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NHKクローズアップ現代が示した看護師不足の構造と訪問看護経営者が直視すべき現実|就業継続意向4年で4.7ポイント低下

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NHKクローズアップ現代が示した看護師不足の構造と訪問看護経営者が直視すべき現実|就業継続意向4年で4.7ポイント低下

Summary

NHKクローズアップ現代が2026年6月29日に放送した「あなたも入院できない!? 〜迫る"看護師不足"危機〜」は、業界の構造的危機を全国民に突きつけました。日本看護協会の最新データでは看護師の就業継続意向が62.9%(前回比4.7ポイント低下)、求人倍率は10年ぶり高水準。2019年の厚労省の推計では、2025年に看護職員が6万〜27万人不足するとされていました。検証可能データから訪問看護経営者が直視すべき現実を整理しました。

目次8項目
  1. 01日本看護協会の検証可能データが示す業界の現実
  2. 02NHKクローズアップ現代が報じた業界の構造的危機
  3. 03全国平均では見えない格差
  4. 04訪問看護経営者が直視すべき5つの現実
  5. 05訪問看護経営者が今すぐ取るべき7つの対応
  6. 06看護師個人としての受け止め方
  7. 07業界の未来への展望
  8. 08まとめ

2026年6月29日午後7時30分、NHKクローズアップ現代が放送した「あなたも入院できない!? 〜迫る"看護師不足"危機〜」は、日本の医療提供体制全体が直面する構造的危機を、全国民に突きつける重要な報道でした。

NHKの公式番組概要は、看護師不足のため病床を削減し、受け入れが困難になるケースが全国で相次いでいること、多忙を極める厳しい職場環境に多くの看護師が離職・転職を余儀なくされている実態、人材獲得コストの高騰が病院経営を圧迫し、地域医療が脅かされている現実を伝えました。日本看護協会の秋山智弥会長も出演し、業界団体としての見解が示されました。番組では「看護師密度・全国マップ」も提示され、地域格差の深刻さが可視化されました。

「病院の問題は私たち訪問看護と関係ない」——こうした認識を持っていられる時代ではなくなりました。日本看護協会の公式データを精査すると、業界全体の構造的危機が明確に浮かび上がります。看護師の就業継続意向は62.9%まで低下し、求人倍率は10年ぶりの高水準、2019年の厚労省推計では2025年に看護職員が6万〜27万人不足するとされていた——これらは個別事業所の問題ではなく、業界全体の構造的問題です。

本記事では、検証可能な日本看護協会の最新統計データを軸に、NHKクローズアップ現代の報道が示した業界の構造的危機の本質、訪問看護経営者が直視すべき現実、そして今すぐ取るべき対応について、率直に整理します。

なお、本記事に記載するデータは、日本看護協会の公式調査結果、厚生労働省の試算、NHKの公式番組概要に基づくものです。番組本編で報じられた個別事業所のデータ等については、NHK公式アーカイブでご確認ください。

日本看護協会の検証可能データが示す業界の現実

まず、日本看護協会の最新公式データを整理します。

データ1: 就業継続意向の急激な低下

日本看護協会が2026年3月31日に公表した「2025年看護職員実態調査」は、業界の構造的危機を示す決定的なデータでした。

主な調査結果:

  • 看護職としての就業継続意向: 62.9%
  • 「とてもそう思う」: 18.5%
  • 「ややそう思う」: 44.4%
  • 2021年前回調査(67.6%)から4.7ポイント低下
  • 20〜30代で他の年代より低い
  • 病院勤務者で他の勤務先より低い
  • 調査期間: 2025年10月1日〜11月12日
  • 有効回答数: 4,430人(有効回収率34.5%)

日本看護協会が会員を対象に4年に1度行う調査で、看護職として働き続ける意向がある人が、前回(2021年)の67.6%から62.9%に低下したという事実です。

データ2: 離職率は改善傾向だが業界の体感とは乖離

同じく日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」では、離職率の改善傾向が示されました。

離職率(2024年度実績):

  • 正規雇用看護職員離職率: 11.0%(前年度から0.3ポイント低下)
  • 新卒採用看護師離職率: 8.4%(前年度から0.4ポイント低下)
  • 既卒採用看護師離職率: 16.1%(前年度から増減なし)
  • コロナ禍前水準への復帰

ただし、業界の現場感覚と統計データには明確な乖離があります。離職率は改善傾向にあるものの、就業継続意向は低下し、現場での看護師確保困難は継続している——この乖離が、業界の構造的問題の本質を示しています。

データ3: 求人倍率10年ぶりの高水準

日本看護協会が2025年11月21日に公表した、都道府県ナースセンターの登録データの分析では、2024年度の看護職の求人倍率は2.51倍(前年度2.22倍)で、10年ぶりの高水準でした。施設の種類別では、訪問看護ステーションが4.54倍で最も高くなっています。

「採用市場で看護師1人を獲得することが、これまで以上に困難になっている」現実が、業界団体の公式データとして示されています。

データ4: 厚労省試算の看護師不足

厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」看護職員需給分科会が2019年にまとめた中間とりまとめでは、看護職員不足の規模が推計されていました。

試算の内容:

  • 2025年に約6万〜27万人の看護職員が不足(需要188万〜202万人に対し、供給175万〜182万人)
  • 高位推計と低位推計の幅
  • 業務量・労働時間の前提による違い
  • 業界の構造的人材不足

「業界全体として看護師が足りない」という認識が、国の公式推計として示されていました。

データ5: 退職理由の構造

退職理由のデータからも、業界の現実が見えます。

2024年度に年度内離職した新卒看護師がいた病院の看護管理者が考える主な退職理由(上位5つ選択。回答した993病院に占める割合。2025年病院看護実態調査):

  • 健康上の理由(精神的疾患): 54.6%
  • 自分の看護職員としての適性への不安: 46.6%
  • 自分の看護実践能力への不安: 44.2%
  • 上司・同僚との人間関係: 27.0%
  • 他施設への関心・転職: 23.0%
  • 健康上の理由(身体的疾患): 15.4%
  • 他分野(看護以外)への関心・転職: 14.9%

新卒が辞めた病院の半数を超える54.6%で、看護管理者が「健康上の理由(精神的疾患)」を主な退職理由に挙げていることは、業界のメンタルヘルス課題の深刻さを示しています。

NHKクローズアップ現代が報じた業界の構造的危機

NHKクローズアップ現代の公式番組概要が挙げた論点に沿って、業界の構造的危機を整理します。各項目の箇条書きには、番組概要にない編集部の整理も含みます。

危機1: 全国各地の病院での病床削減

NHK公式番組概要が示した最も衝撃的な事態が、病床削減の全国化です。

報じられた現実:

  • 病気やケガをしても入院・手術ができない事態
  • 看護師不足による病床削減
  • 受入困難ケースの相次ぐ発生
  • 地域医療の機能低下

「病院があるのに病床が使えない」事態が、看護師不足により全国で発生している現実です。

危機2: 厳しい職場環境による離職・転職

職場環境の厳しさも、報道の中核テーマでした。

報じられた構造:

  • 多忙を極める職場環境
  • 多くの看護師が離職・転職を余儀なくされる実態

NHK公式の表現として「離職・転職を余儀なくされている」という強い言葉が使われていることは、業界の深刻さを示すものです。

危機3: 人材獲得コストの高騰

人材獲得コストの高騰も、深刻な現実として報じられました。

コスト高騰の構造:

  • 紹介手数料の上昇
  • 給与競争の激化
  • 採用広告費の継続的支出
  • 一時金・契約金の高額化
  • 病院経営への直接的圧迫

「採用するほど経営が苦しくなる」逆説的な構造が、業界全体に広がっています。

危機4: 地域医療提供体制の崩壊

地域医療提供体制の崩壊も、報道の核心です。

崩壊の構造:

  • 地域の中核病院の機能縮小
  • 在宅医療への過剰負担
  • 医療空白地帯の拡大
  • 救急医療の混乱
  • 利用者・家族の不安

「医療を受けたい時に受けられない」事態が、現実の社会問題となっています。

危機5: 「看護師密度・全国マップ」が示す地域格差

番組で提示された「看護師密度・全国マップ」も、業界の現実を示すものです。

地域格差の構造:

  • 都道府県別の看護師密度差
  • 都市部と地方の格差
  • 中山間地域・離島での深刻化
  • 訪問看護師の地域偏在
  • 地域医療の格差固定化

「どこに住むかで受けられる医療が変わる」現実が、データで可視化されました。

全国平均では見えない格差

全国統計と個別事業所の乖離

全国統計と個別事業所の現実には、明確な乖離があります。

乖離の構造:

  • 全国平均離職率: 11.0%(改善傾向)
  • 個別事業所では深刻な人材流出
  • 地域別の格差
  • 設置主体別の格差(医療生協14.4%、医療法人14.0%等)
  • 業界の二極化加速

「業界平均」では見えない個別事業所の苦境が、業界の本質的な問題です。

設置主体別離職率の格差

日本看護協会の2025年調査では、設置主体別の離職率格差も示されています。

設置主体別の傾向(正規雇用看護職員離職率):

  • 医療生協: 14.4%
  • 医療法人: 14.0%
  • その他公的医療機関: 13.9%(回答は2病院)
  • 公益社団・財団法人: 13.0%
  • 社会福祉法人: 12.3%
  • 全国平均: 11.0%

最も高い「医療生協」(14.4%)と最も低い「会社」(7.3%。次いで「公立」8.0%)の差は約7ポイントで、設置主体による差が業界の構造的格差を示しています。

病床規模別の差

病床規模別に見ると、新卒の退職理由にも明確な傾向があります。

病床規模別の特徴:

  • 500床以上の病院: 新卒が辞めた病院の71.2%で「健康上の理由(精神的疾患)」が主な退職理由に挙がった
  • 99床以下の小規模病院でも、44.6%の病院が挙げた
  • 病床規模に関わらずメンタルヘルス課題が深刻
  • 地方の中小病院での看護師不足

「大病院も小病院も、それぞれの構造的課題」を抱えている現実です。

訪問看護への波及

これらの構造が、訪問看護にも明確に波及しています。

波及の構造:

  • 病院からの転職希望者の動向
  • 訪問看護への期待と現実
  • 病院との給与競争
  • 連携先病院の経営難
  • 地域医療の連動した変化

「訪問看護だけが安泰」という構造は、もはや成立しません。

訪問看護経営者が直視すべき5つの現実

NHK報道と日本看護協会の公式データから、訪問看護経営者が直視すべき5つの現実を整理します。

現実1: 看護師確保競争の構造的激化

最も直接的な現実が、看護師確保競争の構造的激化です。

激化の構造:

  • 病院での給与改善競争
  • 紹介手数料の高騰
  • 採用市場の流動化
  • 専門性ある看護師の希少化
  • 地域偏在の深刻化

「採用すれば来てくれる」時代から「採用しても来てくれない」時代への構造変化が、訪問看護にも明確に到来しています。

現実2: 就業継続意向低下の影響

就業継続意向の低下(62.9%)も、訪問看護経営に影響します。

影響の構造:

  • 看護師の早期離職リスク
  • キャリア継続意向の不確実性
  • 業界全体の人材流動化
  • スタッフ管理の難しさ
  • 育成投資の回収困難

「看護師の中で『続けたい』が約6割」という現実は、訪問看護経営者にとっても深刻な課題です。

現実3: メンタルヘルス課題の深刻化

メンタルヘルス課題の深刻化も、業界の現実です。

課題の構造:

  • 新卒が辞めた病院の54.6%で、精神的疾患が主な退職理由に挙がる
  • 病床規模に関わらず深刻
  • 業務負担と心理的圧迫
  • 組織的サポート体制の必要性
  • 経営者の役割と責任

訪問看護でも、メンタルヘルスへの組織的対応が、これからの経営の中核課題となります。

現実4: 連携病院の経営難

連携病院の経営難は、訪問看護の運営基盤を揺るがします。

経営難の影響:

  • 退院支援の質的変化
  • 連携プロセスの混乱
  • 紹介経路の不安定化
  • 急変時の受け入れ先確保困難
  • 看護師の引き抜き競争

「特定病院依存」の訪問看護ステーションは、特に大きなリスクを抱える状況です。

現実5: 在宅医療需要の急加速

最後の現実が、在宅医療需要の急加速です。

加速の構造:

  • 病床削減による在宅シフト
  • 早期退院の促進
  • 医療依存度の高い在宅利用者増加
  • 看取り需要の拡大
  • ご家族の介護負担増大

訪問看護需要が「望まれて」ではなく「他に選択肢がなくて」増加する構造です。

訪問看護経営者が今すぐ取るべき7つの対応

NHK報道と業界データを踏まえ、経営者として今すぐ取るべき7つの対応を整理します。

対応1: 自ステーションの離職率の客観把握

まず、自ステーションの離職率を、業界平均と比較して客観把握します。

把握すべき指標:

  • 年間離職率
  • 入職後1年以内の早期離職率
  • 在職期間別の離職率
  • 退職理由の分類
  • 業界平均との比較

「自ステーションは大丈夫」という思い込みを、データで検証することが、対応の出発点です。

対応2: スタッフの就業継続意向の確認

スタッフの就業継続意向を、定期的に確認することも重要です。

確認の方法:

  • 月次1on1ミーティング
  • 四半期キャリア面談
  • 年次満足度調査
  • 退職時の率直な聞き取り
  • 匿名意見箱

日本看護協会の会員調査で就業継続意向が62.9%にとどまったという現実を、自ステーションでも直視する必要があります。

対応3: メンタルヘルス支援体制の整備

メンタルヘルス支援体制の整備も、緊急性の高い対応です。

体制の要素:

  • 産業医・カウンセラーへの接続
  • 業務負担の組織的調整
  • 同僚との支え合い体制
  • 経営者からの目配り
  • 早期発見・早期対応

新卒看護師が辞めた病院の54.6%で、看護管理者が精神的疾患を主な退職理由に挙げているという現実を、組織として直視する必要があります。

対応4: 給与水準の客観評価と見直し

給与水準の客観評価と見直しも、不可欠な対応です。

評価の視点:

  • 地域の同業他社との比較
  • 病棟看護師との比較
  • 経験年数別の水準
  • 諸手当の充実度
  • 賞与水準

「地域相場以下」では、就業継続意向の低下に対応できません。

対応5: 多様な働き方の支援

多様な働き方の支援も、これからの経営の必須要素です。

支援の方向性:

  • 短時間勤務制度
  • 日勤専従(オンコールなし)
  • 直行直帰制度
  • 副業・兼業の許容
  • ライフステージへの配慮

「画一的な働き方」を求める時代は、確実に終わっています。

対応6: 連携先関係の戦略的強化

連携先関係の戦略的強化も、重要な対応です。

強化の方向性:

  • 主要連携先への定期訪問
  • 連携先の経営状況把握
  • 代替連携先の確保
  • 紹介経路の多様化
  • 連携病院との関係深化

「連携病院が突然なくなる」リスクへの備えが、経営の安定性を支えます。

対応7: 業界団体への参加強化

業界団体への参加強化も、これからの経営者に求められる対応です。

参加の意義:

