訪問看護

訪問看護ステーションの廃止率は全国5.1%——奈良・福岡6.9%、愛媛と長崎は廃止ゼロ|2026年4月時点の47都道府県データ

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訪問看護ステーションの廃止率は全国5.1%——奈良・福岡6.9%、愛媛と長崎は廃止ゼロ|2026年4月時点の47都道府県データ

Summary

全国訪問看護事業協会の令和8年度調査(2026年4月1日現在)をもとに、都道府県別の廃止率を整理。2025年度は新規2,428か所・廃止960か所で、全国の廃止率は2年続けて5.1%。母数200か所以上の県では奈良・福岡の6.9%から愛媛の0%まで開きがあり、前年度に高かった鹿児島・千葉は大きく下がりました。開業前に自分の県の2年分の数字を確認するための記事です。

目次8項目
  1. 01全国の数字:増えながら、同時に退出も増えている
  2. 02廃止率が高い県・低い県
  3. 03参入が多い県ほど、退出も多いのか
  4. 04「開けてすぐ閉じる」が87か所
  5. 05稼働数が減った3県
  6. 06開業前・経営判断で見るべき3つの数字
  7. 07このデータの読み方と注意点
  8. 08出典

【2026年10月更新】全国訪問看護事業協会の令和8年度調査(2026年4月1日現在)の公表を受けて、数字をすべて最新の調査に差し替えました。前年度の数字は、表の「前年度の廃止率」の列で比べられます。

訪問看護ステーションは、2025年度の1年間で全国2,428か所が新しく開設し、960か所が廃止されました。前年度初めの稼働数18,754か所に対して、廃止率は5.1%です。前年度(2024年度)も5.1%で、2年続けて同じ水準でした。

ただし、この5.1%は全国を平均した数字です。都道府県別に見ると、廃止率が6%台後半の県がある一方で、1年間に1か所も廃止がなかった県もあります。そして、どの県が高いかは、1年で大きく入れ替わります。開業を考えている人にとっても、今の事業所を続けていく経営者にとっても、自分の県がどちら側にいて、それが続いているのかは、全国平均より重い情報です。

本記事では、全国訪問看護事業協会の令和8年度調査(2026年4月1日現在)をもとに、都道府県別の廃止率を整理します。47都道府県それぞれの数字は都道府県別データで確認できます。

全国の数字:増えながら、同時に退出も増えている

項目令和7年度(2025年4月〜2026年3月)前年度(令和6年度)
稼働数18,754か所 → 20,051か所(+1,297・+6.9%)17,329か所 → 18,754か所(+1,425)
新規開設2,428か所2,487か所
廃止960か所886か所
休止328か所355か所
廃止率(廃止÷年度初めの稼働数)5.1%5.1%
開設した年度のうちに廃止した事業所87か所69か所

事業所数は6.9%増えました。一方で、新規開設は前年度の2,487か所をわずかに下回り、廃止は886か所から960か所に増えています。増え方は前年度(+1,425)より小さくなりました。

「増えているから安泰」ではなく、「増えながら、同時に淘汰が進んでいる」のが今の姿です。

廃止率が高い県・低い県

都道府県別の廃止率です。母数が小さいと1〜2か所の廃止で率が大きく振れるため、前年度初めの稼働数が200か所以上の30都道府県に絞って並べています。

都道府県別の訪問看護ステーション廃止率(2025年度)。高い順に奈良県6.9%、福岡県6.9%、岡山県6.7%、三重県6.2%、広島県6.2%、大阪府6.2%。低い順に愛媛県0.0%、新潟県2.0%、宮崎県2.4%、栃木県3.2%、熊本県3.5%、岐阜県3.8%。全国平均は5.1%

廃止率が高い県

都道府県廃止率廃止 / 前年度初めの稼働数同じ年度の新規開設前年度の廃止率
奈良県6.9%16 / 232336.7%
福岡県6.9%72 / 1,0511665.3%
岡山県6.7%16 / 238275.3%
三重県6.2%13 / 209297.4%
広島県6.2%28 / 454574.2%
大阪府6.2%137 / 2,2224106.8%
大分県6.1%14 / 231184.8%
愛知県6.0%76 / 1,2621726.8%
宮城県6.0%14 / 233223.3%

廃止率が低い県

都道府県廃止率廃止 / 前年度初めの稼働数同じ年度の新規開設前年度の廃止率
愛媛県0.0%0 / 218210.0%
新潟県2.0%4 / 201114.1%
宮崎県2.4%5 / 205181.6%
栃木県3.2%7 / 222284.4%
熊本県3.5%13 / 370373.1%
岐阜県3.8%12 / 313473.3%
京都府3.9%19 / 482486.0%
埼玉県4.1%36 / 8791134.2%
鹿児島県4.1%10 / 243368.2%

前年度に廃止率が最も高かった鹿児島県(8.2%)は今年度4.1%に、2番目だった千葉県(7.8%)は5.2%に下がりました。反対に、前年度5.3%だった福岡県は6.9%に上がっています。1年分の廃止率だけで「廃業が多い県」と決めつけることはできません。少なくとも2年分を並べて見ることを勧めます。

愛媛県は、2年続けて廃止が0か所でした。今年度は稼働数218か所に対して新規21か所と、参入も穏やかです。母数200か所未満のため表には入れていませんが、長崎県も廃止0か所(稼働数160か所・新規22か所)でした。

対照的に、大阪府は新規410か所・廃止137か所。入れ替わりの量そのものが他県と桁違いです。

参入が多い県ほど、退出も多いのか

新規開設率(新規÷前年度初めの稼働数)と廃止率の関係を、前年度初めの稼働数が100か所以上の43都道府県で調べました。

  • 新規開設率の平均:11.5%
  • 廃止率の平均:4.8%
  • 両者の相関係数は0.26(弱い正の相関。前年度は0.40)

新規開設率が高い県(大阪18.5%、千葉17.1%、沖縄17.0%、福岡15.8%、香川15.5%)と、低い県(青森4.7%、島根5.0%、新潟5.5%、岩手6.2%、福井6.8%)を比べると、参入が多い県ほど退出も多い傾向は、前年度より弱まっています。

ただし、これは相関であって因果ではありません。「新規参入が廃止を引き起こしている」とは、このデータだけでは言えません。

「開けてすぐ閉じる」が87か所

全国で、開設した年度のうちに廃止した事業所が87か所ありました。前年度の69か所から増えています。

県別では京都府19か所、大阪府15か所、愛知県7か所、神奈川県6か所、福岡県6か所、広島県5か所、兵庫県4か所の順です。京都府は、年度中の廃止19か所のすべてが、開設した年度のうちの廃止でした。その理由は、この調査からは分かりません。

1年もたずに閉じる理由も、このデータからは分かりません。ただ、訪問看護ステーションには看護職員を常勤換算2.5人以上置くという人員基準があり、少人数の事業所では退職が続くと基準を満たせなくなることは、廃業の構造として繰り返し指摘されています。

稼働数が減った3県

全国では1,297か所増えましたが、稼働数が前年より減った県も3つあります。

都道府県稼働数の変化指定数の変化新規廃止休止
新潟県201 → 177(−24)205 → 179(−26)1143
鳥取県75 → 58(−17)79 → 60(−19)320
富山県112 → 111(−1)120 → 118(−2)1012

新潟県は新規11か所・廃止4か所でしたが、指定数は205か所から179か所に減り、稼働数は24か所減りました。鳥取県も新規3か所・廃止2か所に対して、稼働数は17か所減っています。新規と廃止の差し引きと指定数の動きが合わない理由は、この調査からは分かりません。全国でも、新規から廃止を引いた数(+1,468)と指定数の増加(+1,254)は一致しません。

開業前・経営判断で見るべき3つの数字

都道府県別データでは、47都道府県それぞれについて次の数字を2年分載せています。開業の判断材料としては、この3つを順に見ることを勧めます。

  1. 自分の県の廃止率(2年分)——全国平均5.1%より高いか低いか、そしてそれが続いているか。1年だけ高い県と、続けて高い県とでは意味が違います
  2. 新規開設の数——直近1年で何か所増えたか。すでに競合が増えている県では、ケアマネジャーへの営業がそのまま利用者数に直結しません
  3. 休止の数——廃止に至らないまでも動けなくなった事業所の数です。京都府では、休止中の事業所が1年で6か所から15か所に増えました

開業資金と収支の見通しは開業ガイド、廃業に至る構造は倒産・廃業の実態と対策で整理しています。

このデータの読み方と注意点

  • 廃止率の分母は「年度初めの稼働数」です。年度途中に開設した事業所が同じ年度に廃止した場合も分子に含まれるため、開設ラッシュの県では率がやや高く出ます
  • 母数が小さい県は率が振れます。稼働数100か所前後の県では、廃止2か所の差で率が2ポイント動きます。本記事で県を並べるときに200か所以上に絞ったのはこのためです
  • 休止は廃止に含まれていません。事業を止めているが指定を返していない事業所は、別の数字として集計されています
  • この調査の稼働数(20,051か所)は、厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」の事業所数とは集計方法が異なります。両者の数値は一致しません

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執筆者

HokanPress編集部

医療・看護・介護の多職種チーム

訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム

HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。

保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 医療ソーシャルワーカー / 管理栄養士 / 介護支援専門員

※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています

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