訪問看護の加算は、この数年でどう変わったか——点数の推移が示す国の意図と、これからの傾向|重症・専門性・看取りへ傾斜し、評価軸は「回数」から「機能」へ

Summary
訪問看護の加算は、改定のたびに姿を変えてきました。新設される加算、引き上げられる点数、そして厳しくなる要件と減算。その一つひとつに、国が訪問看護に何を期待しているかというメッセージが込められています。専門管理加算の新設、ターミナルケア加算の引き上げ、機能強化型の拡充、そして同一建物への逓減。数年間の推移から読み取れる五つの傾向と、これから訪問看護がどこへ向かうのかを、HokanPress編集部が分析します。
訪問看護の加算は、改定のたびにその姿を変えてきました。
新しく設けられる加算があり、点数が引き上げられる加算があり、その一方で、要件が厳しくなり、減算が導入されるものもあります。一つひとつの変更には、国が訪問看護に何を期待しているのかという、明確なメッセージが込められています。
加算の推移を追うことは、国の政策の方向を読むことでもあります。今回は、ここ数年の加算の変化から読み取れる五つの傾向と、これから訪問看護がどこへ向かうのかを、分析してお届けします。
傾向① 重症・医療依存度の高い利用者へ、評価が傾いている
最も一貫している流れが、重症で、医療への依存度が高い利用者を支える事業所を、手厚く評価するという方向です。
背景には、利用者像の変化があります。介護保険で訪問看護を使う人のなかにも、悪性新生物や循環器系の疾患といった重い病を抱える人が増え、褥瘡の処置や人工肛門の管理、終末期の緩和ケアが、在宅で行われるようになりました。
2024年度の改定では、医療保険の訪問看護管理療養費が2区分に再編され、重症度の高い利用者の割合などが、要件に組み込まれました。精神科の分野でも、GAF尺度が40以下の利用者数が、管理療養費1の要件に加えられています。単なる算定ルールの変更ではなく、重い精神障害のある人を地域で支えるステーションを増やしたい、という政策の意図が読み取れます。
2026年度の改定では、この方向がさらに明確になりました。重症の難病や、精神科の訪問看護への対応力が高い事業所を評価する、機能強化型訪問看護管理療養費4が新設されたのです。月の初日で9,030円。常勤の看護師4名以上、24時間の対応体制、重症者や精神障害のある人への実績などが要件になります。
傾向② 専門性が、点数として評価されるようになった
二つ目が、看護師の専門性そのものを評価する流れです。
2022年度の改定で新設された専門管理加算が、その象徴といえます。緩和ケアや褥瘡ケアなどに関する専門的な研修を受けた看護師や、特定行為研修を修了した看護師による、計画的な管理を評価するものです。介護保険では、2024年度の改定で、250単位の専門管理加算が設けられました。
機能強化型の要件にも、専門性の高い研修を修了した看護師の配置が求められています。以前の記事で取り上げた特定行為研修が、報酬の面でも、着実に位置づけを得つつあるのです。経験と専門性を積んだ看護師を育てることが、そのまま収益にもつながる。そういう構造が、少しずつ形になってきました。
傾向③ 看取りと、24時間対応への評価が厚くなった
三つ目が、在宅での看取りと、24時間の対応体制に対する評価の強化です。
2024年度の介護報酬改定では、ターミナルケア加算が2,500単位に引き上げられました。緊急時訪問看護加算にも(Ⅰ)と(Ⅱ)の2区分が設けられ、より高度な24時間の体制を持つステーションが、手厚く評価される形になりました。退院した当日の訪問を評価する初回加算(Ⅰ)350単位も、新たに設けられています。
2026年度の改定では、24時間対応体制加算、特別管理加算、ターミナルケア療養費、緊急訪問看護加算といった主要な加算が、単位数も要件も、そのまま継続されました。看取りと24時間対応を、訪問看護の中核的な機能として位置づける姿勢は、揺らいでいません。


