訪問看護の 新しい 事業所、 9割は 営利法人 ——公表データで 見る2026年上半期の 増減|半年で 1,134か所が 新たに 載り、 647か所が 消えた

Summary
厚生労働省の介護サービス情報公表システムのオープンデータを、2025年12月末と2026年6月末で突き合わせました。半年で1,134か所の訪問看護事業所が新たに載り、647か所の掲載が消えました。新たに載った事業所の89%は株式会社などの営利法人で、事業所全体に占める営利法人の割合は1年半で64.2%から68.6%に上がっています。
目次8項目
HokanPress の独自集計です。元データは厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータ(訪問看護・CSV)の2024年12月末・2025年12月末・2026年6月末の3時点で、数字はすべて scripts/stations/listing_diff.mjs で再計算できます(使い方はファイルの先頭。公開前にもう一度実行して照合)。都道府県別の数字は、全国訪問看護事業協会の数と食い違う県があったため載せていません(本文の「都道府県別の数字を載せない理由」)。法人名は出さない方針です(2026-10-19 決定)。
【要確認】は2か所です。①タイトル ②公表システムの掲載数と協会の稼働数に差が出る理由の書き方。アイキャッチは設定済みです(2026-10-19・家の形の格子の図案)。
厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」は、介護保険の事業所の情報を国が公開しているサイトです。その一覧は、半年ごとにオープンデータとしても公開されています。HokanPress は、訪問看護の一覧を2025年12月末と2026年6月末の2時点で突き合わせ、半年のあいだに何か所が新たに載り、何か所が消えたかを数えました。
結果は、半年で1,134か所が新たに載り、647か所の掲載が消えました。差し引きで487か所の増加です。そして、新たに載った事業所の89%は株式会社などの営利法人でした。
半年で何か所増え、何か所消えたか
| 時点 | 掲載された訪問看護事業所 |
|---|---|
| 2024年12月末 | 15,268か所 |
| 2025年12月末 | 16,977か所 |
| 2026年6月末 | 17,464か所 |
2025年12月末から2026年6月末までの半年の動きは、次のとおりです。
| 半年の動き | 事業所数 |
|---|---|
| 新たに載った | 1,134か所 |
| 掲載が消えた | 647か所 |
| 差し引き | 487か所の増加 |
ここでの「新たに載った」「消えた」は、公表システムの一覧に事業所番号が現れた・無くなったという意味です。新規の開設や廃止とほぼ重なりますが、まったく同じではありません。たとえば、公表の手続きが遅れて後から載った事業所や、休止で一覧から外れた事業所も含みます。事業所番号が変わっただけとみられるもの(同じ市区町村で同じ名前の事業所が、番号を変えて載り直したもの)は9件あり、両方の数から除きました。病院・診療所が行う訪問看護は数えていません。
協会の公式な数と比べても、規模はほぼ同じ
全国訪問看護事業協会は毎年、全国の訪問看護ステーションの新規・廃止の数を調べて公表しています。期間が3か月ずれるものの、1年分を並べると規模はよく似ています。
| 公表システムの増減(2024年12月末→2025年12月末) | 全国訪問看護事業協会(令和7年度中) | |
|---|---|---|
| 増えた | 新たに載った 2,696か所 | 新規 2,428か所 |
| 減った | 掲載が消えた 987か所 | 廃止 960か所(ほかに休止 328か所) |
一方、事業所の総数は、公表システムの17,464か所(2026年6月末)に対し、協会の調査では稼働中が20,051か所(2026年4月1日現在)と、3,000か所ほどの差があります。公表システムは介護保険の指定を受けた事業所の情報を載せる仕組みなので、公表の対象にならない事業所があることが主な理由と考えられます。【要確認:差の理由の書き方】都道府県ごとの公式な数は、都道府県別の訪問看護ステーション数にまとめています。
新たに載った事業所の9割は営利法人
半年で新たに載った1,134か所を、運営する法人の種類で分けました。法人の種類は、一覧の「法人の名称」から判定しています(株式会社・有限会社・合同会社などを営利法人としました)。
| 法人の種類 | 新たに載った | 掲載が消えた |
|---|---|---|
| 営利法人(株式会社など) | 1,008か所(88.9%) | 496か所(76.7%) |
| 医療法人 | 61か所 | 79か所 |
| 社会福祉法人 | 20か所 | 23か所 |
| 社団・財団 | 19か所 | 28か所 |
| NPO法人 | 10か所 | 7か所 |
| その他(協同組合・公的機関など) | 16か所 | 14か所 |
| 合計 | 1,134か所 | 647か所 |
