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訪問看護は医療保険か、介護保険か——別表7・別表8と特別指示書で決まる判断の順序|週4日以上はいつ可能か、事業所は何か所まで使えるか

2026年8月11日(更新: 2026年8月10日)·約7分で読めます
訪問看護は医療保険か、介護保険か——別表7・別表8と特別指示書で決まる判断の順序|週4日以上はいつ可能か、事業所は何か所まで使えるか

Summary

訪問看護には、医療保険と介護保険という二つの入り口があります。どちらが適用されるかは、年齢や要介護認定だけでは決まりません。別表第7に該当する疾病か、別表第8の状態か、特別訪問看護指示書が出ているか。その組み合わせで判断されます。そして保険が変われば、訪問できる回数も、利用できる事業所の数も変わります。実務者にも家族にも分かりにくいこの仕組みを、判断の順序に沿って整理します。

訪問看護には、医療保険と介護保険という、二つの入り口があります。

どちらが適用されるかは、年齢や要介護認定の有無だけでは決まりません。別表第7に該当する疾病があるか、別表第8の状態か、そして特別訪問看護指示書が交付されているか。それらの組み合わせによって、判断されます。

保険が変われば、週に何回訪問できるかも、いくつの事業所を使えるかも変わります。実務者にとっても、ご家族にとっても分かりにくい仕組みを、判断の順序に沿って整理してお届けします。

原則 ── 介護保険が優先される

出発点となる原則から確認します。要介護または要支援の認定を受けている人が訪問看護を利用する場合、原則として介護保険が優先されます。

要介護認定を受けていない人、たとえば40歳未満の人や、認定を受けていない高齢者は、医療保険で訪問看護を利用します。

ここまでは、比較的分かりやすいでしょう。問題は、この原則に対する例外です。

例外① 別表第7に該当する疾病

一つ目の例外が、別表第7です。正式には「厚生労働大臣が定める疾病等」といい、末期の悪性腫瘍、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、パーキンソン病関連疾患、脊髄小脳変性症、後天性免疫不全症候群など、20の疾病等が定められています。人工呼吸器を使用している状態も含まれます。

別表第7に該当する場合、要介護の認定を受けていても、医療保険での訪問看護が適用されます。介護保険優先の原則を、疾病が上書きするわけです。

たとえば、介護保険で訪問看護を利用していた人に、新たに筋萎縮性側索硬化症の診断がついた場合。その時点から、医療保険での対応に切り替わります。

例外② 特別訪問看護指示書

二つ目の例外が、特別訪問看護指示書です。

病状が急に変わったり、悪化したりして、頻回の訪問看護が必要だと主治医が判断したときに交付されます。交付を受けると、有効期間中は医療保険が適用され、週4日以上の訪問看護を受けられます。有効期間は、最長で14日間です。

交付は、原則として月に1回。ただし、気管カニューレを使用している場合や、真皮を超える褥瘡がある場合には、月に2回まで交付されることがあります。

重要なのは、この指示書に疾患の要件がないことです。医師が「週4日以上の訪問看護が必要な状態だ」と判断すれば、交付できます。介護保険を使っていた人でも、指示書が出れば、その期間は医療保険に切り替わります。

では、別表第8は何なのか

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ここで、混乱しやすいのが別表第8です。

別表第8は、疾病名ではなく「状態」に着目した区分です。在宅酸素療法や、真皮を越える褥瘡、人工肛門や人工膀胱の設置、点滴注射を週3日以上行っている状態などが該当します。2024年度の改定では、新たに三つの状態が追加されました。

ここが要点になります。別表第8に該当するだけでは、自動的に医療保険にはなりません。原則として、介護保険が優先されたままです。別表第7が「保険を切り替えるもの」なのに対し、別表第8は「保険は変えないが、特例を認めるもの」だと理解すると、整理しやすいでしょう。

もっとも、別表第8に該当する人が、同時に別表第7の疾病を持っていたり、特別訪問看護指示書の交付を受けていたりすれば、医療保険が適用されます。だからこそ、指示書と利用者の状態を、その都度確認することが欠かせません。

