訪問看護

看護職員3.5〜4人未満の事業所が最も赤字——44.7%、3人未満の41.2%より高い|管理者を分母に含めるということ

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看護職員3.5〜4人未満の事業所が最も赤字——44.7%、3人未満の41.2%より高い|管理者を分母に含めるということ

Summary

日本看護協会の実態調査で、2024年度の収支差率が赤字だった訪問看護事業所は27.2%。規模別に見ると、最も赤字が多かったのは看護職員3.5人以上4人未満の層で44.7%だった。3人未満の41.2%より高い。人を増やしたのに赤字が増えるという逆転が起きている。管理者が訪問に出るかどうかという問題が、この層に最も強く効く。日本看護協会の実態調査で、2024年度の収支差率が赤字だった訪問看護事業所は27.2%。規模別に見ると、最も赤字が多かったのは看護職員3.5人以上4人未満の層で44.7%だった。3人未満の41.2%より高い。人を増やしたのに赤字が増えるという逆転が起きている。管理者が訪問に出るかどうかという問題が、この層に最も強く効く。

目次7項目
  1. 012.5人を超えた直後に何が起きるか
  2. 02分母に管理者が入っている
  3. 03管理者は訪問に出られる
  4. 04では、どれだけ出るべきか
  5. 05管理者の時間を、どこから買うか
  6. 063.5人から4人という位置
  7. 07数えることから

人を増やしたのに、赤字が増える。

日本看護協会の実態調査に、そう読める数字がある。2024年度の収支差率を看護職員数別に見ると、赤字だった事業所の割合は3人未満で41.2%、3.5人以上4人未満で44.7%だった。人が増えたほうが、赤字が多い。

その先は下がる。7人以上10人未満で20.0%、10人以上15人未満で16.3%、15人以上で18.8%。全体では27.2%である。

3.5人から4人の層だけが、突出して苦しい。

2.5人を超えた直後に何が起きるか

指定訪問看護ステーションの人員基準は、看護職員が常勤換算で2.5人以上である。この2.5を切れば指定を維持できない。

2.5人ぎりぎりで運営している事業所は、一人の欠勤や退職で基準を割る。だから人を増やす。3.5人、4人と積む。

そこで人件費が増える。概況調査によると、訪問看護の介護事業収益に占める給与費の割合は70.1%である。収入の7割が人件費という構造では、1人分の人件費は重い。

増えた人件費を回収するには、訪問件数を増やすしかない。単価は公定価格で動かせないからだ。

問題は、人を1人増やしても、訪問件数が人数に比例して増えるとは限らないことにある。

分母に管理者が入っている

ここで、当メディアが以前扱った数字に戻る。

概況調査では、看護職員1人あたりの月間訪問回数が77.9回とされている。延べ訪問回数421.5回を、看護職員の常勤換算5.4人で割ると78回前後になる。計算の構造としては、事業所全体の訪問回数を看護職員の常勤換算数で割った値に近い。

この分母には、管理者が含まれる。

管理者は常勤の保健師、助産師または看護師でなければならない。看護職員である以上、常勤換算の頭数に入る。大阪府訪問看護ステーション協会のQ&Aによれば、管理者が専任であれば常勤1.0名として人員に含めることができる。

つまり、看護職員4人の事業所で1人が管理者なら、訪問に出る中心は残り3人になる。それでも分母は4である。

3人が月80件ずつ回して240件。これを4で割れば60件になる。管理者がまったく訪問に出なければ、1人あたりの数字はそれだけ下がる。

4人のうち1人が管理者という比率は、人数が少ないほど重い。15人の事業所なら管理者は15分の1だが、4人なら4分の1である。3.5人から4人の層で赤字が多いことの、少なくとも一部はここで説明できる。

管理者は訪問に出られる

制度上、管理者が訪問に出ることは認められている。

指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の第3条は、事業者は事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない、と定めている。ただし書きがあり、管理上支障がない場合は当該ステーションの他の職務に従事し、または他の事業所、施設等の職務に従事することができる、とされている。

介護保険側の基準第61条にも同趣旨の規定がある。2024年度の改定では、他の事業所等との兼務について「同一敷地内」という条件が削除された。

厚生労働省の通知では、管理者は専従かつ常勤であるとされ、同時に他の指定訪問看護ステーションを管理することは認められないとされている。一方で、管理上支障がない場合に同じステーション内で訪問看護職員として兼務することは可能である。

管理者が訪問に出ること自体は、制度の想定内だということになる。

なお、管理者の兼務と常勤換算の扱いには自治体ごとの運用差があるとされている。管理者の業務時間を常勤換算に含める地域と含めない地域がある、という指摘がある。自事業所の扱いは指定権者に確認する必要がある。

では、どれだけ出るべきか

ここから先は、データがない。

管理者が月に何件訪問しているかを示す全国調査を、私は見つけられなかった。管理者が事務にどれだけ時間を使っているかの統計もない。当メディアで離職率を扱った際、訪問看護には全国統計がないと書いた。管理者の働き方についても同じである。

だから、あるべき件数を示すことはできない。代わりに、判断の材料になるものを挙げる。

管理者が抱えている仕事の量である。請求業務、労務管理、加算の届出、運営指導への備え、BCPの策定と研修、ウェブサイトの掲載事項の管理、補助金の確認、採用、ケアマネジャーや医療機関への営業。当メディアで扱ってきた内容だけでも、これだけある。

査読論文では、自ら起業して管理者になった看護師10人への面接調査から、困難のカテゴリとして「起業・運営に関わる必須かつ詳密な事務管理」が抽出されていた。看護の経験と、法人運営の知識は別物だという指摘である。

これらの仕事は、件数を増やしても収入にならない。しかし、やらなければ減算や返還につながる。

管理者の時間を、どこから買うか

管理者が訪問に出る時間を作るには、管理者以外の仕事を誰かに渡すしかない。

一つは事務職員である。請求と労務を専任者に渡せば、管理者の時間が空く。ただし人件費は増える。収入の7割が人件費という構造で、直接収入を生まない職員を置く判断は、規模が小さいほど重くなる。

二つ目は外部委託だ。請求代行や社会保険労務士への委託で、管理者の作業は減る。固定費として計上できる分、判断はしやすい。

三つ目は、管理者以外の看護師に役割を分けることである。研修の担当、記録の点検、実習の受け入れ。管理者が全部抱えている事業所は多いが、法令上、管理者本人でなければできない業務ばかりではない。

四つ目が、そもそも人数を増やすことである。7人以上10人未満で赤字が20.0%まで下がるという数字は、この規模になれば管理者が分母に占める比率が下がり、事務を分担する余地も生まれることを示している可能性がある。ただし、人を増やすには採用しなければならない。訪問看護の求人倍率は4.54倍で、全施設種別の最高である。

3.5人から4人という位置

この層は、指定の要件を確保した直後の規模である。2.5人を超え、余裕を持とうとして人を増やした段階にある。

そして、管理者を分母に含めたときの影響が最も大きい規模でもある。事務職員を置く余裕はなく、外部委託の固定費も重い。管理者が訪問に出れば管理が薄くなり、管理に専念すれば件数が足りない。

どちらを選んでも苦しいという位置に、44.7%の赤字が出ている。

当メディアで廃止の理由を扱った際、第1位が従業員の確保困難で22.7%、第2位が管理職の退職で17.6%だと書いた。管理者が抜ければ事業は止まる。その管理者が、訪問と管理の両方を抱えている。

数えることから

結論として言えるのは、自事業所の数字を把握しているかという一点である。

管理者が月に何件訪問しているか。管理業務に何時間使っているか。看護職員1人あたりの訪問件数を、管理者を分母に含めて計算した場合と、除いて計算した場合でどう違うか。

全国平均の77.9回と比べるとき、その分母が何であるかを意識しなければ、比較にならない。当メディアで採算ラインを扱った際、業界に流通する「1人月80件から100件」という目安が、都市部の水準に近いことを示した。分母の定義も、同じように前提を確認する必要がある。

管理者が訪問に出るべきかという問いに、一般的な答えはない。ただ、出ている時間と出ていない時間を数えていない事業所は、その判断の材料を持っていないことになる。

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執筆者

宮木

訪問看護ステーション経営者・救急看護認定看護師

大学病院 救命救急センター 5年 / 手術室 2年 / 大手訪問看護ステーション 5年 / 訪問看護ステーション設立・代表

小学生の頃から訪問看護師を志し、大学病院の救命救急センター・手術室で急性期医療の現場経験を積む。救急看護認定看護師の資格を取得後、大手訪問看護ステーションでの勤務を経て独立。現場と経営の両視点から、医療従事者に実践的な情報を届けます。

保有資格: 看護師免許 / 救急看護認定看護師 / BLSプロバイダー / ICLSプロバイダー

※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています

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