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訪問看護ステーション数の頭打ちと淘汰時代の到来|「成長業界」幻想が終わり経営者が直視すべき構造的変化

2026年6月24日(更新: 2026年6月24日)·約16分で読めます
訪問看護ステーション数の頭打ちと淘汰時代の到来|「成長業界」幻想が終わり経営者が直視すべき構造的変化

Summary

訪問看護ステーション数は急増を続けてきましたが、近年は廃業・休止数も同時に増加し、「成長業界」という認識が揺らぎ始めています。2025年の介護事業者倒産176件という過去最多の数字、新規開業の約4割が1年以内に廃止・休止する業界の現実、機能強化型と通常型の二極化加速——複数の構造的変化が、訪問看護経営の前提を変えつつあります。

目次9項目⌄
  1. 01「成長業界」幻想の構造
  2. 02経営者が直視すべき5つの不都合な現実
  3. 03

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ステーション数の頭打ち局面
  • 04淘汰時代の構造的要因
  • 05業界の二極化が加速する
  • 06経営者が今直視すべき5つの問い
  • 07淘汰時代を生き抜く5つの戦略
  • 08業界全体の未来への視点
  • 09まとめ
  • 訪問看護ステーション数の急増が、業界の成長を象徴する指標として長く語られてきました。しかし、この単純な成長ストーリーは、近年明確に揺らぎ始めています。

    開設数の増加と並行して、廃業・休止する事業所数も増加しています。2025年の介護事業者倒産が176件と過去最多に達したことは、業界の経営環境の厳しさを象徴する数字です。新規開業の約4割が1年以内に廃止・休止となる業界の現実、看護師求人倍率10年ぶりの高水準、2026年改定での処遇改善加算1.8%の限定性、業界の二極化加速——これらすべてが連動し、訪問看護業界は「成長業界」から「淘汰時代」への構造転換期を迎えています。

    「ステーション数が増えているから業界は安泰」「需要が拡大しているから何とかなる」——こうした楽観論が、現場の経営者を最も危険な落とし穴に導く可能性があります。本記事では、訪問看護ステーション数の頭打ちと淘汰時代の構造、経営者が直視すべき5つの不都合な現実、そしてこの構造変化の中で生き残るための判断軸を整理します。

    「成長業界」幻想の構造

    まず、なぜ「訪問看護は成長業界」という認識が広まったのか、その構造を整理します。

    成長を支えてきた要因

    訪問看護業界が「成長業界」と認識されてきた要因は、複数あります。

    成長要因:

    • 高齢化の継続的進展
    • 在宅医療への政策シフト
    • ステーション数の急増
    • 利用者数の継続的増加
    • 業界全体の社会的認知向上

    これらが、「需要拡大が続く成長業界」という認識を支えてきました。

    統計が示してきた成長

    統計データも、業界の成長を裏付けてきました。

    成長を示す指標:

    • 訪問看護ステーション数の年々増加
    • 利用者数の継続的拡大
    • 訪問看護師の就業者数増加
    • 国の医療・介護政策での重要性向上
    • 業界関連市場の拡大

    これらの指標が、「成長業界」という認識を補強してきました。

    「成長」の影に隠れた現実

    しかし、「成長」の数字の影に、深刻な現実が隠れていました。

    隠れていた現実:

    • 開設数と並行する廃業・休止数
    • 新規開業の早期撤退
    • 中小ステーションの経営難
    • 看護師確保の構造的困難
    • 不適切運営事業者の存在

    これらが、「成長業界」の単純なストーリーでは説明できない構造です。

    楽観論の危険性

    「成長業界だから何とかなる」という楽観論は、最も危険な経営判断につながります。

    楽観論の危険:

    • 経営の質的向上への怠慢
    • 採用・定着への投資不足
    • 制度変更への対応遅れ
    • ICT・DX投資の遅れ
    • 撤退判断の遅延

    「業界全体が成長していても、自ステーションが生き残れるとは限らない」という認識が、これからの経営者には不可欠です。

    業界の質的転換期

    訪問看護業界は今、明確な質的転換期にあります。

    転換の方向性:

    • 「成長」から「淘汰」へ
    • 「量的拡大」から「質的向上」へ
    • 「参入機会」から「生存競争」へ
    • 「成長業界」から「成熟業界」へ
    • 「楽観」から「戦略」へ

    この転換を直視できるかどうかが、これからの経営者の分岐点となります。

    経営者が直視すべき5つの不都合な現実

    ここから、訪問看護経営者が直視すべき5つの不都合な現実を整理します。

    現実1: 新規開業の約4割が1年以内に廃止・休止

    最も衝撃的な現実が、新規開業の高い廃業率です。

    業界の構造:

    • 新規開業ステーションの約4割が1年以内に廃止・休止との指摘
    • 3年以内の廃業率はさらに高い
    • 開業ブームの裏で続く撤退
    • 倒産件数の継続的増加
    • 「開業すれば成功する」という幻想の崩壊

    「成長業界」の数字の裏で、これだけの撤退が発生している現実があります。

    現実2: 介護事業者倒産176件の過去最多更新

    2025年の介護事業者倒産176件は、業界の経営環境の厳しさを示す決定的な数字です。

    倒産176件の意味:

    • 過去最多の倒産件数
    • 業界全体の経営難
    • 中小事業者の淘汰加速
    • 物価高騰と人件費上昇の同時圧迫
    • 経営者の高齢化と後継者不在

    訪問看護も、この構造から無縁ではありません。

    現実3: 看護師確保の構造的困難

    看護師求人倍率10年ぶりの高水準が示す、看護師確保の構造的困難。

    困難の構造:

    • 看護師の絶対数不足
    • 訪問看護経験者の希少性
    • 採用コストの高騰(年収の20〜30%)
    • 採用後の早期離職リスク
    • 給与水準の競争激化

    「採用できないから縮小・撤退」という構造が、業界で発生しています。

    現実4: 処遇改善の限定性

    2026年改定の処遇改善加算1.8%は、看護師の処遇改善ニーズに対して明確に限定的です。

    限定性の構造:

    • 訪問介護への最大28.7%との大きな差
    • 看護師白書での66.8%の給与不満
    • 適正水準として30%以上の引き上げ要望
    • 加算1.8%だけでは離職連鎖を止められない
    • 構造的な処遇改善の不足

    「制度に頼れば何とかなる」という発想の限界が、明確に示されています。

    現実5: 業界の二極化と淘汰の同時進行

    業界の二極化と淘汰が、同時進行しています。

    同時進行の構造:

    • 機能強化型ステーションへの人材・利用者集中
    • 通常型・中小ステーションの淘汰
    • 大手法人グループの形成
    • 投資ファンドの参入
    • M&Aの活発化

    「業界平均」では捉えられない、構造的な格差拡大が進んでいます。

    ステーション数の頭打ち局面

    訪問看護ステーション数の頭打ち局面も、整理します。

    急成長期の終焉

    訪問看護ステーション数の急成長期は、明確に終焉に向かっています。

    終焉のサイン:

    • 新規開設数の伸び鈍化
    • 廃業・休止数の継続的増加
    • 純増数の縮小傾向
    • 中小事業者の参入鈍化
    • 投資ファンド主導のM&A中心化

    「右肩上がりの数」の時代は、終わりつつあります。

    地域による偏在

    ステーション数の地域偏在も、構造的問題です。

    偏在の構造:

    • 都市部の過剰参入
    • 地方・過疎地の不足
    • 中山間地域・離島での課題
    • 競合密度による経営難
    • 連携先関係の競争激化

    「需要があるのに事業所がない地域」と「事業所が密集して競合する地域」の二極化が進んでいます。

    規模別の動向

    事業所規模別の動向も、明確な傾向があります。

    規模別の傾向:

    • 大規模事業所: M&A・新規開設による拡大継続
    • 中規模事業所: 経営判断による進化と淘汰の分岐
    • 小規模事業所: 廃業・休止リスクの増大
    • 新規開設: 慎重化と参入障壁上昇

    「規模が経営の安定性を左右する」構造が、明確化しています。

    経営者の高齢化問題

    経営者の高齢化も、業界の構造変化の一因です。

    高齢化の影響:

    • 開業ブームの第一世代の引退期
    • 後継者不在の事業所増加
    • M&Aによる事業承継の増加
    • 廃業・休止判断の増加
    • 経営の質的バラつき

    「経営者の世代交代」が、業界の構造変化を加速させています。

    質的競争の本格化

    数の競争から、質的競争への移行も明確です。

    質的競争の要素:

