医療制度

2026年度診療報酬改定のポイント——看護職が押さえる5つの変更点|施行は6月1日、賃上げ・物価対応・看護配置・訪問看護

(最終更新: )·約4分で読めます
2026年度診療報酬改定のポイント——看護職が押さえる5つの変更点|施行は6月1日、賃上げ・物価対応・看護配置・訪問看護

Summary

2026年度の診療報酬改定は、2026年6月1日に施行されました。看護職に関わる変更点は、ベースアップ評価料の見直しと夜勤手当への充当、物価対応料の新設、病院の看護配置基準の柔軟化、そして訪問看護の同一建物・人数別の評価です。厚生労働省の資料から、確定した内容だけを5つに整理します。

目次6項目
  1. 01ポイント1 ベースアップ評価料の見直しと、夜勤手当への充当
  2. 02ポイント2 物価対応料の新設
  3. 03ポイント3 病院の看護配置基準の柔軟化
  4. 04ポイント4 訪問看護は「同一建物・人数別」の評価へ
  5. 05ポイント5 包括型訪問看護療養費と機能強化型4の新設
  6. 06まとめ

【2026年10月 全面改稿】この記事は2026年4月に公開した速報を、告示・通知などの確定した資料にもとづいて書き直したものです。初版には、施行日を4月1日としたほか、新設項目や加算の増減について一次資料と合わない記述がありました。お詫びして訂正します。

2026年度の診療報酬改定は、2026年6月1日に施行されました(薬価は4月1日)。診療報酬本体の改定率は2026・2027年度の2年度平均で+3.09%(2026年度+2.41%、2027年度+3.77%)で、このうち賃上げ分が+1.70%、物価対応分が+0.76%です。

看護職の仕事と処遇に関わる変更点を、厚生労働省の資料から5つに整理します。

ポイント1 ベースアップ評価料の見直しと、夜勤手当への充当

改定は、2026・2027年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップを実現するための措置を盛り込みました。ベースアップ評価料は、対象となる職員が広がり、2026年度と2027年度の2段階で評価される仕組みになっています。

夜勤職員の確保のため、看護職員処遇改善評価料とベースアップ評価料による収入を、夜勤手当の増額に使えるようになりました。看護職員処遇改善評価料は今回新設されたものではなく、従来からある評価料の使い道が広がった形です。

訪問看護では、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)が月1回780円から1,050円(継続的に賃上げをしているステーションは1,830円)に引き上げられ、2027年6月からはさらに2,100円・2,880円になります。→ 訪問看護ベースアップ評価料

ポイント2 物価対応料の新設

2026・2027年度の物価上昇に段階的に対応するため、初診料・入院料などに併せて算定する「物価対応料」が新設されました。2027年6月以降は、2026年度の2倍の額になります。

訪問看護では「訪問看護物価対応料」が新設され、訪問看護管理療養費を算定する利用者について、月の初日の訪問は60円、2日目以降は20円です。→ 訪問看護物価対応料

ポイント3 病院の看護配置基準の柔軟化

病院の看護配置について、二つの柔軟化が行われました。

  • 見守り・記録・医療従事者間の情報共有にICT機器等を組織的に活用している場合は、1日に看護を行う看護職員の数等の基準を、1割以内の範囲で柔軟化する
  • 看護職員の確保に取り組んでいるにもかかわらず、突発的で想定が困難な事情で看護要員の数等が1割以内の範囲で一時的に変動した場合は、必要な取組を行っていれば、3か月を超えない期間に限り施設基準の変更の届出をしなくてもよい

配置基準そのものを地方の病院に限って引き下げる、という内容ではありません。→ 看護師配置基準の取扱いの柔軟化

ポイント4 訪問看護は「同一建物・人数別」の評価へ

訪問看護では、同じ建物に住む利用者の人数などに応じた、きめ細かな評価に見直されました。

  • 難病等複数回訪問加算・複数名訪問看護加算・夜間・早朝/深夜訪問看護加算は、同じ日に同じ建物で算定する人数(1〜2人/3〜9人/10〜19人/20〜49人/50人以上)で額が分かれる。夜間・早朝/深夜と難病等複数回(1日3回以上)は、月の訪問日数でも分かれる
  • 同一建物居住者への訪問看護(訪問看護基本療養費(Ⅱ))は、30分以上を標準とし、20分を下回る場合は算定できない。前回の訪問から2時間未満の間隔で行う20分以上30分未満の訪問は、合算して1回として扱う
  • 訪問看護管理療養費の2日目以降は、単一建物居住利用者の人数と訪問日数で区分された

ステーションは、日々の訪問について実際の開始時刻と終了時刻を記録し、保管することとされています。→ 複数名・難病等複数回の見直し、同一建物居住者の20分・2時間ルール

ポイント5 包括型訪問看護療養費と機能強化型4の新設

高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーションが、届け出た建物の利用者に24時間体制で頻回の訪問看護を行う場合の、1日あたりの包括評価「包括型訪問看護療養費」が新設されました。

また、精神障害を有する利用者への重点的な支援の実績を評価する「機能強化型訪問看護管理療養費4」(月の初日9,030円)が新設されました。常勤の看護職員4人以上に加え、別表第7・第8の利用者が月3人以上いることなどが要件です。→ 包括型訪問看護療養費、機能強化型4の要件

まとめ

今回の改定で看護職に直接関わるのは、賃上げ(ベースアップ評価料と夜勤手当)、物価対応料、病院の看護配置の柔軟化、訪問看護の同一建物・人数別の評価の4つの流れです。訪問看護の加算の全体は訪問看護の加算辞典で、告示・通知の条文の位置とあわせて確認できます。

出典: 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定について【全体概要版】」(令和8年3月10日版)、「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(告示第67号)、「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(保発0305第19号)

Share
印刷

関連記事

執筆者

HokanPress編集部

医療・看護・介護の多職種チーム

訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム

HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。

保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 医療ソーシャルワーカー / 管理栄養士 / 介護支援専門員

※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています

コメント

読み込み中...

コメントを投稿