医療保険の 訪問看護、 利用者の 47.4%が 精神疾患——変わった 姿と、 追いつかない 自己像|それでも 機能強化型は 精神科を 受けていない

Summary
中央社会保険医療協議会に示された資料によれば、医療保険による訪問看護の利用者の主傷病は「精神及び行動の障害」が47.4%で最多でした。年々増加しています。ところが手厚い体制を評価される機能強化型ステーションでは、精神科訪問看護の利用者割合が20%未満という事業所が多い。数字が示す構造のねじれと、その先にあるものを分析します。
2025年11月12日の中央社会保険医療協議会に提出された資料に、訪問看護の姿を根本から問い直す数字が載っている。
医療保険による訪問看護ステーションの利用者の主傷病で、最も多いのは「精神及び行動の障害」だった。その割合、47.4%。神経系の疾患と悪性新生物を加えれば、8割弱を占める。
しかも精神及び行動の障害は、年々増加している。訪問看護療養費実態調査に基づく推計値である。
医療保険の訪問看護は、もはや高齢者の身体的なケアが中心という事業ではない。利用者のおよそ半数が、精神疾患を抱えた方だ。この事実から、今回の分析を始めたい。
訪問看護の「顔」が変わった
業界の自己像は、まだこの変化に追いついていないように見える。
訪問看護と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、高齢の利用者宅を訪ね、血圧を測り、褥瘡を処置し、看取りを支える姿だろう。当メディアもそうしたケアを繰り返し扱ってきた。それ自体は間違いではない。介護保険による訪問看護では、依然として高齢者の身体的なケアが中心である。
だが医療保険の側を見れば、風景は違う。主傷病の内訳で精神疾患が半数近くを占め、その比率は上がり続けている。
精神科訪問看護を利用する方の疾患の内訳を見ると、統合失調症や統合失調症型障害、妄想性障害が大きな割合を占め、気分障害、精神作用物質による障害を加えると全体の9割近くになるという資料もある。地域で暮らす精神障害のある方を支えることが、医療保険の訪問看護の主要な仕事になっているのだ。
なぜ、増え続けているのか
背景にあるのは、精神科医療の方向転換である。
長く入院で支えられてきた精神障害のある方を、地域で支える体制へ移していく。国はその方針を進めてきた。退院した後に地域で生活を続けるには、日々の服薬の支援、生活のリズムの調整、症状の変化の把握、そして孤立を防ぐ関わりが要る。それを担う職種として、訪問看護に期待が寄せられた。
厚生労働省の資料にも、精神科訪問看護は退院後の医療を提供する機能として患者や家族のニーズが高く、これを担う人材の養成が課題であると記されている。
需要があり、参入する事業所も増えた。当メディアで整理したとおり、算定には精神科を担当する医師の指示書、届出を行った従事者、GAF尺度による評定といった要件があるが、逆にいえば要件を満たせば取り組める領域でもある。結果として、精神科に特化したステーションが各地に生まれた。
ねじれ ── 手厚い事業所ほど、受けていない
ここで、資料が示すもう一つの事実に触れたい。