    • 機能強化型の取得状況
    • 専門領域の差別化
    • ICT・DXの導入度
    • 看護師確保力
    • 連携先関係の質

    「数で勝負」の時代から「質で勝負」の時代への転換が、進行中です。

    淘汰時代の構造的要因

    訪問看護業界の淘汰時代を生む構造的要因を、整理します。

    要因1: 人件費の継続的上昇

    人件費の継続的上昇は、経営圧迫の最大要因です。

    人件費上昇の構造:

    • 看護師確保競争による給与上昇
    • 物価高騰に応じた賃上げ要求
    • 介護職員との給与差縮小
    • 採用コストの高騰
    • 退職時の引継ぎコスト

    人件費が売上の75〜80%を占める訪問看護では、人件費上昇が直接的な経営圧迫となります。

    要因2: 物価高騰の継続的圧迫

    物価高騰の継続も、経営の構造的圧迫要因です。

    物価高騰の影響:

    • 訪問用車両のガソリン代
    • 医療材料・消耗品費
    • 光熱費
    • 通信費
    • 一般物価の影響

    2026年改定の物価対応料(月60円・2日目以降20円)では、構造的な物価圧迫に対応しきれません。

    要因3: 制度変更への対応負担

    制度変更への対応負担も、中小事業者を圧迫しています。

    対応負担の構造:

    • 制度・加算の複雑化
    • 訪問看護記録の精緻化
    • レセプトシステムの継続更新
    • 行政手続きの増加
    • スタッフ教育の継続

    「制度変更だけで経営者の時間が消える」状況が、現実となっています。

    要因4: ICT・DX投資の必要性

    ICT・DX投資の必要性も、業界全体に拡大しています。

    投資の必要性:

    • 訪問看護記録システム
    • ケアプランデータ連携システム
    • D to P with N対応環境
    • セキュリティ対策
    • AIによる業務支援

    「ICT投資できない事業所は競争力を失う」構造が、確立しつつあります。

    要因5: 連携先関係の競争激化

    連携先関係の競争激化も、経営の重要要因です。

    競争激化の構造:

    • ケアマネジャーの「選ぶ目」の厳しさ
    • 連携病院の評価軸の精緻化
    • 訪問診療医との関係構築
    • 地域包括ケアでの位置づけ
    • ブランド力競争

    「連携先からの選好」が、経営の生命線となっています。

    業界の二極化が加速する

    淘汰時代と並行して、業界の二極化が加速しています。

    勝ち組ステーションの特徴

    業界の勝ち組ステーションには、共通の特徴があります。

    勝ち組の特徴:

    • 機能強化型の取得・維持
    • 競争力のある給与水準
    • 充実した教育・研修体制
    • ICT・DX投資の継続
    • 連携先関係の強さ
    • 安定したブランド力
    • 後継者の準備

    これらを満たすステーションは、淘汰時代でも安定した経営基盤を持ちます。

    負け組ステーションの特徴

    一方、負け組ステーションの特徴も明確です。

    負け組の特徴:

    • 通常型のままの停滞
    • 給与水準の地域以下
    • 教育体制の不備
    • ICT遅れ
    • 連携先関係の希薄化
    • ブランド力の弱さ
    • 経営者の現場業務過多

    これらに該当するステーションは、淘汰のリスクが極めて高い構造です。

    二極化の加速メカニズム

    二極化が加速する構造的メカニズムも、整理しておきます。

    加速のメカニズム:

    • 勝ち組ステーションへの人材集中
    • 利用者・連携先からの選好集中
    • 収益力の差による投資余力の差
    • 経営の質的差の拡大再生産
    • 業界での発言力の差

    このメカニズムが回り続ければ、業界の構造は固定化されていきます。

    中間層の縮小

    業界の中間層の縮小も、二極化の特徴です。

    中間層縮小の構造:

    • 「勝ち組」へのキャッチアップか撤退かの選択
    • 中途半端な経営の生存困難
    • M&Aによる吸収
    • 段階的な縮小・廃業
    • 業界全体の集約化

    「中間で生き残る」選択肢が、明確に狭まっています。

    業界全体への影響

    二極化と淘汰の同時進行は、業界全体に影響します。

    業界への影響:

    • 地域医療提供体制への影響
    • 質の高いサービスの集中
    • 看護師の選択肢の限定
    • 利用者の選択肢の限定
    • 業界の信頼性確保

    「業界の発展」と「個別事業所の生存」が、必ずしも一致しない構造です。

    経営者が今直視すべき5つの問い

    淘汰時代に向き合う経営者として、今直視すべき5つの問いを整理します。

    問い1: 自ステーションは「勝ち組」か「負け組」か

    最初の問いは、自ステーションの現在地です。

    評価の視点:

    • 機能強化型の取得状況
    • 給与水準の競争力
    • 看護師の定着率
    • 連携先関係の質
    • ICT・DXの導入度
    • 経営者の業務配分

    5つの項目すべてで「勝ち組」の特徴に該当しているか、率直に評価する必要があります。

    問い2: 3年後の自ステーションは存在しているか

    中長期的な存続可能性への問いです。

    存続性の評価:

    • 経営の持続可能性
    • 看護師確保の見通し
    • 連携先関係の継続性
    • 制度変更への対応力
    • 経営者の継続意向

    「3年後も今と同じ規模で運営している」イメージが具体的に描けるかどうか、自問する必要があります。

    問い3: 撤退判断の基準を持っているか

    撤退判断の基準も、明確化しておく必要があります。

    撤退判断の基準:

    • 連続赤字の年数
    • 看護師確保の困難度
    • 機能強化型要件の維持可否
    • スタッフからの信頼度
    • 利用者・連携先からの評価
    • 経営者の心身状態

    「撤退も視野に入れた経営計画」が、健全な経営の前提です。

    問い4: 後継者の準備はできているか

    事業承継への問いも、避けられません。

    承継準備の要素:

    • 後継者の特定
    • 引き継ぎ計画
    • 経営の標準化
    • 文書化と体系化
    • M&Aの選択肢

    「いつかは考える」ではなく「具体的に何年後を目標とするか」が重要です。

    問い5: スタッフ・利用者・地域への責任は果たせているか

    最後の問いは、経営の本質に関わります。

    責任の内容:

    • スタッフへの適正処遇
    • 利用者への質の高いケア
    • 地域医療への貢献
    • 業界全体への責任
    • 自身の人生への責任

    「経営の数字」だけでなく「経営の意義」を確認する問いが、これからの経営者には必要です。

    淘汰時代を生き抜く5つの戦略

    淘汰時代を生き抜くための5つの戦略を整理します。

    戦略1: 機能強化型の取得・維持

    最優先の戦略が、機能強化型訪問看護管理療養費の取得・維持です。

    取得・維持の方向性:

    • Type 1取得を目指すロードマップ
    • 看護師数・経験年数の確保
    • 24時間対応体制の充実
    • ターミナルケア実績の積み上げ
    • 連携病院との関係深化

    機能強化型は、淘汰時代の生存基盤です。

    戦略2: 看護師処遇の戦略的改善

    看護師処遇の戦略的改善も、生存戦略の中核です。

    改善の方向性:

    • 給与水準の地域競争力確保
    • 諸手当の充実
    • キャリアパスの整備
    • 多様な働き方の支援
    • 教育研修への投資

    「処遇改善はコストではなく投資」という認識が、淘汰時代を生き抜く前提です。

    戦略3: ICT・DXによる業務革新

    ICT・DXによる業務革新は、競争力の源泉です。

    革新の方向性:

    • 訪問看護記録システム
    • ケアプランデータ連携システム
    • D to P with N対応環境
    • AI支援ツール
    • セキュリティ対策

    「投資できない事業所は競争力を失う」時代です。

    戦略4: 連携先関係の戦略的強化

    連携先関係の戦略的強化も、生存戦略の柱です。

    強化の方向性:

    • 主要連携先への定期訪問
    • 連携先別の関係管理
    • 多職種カンファレンスへの参加
    • 退院時共同指導の実施
    • 地域内勉強会の主催

    連携先関係は、利用者獲得の生命線です。

    戦略5: 撤退・M&Aも視野に入れた戦略

    最後に、撤退・M&Aも視野に入れた戦略の重要性です。

    選択肢の整理:

    • 単独経営の継続
    • M&Aによる売却
    • 法人グループへの参画
    • 段階的縮小
    • 撤退

    「撤退も正当な経営判断」という認識が、健全な経営の前提です。

    業界全体の未来への視点

    訪問看護業界の未来への視点も、整理しておきます。

    短期(2026年〜2028年): 淘汰の加速期

    短期的には、淘汰の加速期が継続します。

    短期の見通し:

    • 倒産・廃業件数の継続的増加
    • M&Aの活発化
    • 機能強化型への集中
    • 中小事業者の淘汰
    • 業界の二極化加速

    「淘汰の波」を乗り越えることが、短期的な経営の最重要課題です。

    中期(2028年〜2030年): 質的転換期

    中期的には、業界の質的転換期となります。

    中期の見通し:

