看護師は 減っていない、 2024年は 過去最多の 136万人——減っているのは 准看護師で、 ピークから 40.8%減

Summary
看護師は年々減っているのか。厚生労働省の衛生行政報告例で確認すると、2024年末の就業看護師は1,363,142人で過去最多です。減っているのは准看護師で、2002年の393,413人から233,022人へ、40.8%減りました。看護師と准看護師を合わせた総数は増えていますが、その伸びは2020年以降ほとんど止まっています。数字を追います。
目次8項目
看護師は減っているのか。
結論から書くと、減っていません。厚生労働省の衛生行政報告例によると、2024年末の就業看護師数は1,363,142人で、これは過去最多です。
減っているのは准看護師です。2024年末で233,022人。2002年の393,413人と比べると、40.8%減りました。
看護師不足という言葉が使われるとき、人数が減っていると受け取られることがありますが、統計上はそうなっていません。何が起きているのかを、数字で追います。
20年で1.79倍
衛生行政報告例は隔年で公表される調査です。就業している医療関係者の数を、各都道府県からの報告をもとに集計しています。
就業看護師数の推移を見ると、1965年が133,985人。2004年に760,221人、2024年に1,363,142人です。この20年で1.79倍になりました。
直近の動きも増加です。2018年が1,218,606人、2020年が1,280,911人、2022年が1,311,687人、そして2024年が1,363,142人。2年ごとに5万人から7万人のペースで増えてきました。
ただし、2020年から2022年の増加は30,776人で、それ以前の半分以下に落ちています。2022年から2024年は51,455人で、元のペースに戻りました。
准看護師は2002年がピーク
一方の准看護師です。
1965年が111,226人。そこから増え続け、2002年の393,413人でピークを迎えます。以降は減少が続き、2024年には233,022人になりました。ピークから160,391人、率にして40.8%の減少です。
減り方も加速しています。2004年から2010年ごろまでは2年あたり3,000人から7,000人の減少でしたが、2014年以降は毎回17,000人から30,000人減っています。2020年から2022年は30,260人減、2022年から2024年は21,307人減です。
准看護師の養成課程が縮小してきたこと、そして就業者の高齢化が背景にあります。
合計では、伸びが止まりかけた年がある
看護師と准看護師を合わせた数で見ると、別の姿が出てきます。
2018年が1,523,085人、2020年が1,565,500人、2022年が1,566,016人、2024年が1,596,164人。
2020年から2022年の増加が、516人です。2年間で500人ほどしか増えていません。
それ以前は2年で4万人から6万人増えていました。この時期、看護師の増加が30,776人に鈍り、准看護師の減少が30,260人に拡大したため、両者がほぼ相殺された形です。
2022年から2024年は30,148人増と回復していますが、それでも2010年代の伸びには届いていません。
看護職の総数は、増加のペースを落としています。
構成が入れ替わっている
もう一つの変化が、看護師と准看護師の比率です。
看護師と准看護師の合計に占める准看護師の割合は、2014年が23.8%、2016年が21.9%、2018年が20.0%、2020年が18.2%、2022年が16.2%、2024年が14.6%でした。
10年で9ポイント下がっています。看護職の中身が、准看護師から看護師へ置き換わってきたということです。
この置き換えは、単なる人数の移動ではありません。准看護師は都道府県知事の免許で、医師、歯科医師または看護師の指示を受けて業務を行います。看護師は国家資格で、療養上の世話と診療の補助を主体的に担います。制度上できることが違うため、構成が変われば現場の運用も変わります。
訪問看護との関係
この記事は訪問看護の媒体なので、そこにつなげます。
衛生行政報告例では、就業場所別の内訳も集計されています。訪問看護ステーションに勤務する看護師は約9万1千人で、2年前より2万47人増えました。
同じ2年間に、看護師全体は51,455人増えています。増加分の約4割が訪問看護ステーションに入った計算になります。編集部の試算です。
ところが、訪問看護の求人倍率は4.54倍で、施設種別のなかで最も高いままです。2万人増えても、採れない状態が続いています。
理由の一つは、事業所が同時に増えていることです。訪問看護ステーションの指定数は2025年4月時点で19,314か所。1事業所あたりの看護職員は平均5.4人という規模です。増えた人材が、増えた事業所に薄く配られています。
当メディアで求人倍率を扱った際、倍率が上がった主因は求人の増加ではなく、転職市場に出てくる看護師の減少だと書きました。看護師の総数が増えていることと、採用できないことは、両立します。
准看護師の減少が効く場所
准看護師の減少は、訪問看護にも関わります。
訪問看護ステーションの人員基準は、保健師、看護師または准看護師を常勤換算で2.5人以上です。准看護師も人員に数えられます。ただし管理者は常勤の保健師または看護師であることが原則です。
准看護師が10年で大きく減れば、採用の候補が狭まります。看護師の増加分は訪問看護にも流れていますが、准看護師で人員を埋めてきた事業所にとっては、母数が縮んでいることになります。
「減っている」という感覚はどこから来るか
統計では増えているのに、現場では足りない。この差は二つの要因で説明できます。
一つは需要です。高齢化により、医療と介護を必要とする人が増えています。看護師の数が増えても、必要とされる量がそれ以上に増えれば、不足は解消しません。
もう一つは配分です。当メディアで訪問看護の訪問回数の地域差を扱った際、看護職員1人あたりの月間訪問回数が都市部の1〜3級地で91回から122回、地方では66回台という開きがあることを示しました。人がいる場所といない場所の差は、全国の合計値には現れません。
看護師が減っているかという問いへの答えは、統計上は「増えている」です。ただ、その増え方が需要の伸びに追いついているか、必要な場所に配分されているかは、別の問いになります。
まとめ
数字を整理します。
就業看護師数は2024年末で1,363,142人、過去最多。2年前より51,455人増。
准看護師は233,022人。2002年のピークから40.8%減。2年前より21,307人減。
合計は1,596,164人。ただし2020年から2022年の増加は516人にとどまり、伸びが止まりかけた時期があります。
准看護師の比率は2014年の23.8%から2024年の14.6%へ。
次の調査は2026年末の状況を集計したものになります。合計の伸びが回復するのか、再び止まるのかが、そこで分かります。
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執筆者
医療・看護・介護の多職種チーム
訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム
HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。
保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 医療ソーシャルワーカー / 管理栄養士 / 介護支援専門員
※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています


