メドレーの 産婦人科向けシステムに 不正アクセス、 787医療機関が 対象。 訪問看護ステーションが 今 確かめたい こと メドレーの 産婦人科向けシステムに 不正アクセス、 787医療機関が 対象。 訪問看護ステーションが 今 確かめたい こと

Summary
メドレーは10月15日、産婦人科向けシステム「アットリンク」に不正アクセスがあったと発表しました。787の医療機関が使うシステムで、患者の個人情報が漏れた可能性があり、予約などのサービスが止まっています。訪問看護ステーションも、厚労省の安全管理ガイドラインの対象です。システムが止まった日の備えや契約の確認など、ステーションが確かめておきたい点を整理します。
医療向けのシステムを手がけるメドレーは10月15日、産婦人科向けの業務支援システム「@link(アットリンク)」に第三者による不正アクセスがあったと発表しました。このシステムを使っている医療機関は全国で787件にのぼり、患者の個人情報が外部に漏れた可能性があるとしています。
訪問看護ステーションにとっても、他人事ではありません。記録も、請求も、職員どうしの連絡も、いまはクラウドのシステムに頼っているステーションが多いからです。今回の出来事を手がかりに、ステーションとして確かめておきたいことを整理します。
何が起きたのか
ITmedia NEWSなどの報道によると、経緯は次のとおりです。
メドレーは10月11日、外部の専門機関から不正アクセスの可能性があるとの情報を受けて調査を始め、第三者による不正アクセスを確認しました。10月14日の深夜に、患者向けのアプリやWeb予約などのサービスを一時停止し、15日に公表しています。
漏れた可能性があるとされている情報は、氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、問診の回答、ワクチンの接種履歴です。実際に漏れたかどうか、どの範囲かは、外部の専門機関の協力を得て調べているところだとしています。メドレーは個人情報保護委員会に報告し、警察にも相談しています。
サービスの停止で、医療機関の現場にも影響が出ました。Webでの予約やデジタル診察券の表示ができなくなり、受付機でのチェックインを止めた病院もあると報じられています。10月15日の時点で、再開の見通しは示されていません。原因や侵入の経路も、まだ公表されていません。
メドレーは患者向けの案内で、メドレーやアットリンクを名乗る不審なメールやSMS、電話に注意するよう呼びかけています。
訪問看護ステーションも「医療機関等」に入る
厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(第6.0版)は、対象となる「医療機関等」に、病院や診療所、薬局と並んで、訪問看護ステーションと介護事業者を挙げています。訪問看護ステーションも、このガイドラインに沿って医療情報を守る立場にあるということです。
ガイドラインは、システムを外部の事業者に任せる場合でも、ステーションの側に役割があるとしています。基準を満たした事業者を選ぶこと。事業者との間で、責任の分かれ目や役割分担を決め、契約書などの文書にしておくこと。必要に応じて、事業者がガイドラインを守っているかを確かめることです。クラウドのサービスを使っているからといって、安全管理をすべて事業者に任せきりにできるわけではありません。
ステーションが確かめておきたいこと
システムが止まった日に、訪問を続けられるか
今回、医療機関の現場で最初に困ったのは、予約や受付といった日々の業務が止まったことでした。訪問看護に置き換えると、記録のシステムが使えなくなった日に、その日の訪問をどう回すかという問題になります。
利用者の一覧と住所、緊急時の連絡先、主治医の指示の要点、その日の訪問予定。少なくともこれだけは、システムが止まっても確認できる形で持っておきたいところです。紙で持つのか、別の手段で持つのか、その情報自体をどう守るのかも、あわせて決めておく必要があります。
契約で、もしものときの取り決めができているか
使っているシステムの契約書や利用規約に、事故が起きたときの連絡の手順や、事業者とステーションの責任の分担が書かれているかを確認しておきましょう。ガイドラインが求めている「責任分界」の取り決めです。分からない点は、事業者に問い合わせておくと安心です。
漏えいが起きたときの報告を知っているか
個人情報保護委員会は、報告が必要になる事態として、要配慮個人情報が含まれるもの、財産的な被害が生じるおそれがあるもの、不正の目的で行われたもの、1,000人を超えるもの、の4つを挙げています。病歴などを扱う訪問看護の記録は、要配慮個人情報にあたります。
報告は、おおむね3〜5日以内に速やかに行うよう求められています。本人にも、何が起きたのか、どの情報が対象か、原因などを分かりやすく知らせる必要があります。委託先のシステムで起きた場合に、どちらがどう報告するかは、個人情報保護委員会の案内や事業者との契約で確認しておきましょう。
利用者や家族を、不審な連絡から守れるか
不正アクセスのあとには、事業者を名乗る不審なメールや電話が来ることがあります。今回もメドレーが注意を呼びかけています。ステーションから利用者や家族に連絡するときの方法を決めておき、「ステーションから、こういう方法で暗証番号などを聞くことはない」と日ごろから伝えておくと、なりすましの被害を防ぎやすくなります。
医療のシステムがクラウドに移るほど、1つの事業者で起きたことが、多くの医療機関や事業所に同時に広がります。今回の件は産婦人科向けのシステムで起きたものですが、在宅の現場も同じ構造の上にあります。調査の結果や原因が公表されたら、改めてお伝えします。
※本稿は、2026年10月15日時点の報道とメドレーの案内をもとにまとめました。漏えいの有無や範囲、原因は調査中で、今後の発表によって内容が変わる可能性があります。
出典
- ITmedia NEWS「メドレーの産婦人科向けシステムに不正アクセス、患者の個人情報漏えいか 最大787の医療機関が対象」(2026年10月15日) https://www.itmedia.co.jp/news/article/2610/15/2000002293/
- piyolog「産婦人科向けシステム『アットリンク』への不正アクセスについてまとめてみた」(2026年10月15日) https://piyolog.hatenadiary.jp/entry/2026/10/15/065625
- 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(概説編)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001102570.pdf
- 個人情報保護委員会「漏えい等報告・本人への通知の義務化について」 https://www.ppc.go.jp/news/kaiseihou_feature/roueitouhoukoku_gimuka/
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執筆者
医療・看護・介護の多職種チーム
訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム
HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。
保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 医療ソーシャルワーカー / 管理栄養士 / 介護支援専門員
※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています


