精神科訪問看護の 算定要件を 総点検——指示書・GAF・従事者・週3日、 そして 「20分ルール」 |30分未満の 区分は 指示書明記が 条件、 2026年6月改定で 厳格化された 全要件

Summary
精神科訪問看護を提供する、あるいはこれから始めるうえで避けて通れないのが算定要件の理解です。2026年6月の改定では「20分を下回る訪問は算定できない」という規定や精神科特化の機能強化型が導入され、要件の正確な把握はこれまで以上に経営と実務を左右します。精神科訪問看護基本療養費の算定要件を、指示書・GAF・従事者・訪問回数と時間の観点から、通知の文言に基づいて整理します。
精神科訪問看護を提供する、あるいはこれから始めるうえで避けて通れないのが算定要件の理解です。2026年6月の改定では訪問時間に関する「20分を下回るものは算定できない」という規定が設けられ、精神科に特化した機能強化型も新設されました。要件の正確な把握はこれまで以上に経営と実務を左右します。
精神科訪問看護基本療養費の算定要件を、指示書・GAF・従事者・訪問回数と時間の観点から、通知の文言に基づいて整理します。
精神科訪問看護の制度上の位置づけ
精神科訪問看護は原則として医療保険で提供されます。一般の訪問看護が医療保険と介護保険をまたぐのに対し、精神科訪問看護指示書に基づく訪問看護は要介護認定を受けていても医療保険が優先されます。例外は認知症を主傷病とする場合で、こちらは通常の訪問看護として介護保険の対象です。
利用者の多くは自立支援医療(精神通院医療)を併用し、自己負担は原則1割に軽減されます。この公費負担が2024年に800億円を超えたことが、現在の規制強化の背景にあります(詳しくは関連記事をご覧ください)。
算定の3点セット ── 指示書・計画書・報告書
算定の起点は精神科訪問看護指示書です。交付できるのは、精神科を標榜する保険医療機関において精神科を担当する医師に限られます。一般の訪問看護指示書とは別の様式で、主治医がこの要件を満たさない場合は精神科訪問看護基本療養費を算定できません。
指示書の有効期間は6か月が限度です。有効期限切れは実地指導での定番の指摘事項ですから、期限の管理を個人任せにせず体制化しておきたいところです。なお病状の急性増悪時には精神科特別訪問看護指示書があり、交付から14日以内・月1回を限度に頻回の訪問が可能になります。
指示書と対になるのが訪問看護計画書と報告書です。計画書を作成し、主治医へ定期的に報告書を提出する。2026年改定では訪問の開始・終了時刻の記録が算定の前提として明確化されており、記録の整備は必須です。
GAF尺度 ── 月の初日の訪問時の値を、三つの書類に
精神科訪問看護に特有の要件がGAF(機能の全体的評定)尺度です。利用者の心理的・社会的・職業的機能を1〜100で評定するスケールで、数値が大きいほど機能が良好と判定されます。
要件は明確です。精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)または(Ⅲ)を算定する場合、月の初日の訪問看護時におけるGAF尺度により判定した値を、訪問看護記録書・訪問看護報告書・訪問看護療養費明細書に記載しなければなりません。令和2年度の改定で必須化された要件です。
GAFは「なんとなく付ける」ものではありません。2024年度の改定ではGAF40以下の利用者数が管理療養費の要件に組み込まれるなど、評定値そのものが報酬を左右するようになっています。訪問頻度や時間の妥当性を説明する材料にもなるため、評定の根拠を記録に残す運用をおすすめします。