保険が変わると、訪問回数が変わる

保険の区分は、実際の訪問回数に直結します。

医療保険での訪問看護は、原則として1日1回、週3日までが上限です。ところが、別表第7または別表第8に該当する場合、あるいは特別訪問看護指示書が交付されている場合には、この制限が外れます。週4日以上の訪問が可能になり、1日に複数回訪問することもできます。状態に応じて、通常より長時間の訪問も認められます。

特別訪問看護指示書の期間中は、回数の上限がありません。指示期間内であれば、毎日訪問することも可能です。なお、症状が数日で好転して結果的に週3回の訪問になったとしても、指示期間中は特別訪問看護として算定して差し支えありません。ただし、その場合は療養費明細書に理由を記載する必要があります。

一方、介護保険での訪問看護には、回数そのものの上限はありません。ただし、要介護度ごとの区分支給限度基準額の範囲内で利用する必要があります。他の介護サービスとの兼ね合いを考えなければならない、という別の制約が生じます。

事業所は、何か所まで使えるのか

利用できる訪問看護ステーションの数も、区分によって変わります。

医療保険での訪問看護は、原則として1か所のステーションからのみ受けられます。しかし、別表第7または別表第8に該当する場合や、特別訪問看護指示書の期間中で週4日以上の訪問が計画されている場合には、複数のステーションを利用できます。

目安は、こうです。週4日の訪問が計画されているなら2か所まで。毎日、つまり週7日の訪問が計画されているなら3か所まで対応できます。3か所を利用する場合は、別表第7または別表第8に該当し、かつ週7日の訪問が訪問看護計画書に明記されていることの確認が必要です。

注意点も押さえておきましょう。医療保険では、1日に1か所のステーションしか訪問看護療養費を算定できません。同一日に異なる事業所から訪問を受けることは、原則としてできないのです。

そして、複数のステーションを利用する場合でも、訪問看護指示書は主治医である一人の医師から交付を受けます。医療機関側では、訪問看護指示料を1か月に1回しか算定できません。そのため、指示期間を2か月とし、月ごとに交互に指示書を交付する、といった運用が行われることもあります。

実務で、間違えやすい点

現場で起こりやすい誤りを、挙げておきます。

別表第7に該当しない疾患で、特別訪問看護指示書もないのに、2か所から訪問してしまう。介護保険の訪問看護と医療保険の訪問看護を、同じ日に併用してしまう。いずれも、算定できません。

複数の事業所が関わるときは、事前の計画も重要になります。場当たり的に事業所を追加した場合、算定の対象外となることが多く、緊急時を除いて、ケアプランや訪問看護計画に位置づけられていない介入は、不適切な運営とみなされます。以前の記事で述べた適正化の流れを踏まえれば、この点は一層厳しく見られると考えるべきでしょう。

費用の説明も忘れてはなりません。事業所が増えれば、指示書の発行手数料も、その分だけかかります。ご家族に事前に説明しておかないと、後のトラブルにつながります。

そして、複数の事業所が入る場合には、事業所間および医療機関との連携が欠かせません。目標の設定や計画の立案、実施状況の評価を共有し、緊急時の対応をあらかじめ決めておく。情報を共有する手段も、整えておく必要があります。

訪問看護の保険適用は、年齢や要介護認定だけで決まるものではありません。判断の順序は、要介護認定の有無を確認し、別表第7に該当するかを見て、特別訪問看護指示書の有無を確かめる、という流れになります。そして別表第8は、保険の区分を変えるものではなく、回数や事業所数の特例を開くものです。この構造を理解しておけば、目の前の利用者に何ができるのかが見えてきます。必要なケアが、制度の理解不足によって届かないことのないように。判断に迷ったときは、主治医やケアマネジャー、そして保険者に確認することが確実です。制度は複雑ですが、その先には必ず、支えを必要としている人がいます。

#訪問看護#医療保険#介護保険#別表7#別表8#特別訪問看護指示書#複数事業所#制度
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執筆者

HokanPress編集部

医療・看護・介護の多職種チーム

訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム

HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。

保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 医療ソーシャルワーカー / 管理栄養士 / 介護支援専門員

※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています

2026年7月16日