    • 大規模法人グループの形成
    • 専門特化型ステーションの確立
    • 看護師処遇の改善継続
    • ICT・DXの本格普及
    • 業界の質的向上

    「淘汰の後」に何が残るかが、中期的な業界の姿を決めます。

    長期(2030年以降): 新しい業界像

    長期的には、新しい業界像が確立されます。

    長期の見通し:

    • 集約化された業界構造
    • 質の高いサービス提供
    • 看護師の社会的地位向上
    • 国際的な日本モデル
    • 持続可能性の確保

    「淘汰の後の業界」で、どう位置づけられるかが、これからの経営者の戦略です。

    業界全体への責任

    最後に、業界全体への責任という視点も忘れてはなりません。

    責任の方向性:

    • 適正運営の実践
    • グッドプラクティスの共有
    • 業界団体への参加
    • 後進への指導
    • 業界の信頼向上

    「自ステーションだけ生き残れば良い」ではなく「業界全体の発展に貢献する」姿勢が、経営者の成熟です。

    訪問看護の社会的価値

    業界の構造変化の中でも、訪問看護の社会的価値は揺らぎません。

    社会的価値:

    • 在宅医療の中核
    • 地域社会のインフラ
    • 看取りの支援
    • ご家族の希望の実現
    • 日本の医療の未来

    この社会的価値を守り続けることが、業界の本質的な目的です。

    まとめ

    訪問看護業界は、「成長業界」から「淘汰時代」への明確な構造転換期を迎えています。新規開業の約4割が1年以内に廃止・休止、2025年の介護事業者倒産176件の過去最多、看護師確保の構造的困難、処遇改善の限定性、業界の二極化加速——5つの不都合な現実が、業界の前提を変えつつあります。

    ステーション数の急成長期は終焉に向かい、規模別・地域別の動向、経営者の高齢化、質的競争の本格化が、業界の構造変化を加速させています。人件費の継続的上昇、物価高騰、制度変更対応負担、ICT・DX投資の必要性、連携先関係の競争激化——5つの構造的要因が、淘汰時代を生む基盤です。

    業界の二極化と淘汰の同時進行により、勝ち組ステーションと負け組ステーションの差が拡大し、中間層が縮小する構造が確立しつつあります。経営者として今直視すべき5つの問い(現在地、3年後の存続、撤退基準、後継者準備、責任の遂行)に正直に向き合うことが、これからの経営の出発点となります。

    淘汰時代を生き抜く5つの戦略(機能強化型の取得・維持、看護師処遇の戦略的改善、ICT・DXによる業務革新、連携先関係の戦略的強化、撤退・M&Aも視野に入れた戦略)を、自ステーションの実情に応じて選択・実行することが、生存の前提です。

    業界全体としては、短期の淘汰加速期、中期の質的転換期、長期の新しい業界像という流れの中で、訪問看護の社会的価値を守り続けることが、業界の本質的な目的です。

    「成長業界だから何とかなる」という楽観論は、もはや成立しません。淘汰時代を直視し、戦略的に対応することが、これからの訪問看護経営者に求められる本質的な能力です。「自ステーションが3年後・5年後も存在しているか」——この問いに具体的に答えられる経営が、淘汰時代を生き抜く唯一の道です。

    HokanPressでは、訪問看護経営の本質的なテーマについて、引き続き率直な発信を続けてまいります。

    この記事が含まれる特集

    訪問看護の倒産・廃業|潰れる原因と黒字化の対策
    #訪問看護#廃業#淘汰#経営難#業界の構造変化#倒産#ステーション数#二極化
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    執筆者

    宮木

    訪問看護ステーション経営者・救急看護認定看護師

    大学病院 救命救急センター 5年 / 手術室 2年 / 大手訪問看護ステーション 5年 / 訪問看護ステーション設立・代表

    小学生の頃から訪問看護師を志し、大学病院の救命救急センター・手術室で急性期医療の現場経験を積む。救急看護認定看護師の資格を取得後、大手訪問看護ステーションでの勤務を経て独立。現場と経営の両視点から、医療従事者に実践的な情報を届けます。

    保有資格: 看護師免許 / 救急看護認定看護師 / BLSプロバイダー / ICLSプロバイダー

    ※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています

    2026年7月16日