  • 業界動向の最新情報
  • 同業者ネットワーク
  • 政策提言への参加
  • グッドプラクティスの共有
  • 業界全体への貢献

NHK報道のような業界全体への問題提起の中で、業界団体としての発言力強化が、長期的な制度改善につながります。

看護師個人としての受け止め方

NHK報道と業界データを、訪問看護師個人としてどう受け止めるべきかも整理します。

受け止め方1: 業界の現実として直視する

まず、業界の現実として直視する姿勢が大切です。

直視の意義:

  • 自分の置かれた状況の理解
  • 業界全体の動向把握
  • キャリア判断への活用
  • 長期視点の獲得
  • 業界への当事者意識

「自分には関係ない」ではなく「自分も業界の一員」として、現実を直視する姿勢が大切です。

受け止め方2: 自分の心身の健康を最優先

自分の心身の健康を最優先する視点も、極めて重要です。

健康への配慮:

  • 体調の変化への注意
  • メンタルヘルスのセルフケア
  • 適切な休息の確保
  • 専門家への相談
  • 家族・友人とのつながり

新卒看護師が辞めた病院の54.6%で、看護管理者が精神的疾患を主な退職理由に挙げているという現実は、看護師個人にとっても重要な警告です。

受け止め方3: 自分の市場価値の客観評価

自分の市場価値を客観的に評価することも大切です。

評価の視点:

  • 経験年数
  • 専門資格の有無
  • 訪問看護経験
  • 専門領域
  • マネジメント経験

求人倍率10年ぶり高水準は、看護師個人にとっては「選択肢が広がる時代」を意味します。

受け止め方4: キャリアの選択肢を広げる

キャリアの選択肢を広げる視点も、これからの看護師に必要です。

選択肢の例:

  • 機能強化型ステーションへの転職
  • 専門特化型ステーションへの移籍
  • 病院・診療所への復帰
  • 起業・独立
  • 多様な働き方の選択

「今の職場を続ける」だけが選択肢ではない時代です。

受け止め方5: 業界全体への参加

業界全体への参加も、看護師個人の重要な役割です。

参加の方向性:

  • 業界団体への加入
  • 政策提言への協力
  • メディアでの発信
  • 同業者ネットワーク
  • 後進への指導

「業界の現実」を作るのも、変えるのも、看護師一人ひとりの選択と行動の積み重ねです。

業界の未来への展望

NHK報道は厳しい現実を突きつけるものですが、業界の未来への展望もあります。

展望1: 政策的支援の継続

業界全体への政策的支援は、継続的に進む方向性です。

支援の方向性:

  • 2027年改定での評価強化
  • 処遇改善の継続
  • 多様な働き方の推進
  • ICT・DXへの支援
  • 教育機関の整備

NHK報道による社会的認知の向上は、政策的優先度の上昇にもつながります。

展望2: 業界全体の質的レベルアップ

業界全体の質的レベルアップも、進む方向性です。

質的向上の動き:

  • 機能強化型の拡大
  • 専門性評価の体系化
  • 多職種連携の深化
  • 地域包括ケアの中核化
  • 国際的な発信

「淘汰の中での質的向上」が、業界の方向性となっています。

展望3: 看護師の社会的地位向上

看護師の社会的地位向上も、長期的な展望です。

地位向上の動き:

  • メディアでの注目継続
  • 行政での重視
  • 国民の認知拡大
  • 専門性の評価
  • 国際的な認知

「業界の苦しさ」が広く知られることで、社会的支援の機運が高まる可能性があります。

展望4: 訪問看護の社会的価値の確立

訪問看護の社会的価値の確立も、進む方向性です。

価値の確立:

  • 地域医療の中核機能
  • 在宅医療の主要担い手
  • 看取り文化の担い手
  • 高齢化社会のインフラ
  • 国際的な日本モデル

「病院がなくなる地域でも訪問看護はある」存在として、社会的価値が確立されていく見通しです。

展望5: 業界関係者の連帯

最後に、業界関係者の連帯も、業界の未来を支えます。

連帯の方向性:

