厚生労働省は10月19日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、2027年度の介護報酬改定に向けて、訪問リハビリテーションの見直し案を示しました。その柱の一つが、事業所の医師が診療したうえで訪問リハを行う形を「基本とする」という案です。
いまは事業所の医師が診療しなくても、ほかの医療機関の医師の情報をもとに、減算を受けて訪問リハを続けることができます。厚労省はこの扱いについて、猶予の期間を置いたうえで改める方向を示しました。
訪問リハは、事業所の医師が利用者を診療し、その指示のもとでリハビリの計画を作るのが原則です。
ただ実際には事業所の医師が診療の時間を確保できないこともあります。そこでほかの医療機関の医師から情報をもらって計画を作った場合でも、訪問リハを算定できる仕組みがあります。そのかわりに1回あたりの報酬が減らされるのが「診療未実施減算」です。2024年度の改定では50単位の減算とされ、情報を出すほかの医療機関の医師には、決められた研修を受けていることが求められています。この研修の要件には、2027年3月31日まで適用の猶予があります。
厚労省の資料によると、この減算を算定している割合は、2019年の20.8%から2025年には11.0%まで下がりました。
減算を算定する理由としては「事業所医師の診療時間の確保が困難なため」などが挙がっています。
気になるデータもあります。情報を出すほかの医療機関の医師が研修を受けているかどうかについて、「受講している」は23.4%、「受講していない」は19.5%で、「確認できていない」が56.5%と半数を超えました。猶予の期限が近づくなかで、要件を満たせているかどうかを事業所がつかめていない状況がうかがえます。
さらに減算を算定している利用者の27.7%で、リハビリテーションマネジメント加算もあわせて算定されていました。減算を受けている利用者にも、リハビリの計画や会議による管理を評価する加算がついている形です。
資料に示された対応案は次の3つです。
猶予期間の長さはまだ示されていません。猶予のあとに減算そのものをどう扱うのかも、資料には書かれていません。ただ事業所の医師の診療を「基本とする」以上、ほかの医療機関の医師の情報だけで訪問リハを続ける道は狭まっていくとみられます。
オンライン診療は、まだあまり使われていません。資料によると、事業所の医師が診療する方法のうちオンライン診療の割合は、減算を算定している事業所で3.3%、算定していない事業所で3.7%でした。
この見直しは訪問リハの話ですが、訪問看護ステーションにも無関係ではありません。
在宅でリハビリを受ける道は、主に2つあります。訪問リハの事業所からの訪問と、訪問看護ステーションのリハ職による訪問です。訪問リハは事業所の医師の診療が前提で、訪問看護ステーションのリハ職の訪問は主治医の指示書にもとづいて行います。
同じ日の分科会では訪問看護ステーションのリハ職による訪問の評価も見直す方向が示されました(HokanPress、10月20日)。委員からは両者の役割分担をはっきりさせるべきだという意見も出ています。
訪問リハで医師の関与が強まり、訪問看護ではリハ職の訪問の評価が見直される。両方の見直しが同時に進むことで、在宅のリハビリをどちらのサービスで受けるのかという線引きにも影響が出る可能性があります。リハ職の訪問が多いステーションは、訪問リハの議論の行方もあわせて追っておくとよいでしょう。
厚労省は年内に施策の大枠を固める予定です。12月に基本的な考え方がまとまり、改定率が決まったあと、2027年1月ごろの答申で、猶予期間の長さや算定の要件が固まる見込みです。
※本稿は、第271回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年10月19日)の資料4「訪問リハビリテーション」をもとにまとめました。