【2026年10月 全面改稿】この記事は2026年5月に公開したものを、疑義解釈(その5)の原文にもとづいて書き直しました。初版では、その5で「明確化された」として、ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分の運用、訪問看護物価対応料、訪問看護医療DX情報活用加算、機能強化型訪問看護管理療養費の各事項を挙げていましたが、これらはその5には含まれていませんでした。また、ベースアップ評価料の対象職員や区分、医療DX情報活用加算の額などにも誤りがありました。お詫びして訂正します。
厚生労働省は2026年5月8日、令和8年度診療報酬改定の「疑義解釈資料の送付について(その5)」を事務連絡として出しました。疑義解釈は、告示や通知だけでは判断しにくい点について、厚生労働省が問と答の形で取扱いを示すものです。
その5は、医科・歯科・調剤・訪問看護などの別添に分かれています。訪問看護ステーションに関わるのは、次の3か所です。
包括型訪問看護療養費には、訪問看護時間が90分以上の区分(各人数区分のハ・ニ)を算定する利用者について、夜間帯(午後6時〜午前8時)の対応を行う看護職員の数の要件があります。
| ハ・ニを算定する利用者の数 | 夜間帯の看護職員の数 |
|---|---|
| 30人以下 | 常時1名以上 |
| 31人以上80人以下 | 2以上 |
| 81人以上 | 50又はその端数を増すごとに1を加えた数以上 |
その5の問1は、午後6時の時点では対象の利用者が30人だったのに、夜間帯のうちに31人になった場合の看護職員の数を問うものです。答は次のとおりです。
夜間の人員は、午後6時の人数ではなく、その日の計画に夜間の訪問が入っている利用者の数で組む、ということです。→ 包括型訪問看護療養費
別添2の問1〜10は、ベースアップ評価料全般についての問答です。問の中では外来・在宅ベースアップ評価料が例に挙がっているものもありますが、訪問看護ステーションの届出や報告にも関わる内容です。
| 問 | 何についてか | 答の要点 |
|---|---|---|
| 問1 | 改定前のベースアップ評価料等の収入を令和8年度に繰り越した場合 | 改定前の施設基準に基づき、令和8年12月までに賃金の改善措置を行う必要がある。令和8年度の賃金改善実績報告書の「前年度からの繰越額」欄などに記載する |
| 問2 | 法人内の同一の給与体系の事業所を通算して届け出る場合 | 対象職員数や社会保険診療等収入の割合が基準に満たない事業所、届出をしない事業所は、報告書の実績や区分の計算の対象に含まれない |
| 問3 | 継続的な賃上げの取組に係る施設基準も法人内で通算できるか | 通算できない。届け出る事業所ごとに満たす必要がある |
| 問4 | 継続的な賃上げの比較で、定期昇給や定年後の継続雇用があった場合 | 算定する月の基本給等の合計と、その月の職位等を令和6年3月時点の給与体系に当てはめた基本給等の合計を比べる |
| 問5 | 令和6年4月〜令和8年5月に開業し、ベースアップ評価料(Ⅰ)を届け出ていない場合 | 開業時点の給与体系による基本給等総額と、算定する月の基本給等総額を比べ、水準を満たせば継続的な賃上げの施設基準を届け出られる |
| 問6 | 6月から算定する場合の「賃金改善中間報告書」の実績期間 | 6月と7月分の賃上げ実績を報告する。4月から賃上げしていても、報告するのは6月・7月分 |
| 問7 | 報告書の「ベースアップ評価料等による収入の実績額」に、継続的な賃上げの評価分を含めるか | 含めない。継続的な賃上げの評価分を除いた本体の額で計算する |
| 問8 | 法人本部の職員が実態として事業所の業務を行う場合 | 主として当該事業所の業務を行っていれば対象職員に含まれる |
| 問9 | 在籍型出向の職員 | 出向先の対象職員として区分計算・報告書を作成し、出向先が得た収入は出向元と合議で精算する |
| 問10 | 「届出を行う月の直近1月」とはいつか | 届出の作業をする時点で把握できる直近1月。例えば6月から算定するために5月に作業する場合は4月 |
訪問看護ベースアップ評価料では、継続的な賃上げの評価にあたるのが(Ⅰ)の注3(1,830円)と(Ⅱ)の注7・注8です。問3・問4・問5・問7は、これらの施設基準や報告に関わります。
なお、ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分の決め方は、その5ではなく、届出手続き通知に定められています。(Ⅱ)の区分は【A】という数を計算して決め、2027年5月までは区分18(540円)が上限です。→ 訪問看護ベースアップ評価料、2027年6月の引き上げと報告
別添1の問13は、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の在宅診療計画に、情報通信機器を用いた診療を組み込んで実施した場合の取扱いです。答では、看護師等が患家を訪問して医師の指示で検査・注射・処置を行った場合の看護師等遠隔診療検査・注射・処置実施料は要件を満たせば算定できるとした一方、計画的な診療に当たるため、訪問看護遠隔診療補助料は算定できないとしています。
訪問看護遠隔診療補助料は、主治医が緊急に診療を要すると判断し、その指示を受けて看護職員が居宅を訪問し、オンライン診療の補助を行った場合に、月1回算定するものです。定期の計画に組み込まれたオンライン診療の補助は対象になりません。→ 訪問看護遠隔診療補助料
その5には、訪問看護物価対応料、訪問看護医療DX情報活用加算、機能強化型訪問看護管理療養費についての問答はありません。これらの要件は、告示・留意事項通知・届出手続き通知で確認します。
疑義解釈は、2026年9月25日のその13まで出ています。全号は厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定について」のページに掲載されています。加算辞典の各項目の「よくある質問」では、どの疑義解釈の何番の問に書かれているかを示しています。
出典: 厚生労働省保険局医療課「疑義解釈資料の送付について(その5)」(令和8年5月8日事務連絡)別添1 問13・別添2 問1〜10・別添5 問1、「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(告示第67号)