営利法人は、新たに載った数が消えた数の2倍を超え、大きく増えています。反対に、医療法人と社団・財団は、この半年では消えた数のほうが多くなりました。
その結果、事業所全体に占める営利法人の割合は上がり続けています。
| 時点 | 営利法人の事業所 | 割合 |
|---|---|---|
| 2024年12月末 | 9,803か所 | 64.2% |
| 2025年12月末 | 11,469か所 | 67.6% |
| 2026年6月末 | 11,987か所 | 68.6% |
1年以内に掲載が消えた178か所
2025年の1年間(2024年12月末→2025年12月末)に新たに載った事業所は2,696か所でした。そのうち178か所(6.6%)は、2026年6月末までに掲載が消えています。新たに載ってから、長くても1年半ほどで一覧から外れたことになります。
半年で掲載が消えた647か所を見ると、2024年12月末にはすでに載っていた事業所が468か所、2025年に載ったばかりの事業所が179か所でした。消えた事業所のおよそ4か所に1か所は、載ってから日が浅い事業所です。
廃止に至った理由では、「従業員確保が困難」と「管理者が退職した」が上位2つを占めています(全国訪問看護事業協会が2025年3月にまとめた報告書)。くわしくは訪問看護ステーションは「人」で閉じると、なぜ、訪問看護ステーションは廃業するのかにまとめました。
1か所だけを運営する法人が9割
2026年6月末の一覧で、訪問看護の事業所を持つ法人は13,227ありました。そのうち11,863法人(89.7%)は1か所だけを運営しています。3か所以上を持つ法人は570、10か所以上は71でした。
もっとも多くの事業所を持つ法人は117か所で、上位5法人を合わせると481か所です。全体の17,464か所のうち2.8%にあたります。業界の主役が今も小さな事業所であることは、訪問看護の企業ランキング2026でも見た構図と同じです。
都道府県別の数字を載せない理由
同じデータで都道府県別の増減も数えましたが、協会の公式な数と食い違う県がありました。たとえば、半年で掲載が消えた数が、協会の調べた1年分の廃止数を上回る県や、協会の調べでは増えているのに、公表システムでは減っている県です。都道府県ごとに公表の情報を更新する時期が違うことなどが混じっているとみられるため、都道府県別の数字はこの記事では載せていません。
経営者として読み取れること
ここからは編集部の見立てです。
- 参入はまだ続いている。 半年で1,000か所を超える事業所が新たに載り、その9割が営利法人です。同じ地域で利用者と看護師を取り合う相手は、これからも増えると考えておく必要があります。
- 開いても続かない事業所がある。 2025年に載った事業所の6.6%は、1年半以内に一覧から消えました。開業の前に、紹介元をどうつくるか、管理者が辞めたらどうするかまで決めておくことが、続けるための条件です。開業の準備は訪問看護の開業ガイドにまとめています。
- 小さな事業所が大半という構図は変わっていない。 1か所だけを運営する法人が9割です。規模で勝てない事業所ほど、専門性と地域の関係で選ばれる理由をつくることが大切です。
HokanPress は、次の公表データ(2026年12月末時点、2027年1月ごろ公開の見込み)でも同じ集計を続けます。
調べ方
- 元データ: 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータの「訪問看護」(2024年12月末・2025年12月末・2026年6月末時点)
- 数えたもの: 介護保険事業所番号の3桁目が5・6・7の事業所(訪問看護ステーション)。番号の3桁目が1(病院・診療所)と3(歯科)のものは除外
- 比べ方: 事業所番号で2時点を突き合わせ、片方にしか無い番号を「新たに載った」「掲載が消えた」とした。同じ市区町村で同じ名前の事業所が番号を変えて載り直したものは、両方から除いた
- 法人の種類: 「法人の名称」に含まれる語で判定(株式会社・有限会社・合同会社・合資会社・合名会社を営利法人とした)
- 同じ一覧に同じ番号が2行ある場合は、1件として数えた
出典
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム オープンデータ」(このデータは介護サービス情報公表システムから抽出したものです。クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0)
- 一般社団法人全国訪問看護事業協会「令和8年度 訪問看護ステーション数 調査結果」
関連記事
執筆者
医療・看護・介護の多職種チーム
訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム
HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。
保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 医療ソーシャルワーカー / 管理栄養士 / 介護支援専門員
※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています


