訪問看護の ターミナルケア加算・ターミナルケア療養費の 算定要件|介護2,500単位と 医療25,000円、 14日以内の 回数、 医療と 介護どちらで 算定するか

Summary
訪問看護の看取りの評価は、介護保険のターミナルケア加算(死亡月に2,500単位)と、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費(25,000円。特別養護老人ホーム等で看取り介護加算等を算定している場合は10,000円)の2つです。死亡日と死亡日前14日以内の訪問の数え方、医療と介護の両方で訪問したときにどちらで算定するか、記録書に書くこと、運営指導での指摘例を、告示と留意事項通知から整理しました。
目次13項目
訪問看護ステーションが利用者の看取りまで支えたときの評価は、保険によって2つに分かれます。介護保険の「ターミナルケア加算」と、医療保険の「訪問看護ターミナルケア療養費」です。金額だけでなく、訪問の数え方や届出の要否も違います。
医療保険と介護保険の両方で訪問していた利用者は、どちらで算定するかに決まりがあります。要件の原文の位置は、加算辞典のターミナルケア加算(介護保険)と訪問看護ターミナルケア療養費で確かめられます。
金額と届出
| 項目 | ターミナルケア加算(介護保険) | 訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険) |
|---|---|---|
| 金額 | 死亡月につき2,500単位 | 療養費1は25,000円、療養費2は10,000円 |
| 訪問の要件 | 死亡日と死亡日前14日以内に、2日以上ターミナルケアを行う(末期の悪性腫瘍などは1日以上) | 死亡日と死亡日前14日以内に、2回以上訪問看護を行う |
| 届出 | 必要(都道府県知事) | 不要 |
| 算定できる事業所 | 1人の利用者につき1か所 | 他のステーションが算定している場合は算定できない |
| 2026年6月の改定 | 変更なし | 金額は変更なし。2回の数え方に、新設の包括型訪問看護療養費が加わった |
介護保険のターミナルケア加算
算定の要件
告示は、在宅で死亡した利用者について、届出をした事業所が、死亡日と死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合に、死亡月に2,500単位を加算するとしています。ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合も含みます。
利用者が末期の悪性腫瘍など厚生労働大臣が定める状態にあり、死亡日と死亡日前14日以内に訪問看護を行っている場合は、2日ではなく1日以上で足ります。対象は、告示に書かれている末期の悪性腫瘍と、告示94号の第8号が定める次の状態です。
- 多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上で生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のパーキンソン病)、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態
- 急性増悪その他、主治医が一時的に頻回の訪問看護が必要であると認める状態
届出の基準
都道府県知事に届け出ます。告示95号の第8号が定める基準は次の3つです。
- ターミナルケアを受ける利用者について24時間連絡できる体制を確保し、必要に応じて訪問看護を行える体制を整えている
- 主治医との連携の下で、ターミナルケアの計画と支援体制について利用者・家族等に説明し、同意を得てターミナルケアを行っている
- ターミナルケアの提供について、利用者の身体状況の変化など必要な事項を適切に記録している
算定する月
ターミナルケアを最後に行った日の月と、利用者が亡くなった月が違う場合は、死亡月に算定します。
医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費
算定の要件
告示は、主治医の指示により、死亡日と死亡日前14日以内に2回以上訪問看護を行い、かつ、訪問看護のターミナルケアの支援体制を利用者・家族等に説明したうえでターミナルケアを行った場合に算定するとしています。2回には、退院支援指導加算の算定に係る療養上必要な指導も含みます。
留意事項通知は、この「2回」を次のように具体的に書いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 数える期間 | 死亡日と死亡日前14日以内の計15日間 |
| 数えるもの | 訪問看護基本療養費、精神科訪問看護基本療養費、退院支援指導加算、包括型訪問看護療養費のいずれかを合わせて2回以上算定していること |
| 説明する支援体制 | ステーションの連絡担当者の氏名、連絡先電話番号、緊急時の注意事項など |
| 1回を退院支援指導加算とする場合 | 退院日に、ターミナルケアに係る療養上必要な指導を行っていること |
退院の日の指導の要件は、退院支援指導加算の記事で整理しています。
療養費1と療養費2
| 対象 | 金額 | |
|---|---|---|
| 療養費1 | 在宅で死亡した利用者(ターミナルケア後24時間以内に在宅以外で死亡した人を含む)。または、特別養護老人ホーム等で死亡した利用者のうち、看取り介護加算等を算定していない人 | 25,000円 |
| 療養費2 | 特別養護老人ホーム等で死亡した利用者のうち、看取り介護加算等を算定している人 | 10,000円 |
留意事項通知は、「特別養護老人ホーム等」を、指定特定施設、指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定介護老人福祉施設としています。特別養護老人ホーム等で亡くなった場合も、ターミナルケア後24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した人を含みます。
算定できない場合
同じ利用者について、次のどれかを算定している場合は、訪問看護ターミナルケア療養費を算定できません。
- 他の訪問看護ステーションの訪問看護ターミナルケア療養費
- 医療機関の在宅患者訪問看護・指導料の在宅ターミナルケア加算
- 医療機関の同一建物居住者訪問看護・指導料の同一建物居住者ターミナルケア加算
介護と医療の違い
| ターミナルケア加算(介護保険) | 訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険) | |
|---|---|---|
| 告示の書き方 | 2日以上ターミナルケアを行う | 2回以上訪問看護を行う |
| 回数の例外 | 末期の悪性腫瘍などは1日以上 | なし |
| 主治医との関係 | 主治医との連携の下で計画と支援体制を説明し、同意を得る(届出の基準) | 主治医の指示により訪問する |
| 亡くなった場所 | 在宅(ターミナルケア後24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む) | 在宅に加え、特別養護老人ホーム等も対象 |
| 届出 | 必要 | 不要 |
| 記録書に書くこと | 下の3項目 | 死亡した場所と死亡時刻など |
医療と介護の両方で訪問していた場合
1つのステーションが、死亡日と死亡日前14日以内に、介護保険と医療保険の訪問看護をそれぞれ1日以上行った場合は、最後に行った訪問看護の制度で算定します。
- 最後の訪問が医療保険: 訪問看護ターミナルケア療養費を算定します(医療保険の留意事項通知)
- 最後の訪問が介護保険: 介護保険のターミナルケア加算を算定します。他方の制度では算定できません(介護保険の留意事項通知)
介護保険で算定した場合は、同じ月の定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護のターミナルケア加算、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費、医療機関の訪問看護・指導料の在宅ターミナルケア加算は算定できません。
状態が変わって特別訪問看護指示書が出たときなど、看取りの直前に介護保険から医療保険に切り替わる利用者もいます。どちらで算定するかは最後の訪問で決まるので、亡くなる前の2週間の訪問を、保険ごとに日付で追えるようにしておくことが大切です。これは編集部の考えです。
亡くなった場所と、病院への搬送
どちらの制度も、ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で亡くなった場合を算定の対象に含めています。
介護保険の留意事項通知は、ターミナルケアを行っている途中で、死亡診断を目的に医療機関へ搬送し、24時間以内に死亡が確認される場合なども、算定できるとしています。
一方で、東京都福祉局が運営指導の主な指摘事項としてまとめた資料は、「在宅以外で死亡した利用者について、ターミナルケア加算を適用」していた例を挙げています。24時間以内という条件に当てはまるかを、死亡時刻と最後のケアの時刻で確かめられるように記録しておく必要があります。
訪問看護記録書に書くこと
介護保険のターミナルケア加算では、次の3つを記録します。東京都の資料も、同じ3つを記録が必要な事項として挙げています。
- 終末期の身体症状の変化と、それに対する看護
- 療養や死別に関する利用者・家族の精神的な状態の変化と、それに対するケアの経過
- 看取りを含むターミナルケアの各プロセスで把握した利用者・家族の意向と、それに基づくアセスメント・対応の経過
医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費を算定した場合は、死亡した場所と死亡時刻などを訪問看護記録書に記録します。留意事項通知は、ターミナルケアの実施について、厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を踏まえて利用者・家族等と話し合い、本人の意思決定を基本に、他の関係者と連携して対応することも求めています。
記録書の書き方全体は、訪問看護記録の書き方の記事で整理しています。
運営指導で指摘された例(東京都)
東京都福祉局の資料「運営指導における主な指摘事項について(第2部 算定編)【指定(介護予防)訪問看護】」は、ターミナルケア加算の指摘事例として次の3つを挙げています。
- 在宅以外で死亡した利用者について、ターミナルケア加算を適用していた
- 事前に利用者と家族の同意を得ていなかった
- 療養や死別に関する利用者と家族の精神的な状態の変化と、それに対するケアの経過についての記録がなかった
どれも、届出の基準と記録の要件にそのまま対応しています。説明と同意の日付、死亡の場所と時刻、精神面のケアの経過は、算定の前に記録書で確かめておきたい項目です。
遠隔死亡診断補助加算
研修を受けた看護師が、主治医の指示で、情報通信機器を用いた医師の死亡診断を補助した場合の加算です。対象は、医療機関が死亡診断加算を算定する利用者のうち、厚生労働大臣が定める地域(特別地域)に住む人です。
| 介護保険 | 医療保険 | |
|---|---|---|
| 金額 | 死亡月につき150単位 | 1,500円(ターミナルケア療養費に加算) |
| 届出 | 必要(都道府県知事) | 必要(地方厚生(支)局長) |
要件は加算辞典の遠隔死亡診断補助加算(介護保険)と遠隔死亡診断補助加算(医療保険)にまとめています。
看護体制強化加算の人数と、2027年度改定の議論
介護保険の看護体制強化加算(1月に(Ⅰ)550単位・(Ⅱ)200単位)は、算定日の属する月の前12月間に、ターミナルケア加算を算定した利用者が(Ⅰ)は5人以上、(Ⅱ)は1人以上いることを要件の一つにしています。告示が数えるのは介護保険の訪問看護費のターミナルケア加算なので、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費を算定した利用者は、この人数に入りません。
10月19日の介護給付費分科会(第271回)の資料は、この要件を取り上げています。
- 看護体制強化加算を算定できない理由で最も多かったのは、「前12月間にターミナルケア加算を算定した利用者が5人以上」の33.6%(1,129事業所中379。令和8年度老人保健健康増進等事業の速報値)
- これまでの分科会では、ターミナル期に最期は介護保険から医療保険に切り替わるケースがかなり多く、切り替えた件数の分の介護報酬側の評価を検討すべきではないか、という意見が出ていた
- 対応案は、利用者は年齢や疾患、状態によって医療保険か介護保険の適応になることから、事業所の実態に応じて看護体制強化加算におけるターミナルケア加算を評価してはどうか、というもの
医療保険の療養費をどのように数えるかなど、具体的な見直しの中身は、この資料にはまだ示されていません。2027年度改定の論点は、回ごとに2027年改定トラッカーと特集「訪問看護の2027年度改定」にまとめています。
現場での段取り(編集部の見立て)
- ターミナル期に入ったら、支援体制(連絡担当者の氏名、電話番号、緊急時の注意事項)を書面にして説明し、説明した日と相手を記録する。介護保険では同意を得たことも記録に残す
- 亡くなる前の2週間は、訪問した日を保険ごとに記録し、最後の訪問がどちらの保険だったかを請求担当者と共有する
- 亡くなった場所と時刻、最後にターミナルケアを行った時刻を記録書に残す。24時間以内の条件を後から確かめられるようにするため
- 特別養護老人ホーム等で亡くなった場合は、施設が看取り介護加算等を算定しているかを確かめる(療養費1と2の区別に必要)
- 看護体制強化加算を算定している事業所は、介護保険のターミナルケア加算の算定者を12か月分数えておく
看取りに向き合う訪問看護の現場については、「家で最期を迎えたい」という願いと、17%という現実と訪問看護で看取りを経験するということでも書いています。加算全体の解説は特集「訪問看護の加算ガイド」へ。
よくある質問
Q. 病院に運ばれて亡くなった場合は算定できますか
ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で亡くなった場合は、介護保険のターミナルケア加算も、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費(療養費1)も、算定の対象に含まれます。
Q. 医療保険と介護保険の両方で訪問していた場合は、どちらで算定しますか
1つのステーションが、死亡日と死亡日前14日以内に両方の訪問看護をそれぞれ1日以上行った場合は、最後に行った訪問看護の制度で算定します。
Q. 特別養護老人ホームで亡くなった場合は、療養費1と2のどちらですか
施設が看取り介護加算等を算定していれば療養費2(10,000円)、算定していなければ療養費1(25,000円)です。
Q. 退院した日の指導は、2回のうちに数えられますか
数えられます。医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費の2回には、退院支援指導加算の算定に係る指導を含みます。ただし、退院日にターミナルケアに係る療養上必要な指導を行っていることが必要です。
Q. 届出は必要ですか
介護保険のターミナルケア加算は、都道府県知事への届出が必要です。医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費は、届出は要りません(遠隔死亡診断補助加算を算定する場合は届出が必要です)。
Q. 看護体制強化加算の人数に、医療保険のターミナルケア療養費は入りますか
入りません。告示が数えるのは、介護保険の訪問看護費のターミナルケア加算を算定した利用者です。2027年度改定に向けて、事業所の実態に応じた評価を検討する案が示されています。
出典
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号・現行)別表 訪問看護費 注15・注16 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0253&dataType=0&pageNo=1
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号・現行)第8号 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab4583&dataType=0&pageNo=1
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号・現行)第8号・第9号 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab4584&dataType=0&pageNo=1
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)第2の4(21)(リンク先は令和6年3月15日の改正通知。この項目は番号の変更のみのため、本文は「略」になっています) https://www.mhlw.go.jp/content/001227724.pdf
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示第67号・現行)区分番号05 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9734&dataType=0&pageNo=1
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保発0305第19号)第8 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686845.pdf
- 第271回 社会保障審議会介護給付費分科会(2026年10月19日)資料3 訪問看護 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001760335.pdf
- 東京都福祉局指導監査部「運営指導における主な指摘事項について(第2部 算定編)【指定(介護予防)訪問看護】」 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/r6houmonkango2-pdf
※本稿は、告示と留意事項通知の本文、介護給付費分科会の資料、東京都の運営指導資料をもとにまとめました。「現場での段取り」と、亡くなる前の訪問の記録についての記述は編集部の考えです。
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執筆者
医療・看護・介護の多職種チーム
訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム
HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。
保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士
※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています


