難病やがんの末期で、看護師がそばで見守る必要がある人のための通所サービス「療養通所介護」。その事業所が、全国で61か所まで減っています。10月14日に開かれた社会保障審議会の介護給付費分科会で、厚生労働省はこのサービスを取り上げ、「将来の在り方について必要な検討を行う」という方向を示しました。
療養通所介護は、訪問看護ステーションと深いつながりがあります。事業所が併設しているサービスで最も多いのが、訪問看護だからです。
療養通所介護は、主に難病などで重い介護が必要な人や、がんの末期の人で、看護師による観察が欠かせない人を対象にした通所サービスです。地域密着型サービスに位置づけられています。
人の配置は手厚く、サービスを提供する時間を通じて、利用者1.5人に対して職員1人以上を置きます。そのうち1人以上は常勤の看護師で、管理者も常勤の看護師です。定員は18人以下。報酬は月単位でまとめて支払われる仕組みで、基本の単位は1か月12,785単位です。
厚労省の資料によると、利用者の9割以上が要介護3以上で、平均の要介護度は4.3。利用の8割以上が、1回6時間以上8時間未満の長い利用です。体調を崩して休んだり、入院したりで、1か月に1回以上キャンセルが出る利用者も2割ほどいます(2019年11月時点の調査)。
資料には、療養通所介護の事業所がどんなサービスを併設しているかの調査(2025年6月末時点、50事業所)も載っています。最も多いのが訪問看護で、68%の事業所が併設していました。居宅介護支援が42%で続きます。
看護師が常にそばにいる通所サービスの担い手として、看護の人材とノウハウを持つ訪問看護ステーションが大きな役割を果たしていることがうかがえます。日中は療養通所で過ごし、自宅では同じ法人の訪問看護が支える、という組み合わせも考えられます。
ところが、事業所の数は減り続けています。サービスを提供して報酬を請求している事業所は、2019年の89か所がピークでした。それが2026年には61か所になっています。利用者の数も2021年度から減っていて、要介護5の利用者は、2016年の545人から2026年には315人になりました。
分科会でこれまでに出た意見として、厚労省は次のような声をまとめています。
厚労省は、事業所数、利用者数、費用のいずれも近年減っていることを示しました。そのうえで、減った分は、ほかの介護保険サービスが医療と介護の両方が必要な人を支えている可能性があるとしています。
論点として示したのは、医療と介護の両方が必要な要介護者を支える通所サービスを安定して提供するために、療養通所介護を続けていく考え方をどう捉えるか、という問いです。対応の案としては、減少傾向にあっても、こうしたニーズは今後も続くと見込まれることから、将来の在り方について必要な検討を行う、としています。
今回の資料では、報酬や基準をどう変えるかという具体的な案は、まだ示されていません。
療養通所介護を併設しているステーションにとっては、自分たちの事業の行方にかかわる議論です。厚労省は「ニーズは今後も続く」としていて、すぐにサービスをなくす話ではありません。ただ、事業所が減り続けているなかで「将来の在り方」を検討するとされた以上、2027年度の改定に向けて、報酬や基準の見直しの中身が示される可能性があります。
これから療養通所介護を始めることを考えているステーションにとっても、年末にかけての議論は見ておきたいところです。重い病気の人を日中に預かる場は、地域にとっても、家族にとっても大きな支えです。その担い手の多くが訪問看護の側にいることを、議論の場でも伝えていく必要があります。
訪問看護そのものについての議論も、これからの分科会で行われる見込みです。
※本稿は、第270回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年10月14日)の資料「療養通所介護」をもとにまとめました。分科会での委員の発言の内容は、本稿では確認していません。