経験を、7月以降の運用改善に活かす仕組みを作ります。
改善サイクル:
- 月次振り返り会議
- 算定漏れ・誤りの分析
- 業務フローの改善
- スタッフへのフィードバック
- 来月の準備
これを継続することで、運用が着実に質を高めていきます。
ケース別の確認ポイント
ステーションのタイプ別に、特に注意すべき確認ポイントを整理します。
ケースA: 一般的な在宅訪問中心のステーション
一般的な在宅訪問を中心とするステーションの確認ポイント:
最重要確認:
- 訪問看護物価対応料の自動算定
- 介護職員等処遇改善加算1.8%の算定
- ベースアップ評価料の引き上げ反映
- 訪問看護医療情報連携加算の準備
このタイプでは、複数名訪問加算等の見直しの影響は限定的です。新設加算の確実な取得が最優先となります。
ケースB: ホスピス型住宅併設のステーション
ホスピス型住宅併設のステーションの確認ポイント:
最重要確認:
- 包括型訪問看護療養費の対象判定
- 複数名訪問看護加算の人数別評価
- 難病等複数回訪問加算の人数別評価
- 利用者構成への影響
- 連携関係の透明化
このタイプでは、収益構造の根本的な見直しが必要となる可能性があります。
ケースC: 精神科訪問看護中心のステーション
精神科訪問看護中心のステーションの確認ポイント:
最重要確認:
- 20分ルールへの対応
- 機能強化型Type 4取得の検討
- 複数名精神科訪問看護加算の人数別評価
- 訪問時間の正確な記録
- 利用者選択権の保障
このタイプでは、業務フローの大幅な見直しが必要となります。
ケースD: 過疎地・離島のステーション
過疎地・離島の事業所の確認ポイント:
最重要確認:
- 特別地域訪問看護加算の新区分活用
- 移動時間と訪問時間の合計記録
- 該当利用者の特定
- ICT活用(D to P with N等)
- 連携体制の強化
このタイプでは、新たな収益機会の確実な活用が経営安定化につながります。
ケースE: 機能強化型ステーション
機能強化型訪問看護管理療養費を取得しているステーションの確認ポイント:
最重要確認:
- 機能強化型管理療養費の継続算定
- 要件継続の維持
- 関連加算の確実な取得
- スタッフへの還元実施
- ターミナルケア実績の継続
このタイプでは、機能強化型の維持と関連加算の最大活用が重要です。
施行直後の経営者の心構え
最後に、施行直後の経営者として持つべき心構えを整理します。
心構え1: 完璧を目指さない
施行直後にすべてを完璧に対応するのは現実的ではありません。
優先順位:
- 必須対応(体制届、自動算定設定)
- 重要対応(訪問記録、スタッフ周知)
- 推奨対応(連携先共有、利用者説明)
すべてを一気にやろうとせず、優先順位を持って取り組みます。
心構え2: 失敗を早期に修正する
施行直後は、必ず何らかの失敗や見落としが発生します。
対応の姿勢:
- 失敗を責めるのではなく、原因を分析
- 修正可能なものは即時修正
- 修正不可能なものは次月への教訓に
- スタッフを支える姿勢
失敗を学びに変える文化が、経営の質を高めます。
心構え3: 専門家・同業者を頼る
経営者一人で抱え込まず、専門家や同業者を頼ります。
頼る相手:
- 顧問税理士・社労士
- 経営コンサルタント
- 業界団体
- 同業経営者
- 業界メディア
「分からない」を放置せず、聞く姿勢が重要です。
心構え4: スタッフを支える
施行直後は、現場スタッフも混乱しています。経営者として、スタッフを支える姿勢が重要です。
支えの姿勢:
- 不安への共感
- 質問への丁寧な対応
- 失敗への寛容
- 努力への評価
- 達成感の共有
スタッフが安心して働ける環境が、現場の対応力を高めます。
心構え5: 長期的な視点を保つ
施行直後の対応に追われながらも、長期的な視点を保ちます。
長期視点:
- 3か月後の運用安定化
- 6か月後の経営インパクト評価
- 1年後の制度活用の最適化
- 2027年改定への準備
- 2030年改定の見通し
目の前の対応と長期戦略のバランスが、経営者の責務です。
まとめ
2026年6月1日施行の診療報酬・介護報酬改定では、複数の新設加算、変更された加算、見直された区分が一斉に動き始めました。経営者・管理者として、算定漏れを防ぐための確認作業が欠かせません。
レセプトソフトの対応確認、体制届の提出状況、訪問記録の記載項目見直し、スタッフへの周知、利用者・ご家族への説明準備、連携先への情報共有、月次レセプト前の最終確認体制——7つの確認項目を着実に進めることが、レセプトを適切に提出する前提となります。
特に重要な算定項目(訪問看護物価対応料、介護職員等処遇改善加算、ベースアップ評価料、包括型訪問看護療養費、D to P with N、訪問看護医療情報連携加算、特別地域訪問看護加算、複数名訪問看護加算等)について、自ステーションの該当状況と算定準備を、改めて点検していただきたいと考えます。
施行直後は、必ず何らかの混乱や見落としが発生します。完璧を目指すのではなく、優先順位を持って対応し、失敗を早期に修正し、専門家や同業者を頼り、スタッフを支えながら、長期的な視点を保つことが、経営者として求められる姿勢です。
施行直後の地道な対応が、その後の経営の安定度を大きく左右します。HokanPress編集部では、施行後の制度運用について、引き続き最新情報を発信してまいります。
訪問看護経営者・管理者の皆様の確実な制度対応を、心から応援しています。
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執筆者
医療・看護・介護の多職種チーム
訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム
HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。
保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 医療ソーシャルワーカー / 管理栄養士 / 介護支援専門員
※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています



