訪問看護

訪問看護ステーションの廃止率は全国5.1%——鹿児島8.2%・千葉7.8%、愛媛は廃止ゼロ|2025年4月時点の47都道府県データ

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訪問看護ステーションの廃止率は全国5.1%——鹿児島8.2%・千葉7.8%、愛媛は廃止ゼロ|2025年4月時点の47都道府県データ

Summary

全国訪問看護事業協会の令和7年度調査(2025年4月1日現在)をもとに、都道府県別の廃止率を整理。2024年度は新規2,487か所・廃止886か所で全国の廃止率は5.1%。母数200か所以上の県では鹿児島8.2%から愛媛0%まで開きがあり、新規開設率と廃止率には中程度の正の相関(0.40)がありました。開業前に自分の県の数字を確認するための記事です。

目次8項目
  1. 01全国の数字:増えながら、同時に退出も増えている
  2. 02廃止率が高い県・低い県
  3. 03参入が多い県ほど、退出も多い
  4. 04「開けてすぐ閉じる」が69か所
  5. 05稼働数が減った3県
  6. 06開業前・経営判断で見るべき3つの数字
  7. 07このデータの読み方と注意点
  8. 08出典

訪問看護ステーションは、2024年度の1年間で全国2,487か所が新しく開設し、886か所が廃止されました。前年度初めの稼働数17,329か所に対して、廃止率は5.1%です。

ただし、この5.1%は全国を平均した数字です。都道府県別に見ると、廃止率が8%を超える県がある一方で、1年間に1か所も廃止がなかった県もあります。開業を考えている人にとっても、今の事業所を続けていく経営者にとっても、自分の県がどちら側なのかは、全国平均より重い情報です。

本記事では、全国訪問看護事業協会の令和7年度調査(2025年4月1日現在)をもとに、都道府県別の廃止率を整理します。47都道府県それぞれの数字は都道府県別データで確認できます。

全国の数字:増えながら、同時に退出も増えている

項目令和6年度(2024年4月〜2025年3月)
稼働数17,329か所 → 18,754か所(+1,425・+8.2%)
新規開設2,487か所
廃止886か所
休止355か所
廃止率(廃止÷年度初めの稼働数)5.1%
開設した年度のうちに廃止した事業所69か所

事業所数は8.2%増えました。しかし、その裏側で886か所が退出しています。前年度(令和5年度)の廃止は701か所だったので、廃止の件数自体も増えています。

「増えているから安泰」ではなく、「増えながら、同時に淘汰が進んでいる」のが今の姿です。

廃止率が高い県・低い県

都道府県別の廃止率です。母数が小さいと1〜2か所の廃止で率が大きく振れるため、前年度初めの稼働数が200か所以上の県に絞って並べています。

都道府県別の訪問看護ステーション廃止率。高い順に鹿児島県8.2%、千葉県7.8%、三重県7.4%、沖縄県7.3%、大阪府6.8%、愛知県6.8%。低い順に愛媛県0.0%、熊本県3.1%、群馬県3.1%、長野県3.1%、宮城県3.3%、岐阜県3.3%。全国平均は5.1%

廃止率が高い県

都道府県廃止率廃止 / 前年度初めの稼働数同じ年度の新規開設
鹿児島県8.2%19 / 23225
千葉県7.8%50 / 640102
三重県7.4%17 / 23137
沖縄県7.3%19 / 26146
大阪府6.8%134 / 1,967321
愛知県6.8%79 / 1,160197
奈良県6.7%14 / 20840
京都府6.0%27 / 44875

廃止率が低い県

都道府県廃止率廃止 / 前年度初めの稼働数同じ年度の新規開設
愛媛県0.0%0 / 21117
熊本県3.1%10 / 32749
群馬県3.1%10 / 32158
長野県3.1%7 / 22317
宮城県3.3%7 / 21531
岐阜県3.3%10 / 30444
神奈川県3.5%37 / 1,047150
茨城県3.8%11 / 28836

愛媛県は、この1年間の廃止が0か所でした。稼働数211か所に対して新規は17か所と、参入も穏やかです。

対照的に、大阪府は新規321か所・廃止134か所。入れ替わりの量そのものが他県と桁違いです。

参入が多い県ほど、退出も多い

新規開設率(新規÷前年度初めの稼働数)と廃止率の関係を、前年度初めの稼働数が100か所以上の42県で調べました。

  • 新規開設率の平均:13.4%
  • 廃止率の平均:4.5%
  • 両者の相関係数は0.40(中程度の正の相関)

新規開設率が高い県(佐賀19.8%、奈良19.2%、滋賀18.7%、群馬18.1%、沖縄17.6%)と、低い県(岩手4.9%、青森5.4%、福井6.7%、福島7.0%、長野7.6%)を比べると、傾向は見て取れます。

ただし、これは相関であって因果ではありません。「新規参入が廃止を引き起こしている」とは、このデータだけでは言えません。需要が伸びている県に参入も退出も集まっている、という読み方もできます。群馬県のように、新規開設率18.1%で廃止率3.1%という県もあります。

「開けてすぐ閉じる」が69か所

全国で、開設した年度のうちに廃止した事業所が69か所ありました。前年度は47か所だったので、こちらも増えています。

県別では大阪府15か所、愛知県10か所、福岡県7か所、埼玉県5か所、千葉県4か所、兵庫県4か所の順です。新規開設が多い県に集中しています。

1年もたずに閉じる理由は、このデータからは分かりません。ただ、訪問看護ステーションには看護職員を常勤換算2.5人以上置くという人員基準があり、1人の退職で基準を満たせなくなる規模の事業所が多いことは、廃業の構造として繰り返し指摘されています。

稼働数が減った3県

全国では1,425か所増えましたが、稼働数が前年より減った県も3つあります。

都道府県稼働数の変化新規廃止休止
三重県231 → 209(−22)371710
福井県104 → 103(−1)735
佐賀県121 → 120(−1)2476

三重県は新規37か所に対して廃止17・休止10で、差し引き22か所の減少です。休止を含めると、退出の規模は廃止の数字だけで見るより大きくなります。

開業前・経営判断で見るべき3つの数字

都道府県別データでは、47都道府県それぞれについて次の数字を載せています。開業の判断材料としては、この3つを順に見ることを勧めます。

  1. 自分の県の廃止率——全国平均5.1%より高いか低いか。高い県は、参入も退出も激しい市場です
  2. 新規開設の数——直近1年で何か所増えたか。すでに競合が増えている県では、ケアマネジャーへの営業がそのまま利用者数に直結しません
  3. 休止の数——廃止に至らないまでも動けなくなった事業所の数です。三重県のように、休止が廃止に近い規模の県もあります

開業資金と収支の見通しは開業ガイド、廃業に至る構造は倒産・廃業の実態と対策で整理しています。

このデータの読み方と注意点

  • 廃止率の分母は「年度初めの稼働数」です。年度途中に開設した事業所が同じ年度に廃止した場合も分子に含まれるため、開設ラッシュの県では率がやや高く出ます
  • 母数が小さい県は率が振れます。稼働数100か所前後の県では、廃止2か所の差で率が2ポイント動きます。本記事で県を並べるときに200か所以上に絞ったのはこのためです
  • 休止は廃止に含まれていません。事業を止めているが指定を返していない事業所は、別の数字として集計されています
  • この調査の稼働数(18,754か所)は、厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」の事業所数とは集計方法が異なります。両者の数値は一致しません

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執筆者

HokanPress編集部

医療・看護・介護の多職種チーム

訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム

HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。

保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 医療ソーシャルワーカー / 管理栄養士 / 介護支援専門員

※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています

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