要介護度の重い人や医療が必要な人を受け入れる有料老人ホームを、届出制から登録制に切り替える仕組みについて、厚生労働省の検討会が10月9日に「まとめ」を示しました。登録制は2027年12月に始まる予定です。
訪問看護ステーションにとって大事なのは、登録の基準に「併設や関連法人の訪問看護事業所の利用を、入居の条件にしてはいけない」ことがはっきり書き込まれた点です。いわゆる「囲い込み」を、登録の段階で認めない仕組みになります。
HokanPressでは以前、この登録基準の案をお伝えしました。今回は、検討会でまとまった内容と、これからのスケジュールを整理します。
登録制の根拠は、2026年6月に成立し、6月25日に公布された法律です。厚労省の資料によると、施行日は公布から2年以内に政令で定めることになっていて、2027年12月の施行が予定されています。
登録制の対象になるのは、次のような人を入居の対象にしているホームです。
医療ニーズの範囲は、病名や医療行為で区切るのではなく、「保護の必要性が高い入居者の範囲」として、今後の解釈通知などで具体的に決めるとされています。
ホスピス型住宅のように、がんの末期や難病の人を多く受け入れているホームは、この対象に入ると考えられます。
登録の基準は、契約、人員、設備、運営の4つの面から定められています。このうち訪問看護ステーションに関係が深いのは、契約と運営の基準です。
契約の基準では、入居する人が自由にサービスを選べるように、次のような条件を「不当な条件」として、つけてはいけないことにしています。
運営の基準でも、ホームを設置する事業者や、その事業者と関係のある特定の事業者からのサービスに「限定又は誘導しないこと」が求められます。入居者を紹介する事業者を使う場合に、入居希望者の介護度や医療の必要度に応じて手数料を決めるようなやり方も認めないとしています。
ただし例外もあります。地方などで使える事業所が限られていて、特定の事業所を使うことが事実上避けられない場合は、それだけで不当な条件とはみなさないとされています。
人員の基準では、夜間や緊急時に、職員を配置するか、オンコールで対応できる体制をとることが求められます。オンコールの場合は、入居者からの連絡などをもとに、必要なときに職員(連携先を含む)が駆けつけられる体制が前提です。
検討会では、委員から「精神科訪問看護の利用者も対象に加えるべきだ」「医療保険による訪問看護の過剰な訪問は、今回の診療報酬改定でも議論になった」といった意見も出ています。
厚労省の資料に示された予定は、次のとおりです。
既存のホームには1年間の経過措置があります。入居者を紹介する事業者の認定制度も、来年度から始まる予定です。
ホームに併設されていたり、ホームと同じ法人グループが運営していたりする訪問看護ステーションがあります。登録制が始まると、「このホームに入ったら、併設のステーションの訪問看護を使ってもらう」という前提は、契約のうえで成り立たなくなります。入居する人が、外部のステーションを選ぶこともできるようになります。
併設のステーションにとっては、入居者に選ばれる理由が問われることになります。一方、これまでホームの中に入りにくかった外部のステーションにとっては、利用者や家族から声がかかる機会が増える可能性があります。
医療保険の側でも、2026年6月の診療報酬改定で、同じ建物に住む利用者への訪問看護の評価が見直され、高齢者向け住まいに併設・隣接するステーション向けの包括型訪問看護療養費が新しく設けられました。9月末には、ホスピス型住宅を運営する事業者が、訪問看護の報酬の返還を指導されたと報じられています。住まいと訪問看護の関係は、医療保険と住まいの制度の両方から、見直しが進んでいます。
併設のステーションを運営している法人は、2027年12月の施行と、その1年後の経過措置の終了に向けて、入居契約書や重要事項の説明の中身、そして入居者への訪問看護の案内のしかたを、今のうちに見直しておくとよいでしょう。
※本稿は、厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」(第10回、2026年10月9日)の資料「登録制の施行に向けた対応について(まとめ)」をもとにまとめました。基準の具体的な文言は、今後の政省令や通知で変わる可能性があります。