訪問看護ステーションが利用者の看取りまで支えたときの評価は、保険によって2つに分かれます。介護保険の「ターミナルケア加算」と、医療保険の「訪問看護ターミナルケア療養費」です。金額だけでなく、訪問の数え方や届出の要否も違います。
医療保険と介護保険の両方で訪問していた利用者は、どちらで算定するかに決まりがあります。要件の原文の位置は、加算辞典のターミナルケア加算(介護保険)と訪問看護ターミナルケア療養費で確かめられます。
| 項目 | ターミナルケア加算(介護保険) | 訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険) |
|---|---|---|
| 金額 | 死亡月につき2,500単位 | 療養費1は25,000円、療養費2は10,000円 |
| 訪問の要件 | 死亡日と死亡日前14日以内に、2日以上ターミナルケアを行う(末期の悪性腫瘍などは1日以上) | 死亡日と死亡日前14日以内に、2回以上訪問看護を行う |
| 届出 | 必要(都道府県知事) | 不要 |
| 算定できる事業所 | 1人の利用者につき1か所 | 他のステーションが算定している場合は算定できない |
| 2026年6月の改定 | 変更なし | 金額は変更なし。2回の数え方に、新設の包括型訪問看護療養費が加わった |
告示は、在宅で死亡した利用者について、届出をした事業所が、死亡日と死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合に、死亡月に2,500単位を加算するとしています。ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合も含みます。
利用者が末期の悪性腫瘍など厚生労働大臣が定める状態にあり、死亡日と死亡日前14日以内に訪問看護を行っている場合は、2日ではなく1日以上で足ります。対象は、告示に書かれている末期の悪性腫瘍と、告示94号の第8号が定める次の状態です。
都道府県知事に届け出ます。告示95号の第8号が定める基準は次の3つです。
ターミナルケアを最後に行った日の月と、利用者が亡くなった月が違う場合は、死亡月に算定します。
告示は、主治医の指示により、死亡日と死亡日前14日以内に2回以上訪問看護を行い、かつ、訪問看護のターミナルケアの支援体制を利用者・家族等に説明したうえでターミナルケアを行った場合に算定するとしています。2回には、退院支援指導加算の算定に係る療養上必要な指導も含みます。
留意事項通知は、この「2回」を次のように具体的に書いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 数える期間 | 死亡日と死亡日前14日以内の計15日間 |
| 数えるもの | 訪問看護基本療養費、精神科訪問看護基本療養費、退院支援指導加算、包括型訪問看護療養費のいずれかを合わせて2回以上算定していること |
| 説明する支援体制 | ステーションの連絡担当者の氏名、連絡先電話番号、緊急時の注意事項など |
| 1回を退院支援指導加算とする場合 | 退院日に、ターミナルケアに係る療養上必要な指導を行っていること |
退院の日の指導の要件は、退院支援指導加算の記事で整理しています。
| 対象 | 金額 | |
|---|---|---|
| 療養費1 | 在宅で死亡した利用者(ターミナルケア後24時間以内に在宅以外で死亡した人を含む)。または、特別養護老人ホーム等で死亡した利用者のうち、看取り介護加算等を算定していない人 | 25,000円 |
| 療養費2 | 特別養護老人ホーム等で死亡した利用者のうち、看取り介護加算等を算定している人 | 10,000円 |
留意事項通知は、「特別養護老人ホーム等」を、指定特定施設、指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定介護老人福祉施設としています。特別養護老人ホーム等で亡くなった場合も、ターミナルケア後24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した人を含みます。
同じ利用者について、次のどれかを算定している場合は、訪問看護ターミナルケア療養費を算定できません。
| ターミナルケア加算(介護保険) | 訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険) | |
|---|---|---|
| 告示の書き方 | 2日以上ターミナルケアを行う | 2回以上訪問看護を行う |
| 回数の例外 | 末期の悪性腫瘍などは1日以上 | なし |
| 主治医との関係 | 主治医との連携の下で計画と支援体制を説明し、同意を得る(届出の基準) | 主治医の指示により訪問する |
| 亡くなった場所 | 在宅(ターミナルケア後24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む) | 在宅に加え、特別養護老人ホーム等も対象 |
| 届出 | 必要 | 不要 |
| 記録書に書くこと | 下の3項目 | 死亡した場所と死亡時刻など |
1つのステーションが、死亡日と死亡日前14日以内に、介護保険と医療保険の訪問看護をそれぞれ1日以上行った場合は、最後に行った訪問看護の制度で算定します。
介護保険で算定した場合は、同じ月の定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護のターミナルケア加算、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費、医療機関の訪問看護・指導料の在宅ターミナルケア加算は算定できません。
状態が変わって特別訪問看護指示書が出たときなど、看取りの直前に介護保険から医療保険に切り替わる利用者もいます。どちらで算定するかは最後の訪問で決まるので、亡くなる前の2週間の訪問を、保険ごとに日付で追えるようにしておくことが大切です。これは編集部の考えです。
どちらの制度も、ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で亡くなった場合を算定の対象に含めています。
介護保険の留意事項通知は、ターミナルケアを行っている途中で、死亡診断を目的に医療機関へ搬送し、24時間以内に死亡が確認される場合なども、算定できるとしています。
一方で、東京都福祉局が運営指導の主な指摘事項としてまとめた資料は、「在宅以外で死亡した利用者について、ターミナルケア加算を適用」していた例を挙げています。24時間以内という条件に当てはまるかを、死亡時刻と最後のケアの時刻で確かめられるように記録しておく必要があります。
介護保険のターミナルケア加算では、次の3つを記録します。東京都の資料も、同じ3つを記録が必要な事項として挙げています。
医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費を算定した場合は、死亡した場所と死亡時刻などを訪問看護記録書に記録します。留意事項通知は、ターミナルケアの実施について、厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を踏まえて利用者・家族等と話し合い、本人の意思決定を基本に、他の関係者と連携して対応することも求めています。
記録書の書き方全体は、訪問看護記録の書き方の記事で整理しています。
東京都福祉局の資料「運営指導における主な指摘事項について(第2部 算定編)【指定(介護予防)訪問看護】」は、ターミナルケア加算の指摘事例として次の3つを挙げています。
どれも、届出の基準と記録の要件にそのまま対応しています。説明と同意の日付、死亡の場所と時刻、精神面のケアの経過は、算定の前に記録書で確かめておきたい項目です。
研修を受けた看護師が、主治医の指示で、情報通信機器を用いた医師の死亡診断を補助した場合の加算です。対象は、医療機関が死亡診断加算を算定する利用者のうち、厚生労働大臣が定める地域(特別地域)に住む人です。
| 介護保険 | 医療保険 | |
|---|---|---|
| 金額 | 死亡月につき150単位 | 1,500円(ターミナルケア療養費に加算) |
| 届出 | 必要(都道府県知事) | 必要(地方厚生(支)局長) |
要件は加算辞典の遠隔死亡診断補助加算(介護保険)と遠隔死亡診断補助加算(医療保険)にまとめています。
介護保険の看護体制強化加算(1月に(Ⅰ)550単位・(Ⅱ)200単位)は、算定日の属する月の前12月間に、ターミナルケア加算を算定した利用者が(Ⅰ)は5人以上、(Ⅱ)は1人以上いることを要件の一つにしています。告示が数えるのは介護保険の訪問看護費のターミナルケア加算なので、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費を算定した利用者は、この人数に入りません。
10月19日の介護給付費分科会(第271回)の資料は、この要件を取り上げています。
医療保険の療養費をどのように数えるかなど、具体的な見直しの中身は、この資料にはまだ示されていません。2027年度改定の論点は、回ごとに2027年改定トラッカーと特集「訪問看護の2027年度改定」にまとめています。
看取りに向き合う訪問看護の現場については、「家で最期を迎えたい」という願いと、17%という現実と訪問看護で看取りを経験するということでも書いています。加算全体の解説は特集「訪問看護の加算ガイド」へ。
ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で亡くなった場合は、介護保険のターミナルケア加算も、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費(療養費1)も、算定の対象に含まれます。
1つのステーションが、死亡日と死亡日前14日以内に両方の訪問看護をそれぞれ1日以上行った場合は、最後に行った訪問看護の制度で算定します。
施設が看取り介護加算等を算定していれば療養費2(10,000円)、算定していなければ療養費1(25,000円)です。
数えられます。医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費の2回には、退院支援指導加算の算定に係る指導を含みます。ただし、退院日にターミナルケアに係る療養上必要な指導を行っていることが必要です。
介護保険のターミナルケア加算は、都道府県知事への届出が必要です。医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費は、届出は要りません(遠隔死亡診断補助加算を算定する場合は届出が必要です)。
入りません。告示が数えるのは、介護保険の訪問看護費のターミナルケア加算を算定した利用者です。2027年度改定に向けて、事業所の実態に応じた評価を検討する案が示されています。
※本稿は、告示と留意事項通知の本文、介護給付費分科会の資料、東京都の運営指導資料をもとにまとめました。「現場での段取り」と、亡くなる前の訪問の記録についての記述は編集部の考えです。