訪問看護師と病院看護師、どっちが楽で、どっちが大変?——両方を経験した私が、正直に比較します|夜勤かオンコールか、チームか一人か

Summary
「訪問看護と病院、どっちが楽なの?」「どっちが大変?」。看護師の方から、よくこう聞かれます。私は急性期の病院で数年働いたあと、訪問看護に移ったので、両方の現場を自分の体で知っています。先に結論を言えば、「どちらが楽」とは簡単には言えません。両方に、違う種類の大変さと、違う種類の魅力があるからです。勤務時間、仕事の内容、身体と心の負担、給料、教育、やりがい。両方を経験した立場から、正直に比較します。
「訪問看護と病院、どっちが楽なの?」「どっちが大変?」。看護師の方から、よくこう聞かれます。
私は、急性期の病院で数年間働いたあと、訪問看護の世界に移りました。だから、両方の現場を、自分の体で知っています。今日は、この問いに、両方を経験した立場から、できるだけ正直にお答えしたいと思います。
先に結論をお伝えします。「どちらが楽」という問いには、実は、答えがありません。病院には病院の大変さがあり、訪問には訪問の大変さがある。楽さの種類も、大変さの種類も、まるで違うのです。だからこそ、大切なのは「どちらが楽か」ではなく、「自分にとって、どちらの大変さなら引き受けられるか」だと思います。順に、比べていきましょう。
まずは、全体像を一覧で示します。
| 比較の項目 | 訪問看護師 | 病院看護師 | | --- | --- | --- | | 勤務時間 | 日勤中心・夜勤なし(直行直帰も) | 交代制・夜勤あり・不規則 | | 夜間/休日 | オンコール(自宅待機・当番制) | 夜勤で対応 | | 働く単位 | 基本は一人で訪問 | チームで対応・医師が常駐 | | 判断 | その場で自律的に判断 | 医師にすぐ相談できる | | スピード感 | じっくり関われる | 急性期はスピード重視 | | 身体の負担 | 移動(運転・自転車)・天候 | 夜勤・立ち仕事・多忙 | | 心の負担 | 一人の判断責任・オンコール | 急変対応・大所帯の人間関係 | | 給料の目安 | 約549万円(オンコール手当) | 約576万円(夜勤手当) | | 教育・研修 | 事業所により差・自分で学ぶ | 院内研修が充実 | | やりがい | 生活に長く寄り添う | 専門技術・チームの達成感 |
一覧だけでは伝わらないところを、一つずつ、丁寧に見ていきます。
勤務時間と働き方 ── 夜勤か、オンコールか
まず、いちばん気になるであろう、働く時間の話です。
病院は、交代制で、夜勤があります。日勤と夜勤が入れ替わる生活は、どうしても不規則になりがちです。夜勤明けの独特の疲れを、経験した方も多いでしょう。
訪問看護は、日勤が中心で、夜勤がありません。私の場合、基本は日中の勤務です。事業所によっては、事務所に寄らず、自宅から直接訪問先へ向かう直行直帰もできます。生活のリズムが整いやすく、休日の予定も立てやすい。ワークライフバランスという点では、訪問のほうが保ちやすいと、実感しています。
ただし、訪問看護には、オンコールがあります。夜間や休日に、専用の携帯電話を持ち帰って自宅で待機し、利用者さんやご家族からの電話に対応する仕組みです。多くの事業所では交代制で、月に数回、当番が回ってきます。呼び出しがなければ自宅でゆっくりできますが、当番の日は、いつ電話が鳴るか分からないという緊張が、静かに続きます。夜勤のように必ず病院にいるわけではないけれど、心が完全には休まらない。オンコールは、訪問看護の、大きな特徴であり、大変さの一つです。当番の頻度や、実際に電話が鳴る回数は、事業所によってかなり違うので、転職を考えるなら、そこは必ず確認したほうがいいと思います。
夜勤の身体的なつらさか、オンコールの心の緊張か。どちらがきついかは、その人の生活や性格によって、感じ方が大きく分かれるところです。