  • 業界団体への参加
  • 同業者ネットワーク
  • グッドプラクティスの共有
  • 政策提言への協力
  • 後進への指導

「個別事業所だけ」ではなく「業界全体」での連帯が、業界の未来を作ります。

まとめ

NHKクローズアップ現代が2026年6月29日に放送した「あなたも入院できない!? 〜迫る"看護師不足"危機〜」は、日本の医療提供体制全体の構造的危機を、全国民に突きつける重要な報道でした。日本看護協会の秋山智弥会長も出演し、業界団体としての見解が示されました。

日本看護協会の検証可能データが示す業界の現実は深刻です。看護師の就業継続意向は62.9%(前回比4.7ポイント低下)、求人倍率は10年ぶりの高水準、2019年の厚労省推計では2025年に看護職員が6万〜27万人不足するとされ、新卒が辞めた病院の54.6%で看護管理者が精神的疾患を主な退職理由に挙げた——これらすべてが、業界の構造的危機を示しています。

NHKが報じた業界の構造的危機(全国各地での病床削減、厳しい職場環境による離職・転職、人材獲得コストの高騰、地域医療提供体制の崩壊、看護師密度の地域格差)は、訪問看護業界にも直接的な影響を及ぼします。

訪問看護経営者が直視すべき5つの現実(看護師確保競争の構造的激化、就業継続意向低下の影響、メンタルヘルス課題の深刻化、連携病院の経営難、在宅医療需要の急加速)を踏まえ、経営者として今すぐ取るべき7つの対応(自ステーションの離職率の客観把握、スタッフの就業継続意向の確認、メンタルヘルス支援体制の整備、給与水準の客観評価と見直し、多様な働き方の支援、連携先関係の戦略的強化、業界団体への参加強化)を着実に進めることが、これからの経営の生命線です。

看護師個人としても、業界の現実として直視する、自分の心身の健康を最優先、自分の市場価値の客観評価、キャリアの選択肢を広げる、業界全体への参加——5つの受け止め方で、自分自身のキャリアと業界全体の発展の両方を支える姿勢が大切です。

業界の未来への展望として、政策的支援の継続、業界全体の質的レベルアップ、看護師の社会的地位向上、訪問看護の社会的価値の確立、業界関係者の連帯——5つの展望が、厳しい現実の中での希望を支えます。

NHKクローズアップ現代の報道は、業界にとって厳しい現実を突きつけるものですが、同時に「社会全体で看護師不足の問題に向き合う」転換点ともなり得ます。訪問看護業界として、この機会を業界改革と社会的価値確立の機会として活用していくことが、これからの時代に求められる本質的な姿勢です。

なお、本記事に記載した統計データは、公益社団法人日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」「2025年看護職員実態調査」(いずれも2026年3月31日公表)、厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」資料、NHKクローズアップ現代公式番組概要に基づくものです。番組本編で報じられた個別事業所のデータについては、NHK公式アーカイブ等でご確認ください。最新の業界情報は、日本看護協会、厚生労働省、業界専門メディア等の公式発表でご確認いただけます。

HokanPressでは、訪問看護業界の本質的なテーマについて、引き続き率直な発信を続けてまいります。

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執筆者

宮木

訪問看護ステーション経営者・救急看護認定看護師

大学病院 救命救急センター 5年 / 手術室 2年 / 大手訪問看護ステーション 5年 / 訪問看護ステーション設立・代表

小学生の頃から訪問看護師を志し、大学病院の救命救急センター・手術室で急性期医療の現場経験を積む。救急看護認定看護師の資格を取得後、大手訪問看護ステーションでの勤務を経て独立。現場と経営の両視点から、医療従事者に実践的な情報を届けます。

保有資格: 看護師免許 / 救急看護認定看護師 / BLSプロバイダー / ICLSプロバイダー

※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています

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