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あなたの県はいま、2040年の医療の設計図を描いている——「新たな地域医療構想」に訪問看護が初めて正面から組み込まれた|病床だけの計画から在宅・介護連携まで、2026年度中に全都道府県が策定

HokanPress編集部 · 2026年8月17日
2026年度のいま、全国の都道府県が「新たな地域医療構想」の策定を進めています。2040年を見据えた地域医療の設計図であり、2027年度から動き出します。訪問看護にとって画期的なのは、対象がこれまでの病床中心から外来・在宅医療・介護との連携まで広がり、在宅の担い手が初めて構想の正面に組み込まれたことです。何が変わるのか、訪問看護にどう関わるのか、事業者はいま何をすべきかを整理します。

全国の都道府県がいま、一枚の設計図を描いています。「新たな地域医療構想」です。2040年を見据えて、その地域の医療をどう組み立て直すかを定めるもので、2026年度中に各都道府県が策定し、2027年度から動き出します。

病院の再編の話だと思われるかもしれません。これまでの地域医療構想は、確かに病床が中心でした。しかし新しい構想は違います。対象が外来医療・在宅医療・介護との連携まで広がり、訪問看護を含む在宅の担い手が、初めて設計図の正面に組み込まれました。

自分たちの事業の前提となる地図が、いま描き替えられている。その中身と意味を整理してお届けします。

地域医療構想とは何だったか

まず前提から確認します。地域医療構想は2014年の医療法改正を機に始まった政策で、都道府県が地域ごとの将来の医療需要を推計し、必要な病床数を定め、医療機関の機能分化と連携を促すものです。団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据えた、いわば病床の設計図でした。

その2025年が過ぎ、次の目標年が2040年に置き換わります。85歳以上の人口が増え続け、医療と介護の複合的なニーズを抱える人が急増する一方、支える現役世代は減っていく。骨太の方針にもこの課題が明記され、2024年末に「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」が示されました。2025年度に国がガイドラインを発出し、2026年度に都道府県が策定、2027年度から実施という流れです。第8次医療計画の中間見直しの年に合わせて始まります。

何が変わるのか ── 三つの転換

新しい構想は、従来と三つの点で異なります。

第一に、対象範囲の拡大です。入院医療だけでなく、外来医療、在宅医療、そして介護との連携までが構想の対象になりました。厚生労働省のガイドラインには、病床の機能分化のみならず、外来・在宅医療の提供体制の確保、医療と介護の連携を進め、地域包括ケアシステムの構築にも資する体制を作ると明記されています。病床の設計図から、地域医療全体の設計図への転換です。

第二に、病床機能の区分の見直しです。従来の回復期機能が「包括期機能」へと改められる方向が示されました。高齢者の入退院を包括的に支える機能として捉え直すもので、退院後の在宅へのつなぎが、これまで以上に意識された区分といえます。

第三に、「医療機関機能」という新しい物差しの導入です。病棟単位の病床機能とは別に、医療機関そのものの役割を地域の中で明確にする考え方で、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能、専門等機能といった区分が設けられます。どの病院が高齢者の救急を受け、どの病院が在宅を支える連携拠点になるのか。地域の中で役割をはっきりさせ、再編と集約を進めやすくする狙いです。

訪問看護にとって、何を意味するか

この転換は、訪問看護に少なくとも三つの意味を持ちます。

一つ目は、需要の裏づけが公式に示されたことです。厚労省のとりまとめは、在宅医療や訪問看護の患者数が2013年から2022年にかけて増加しており、2040年に向けても大幅な需要増が見込まれると明記しました。当メディアで繰り返しお伝えしてきた在宅シフトの流れが、国の設計図の前提として正式に据えられた形です。

二つ目は、連携の相手が地図の上で見えるようになることです。「在宅医療等連携機能」を担う医療機関が地域ごとに明確になれば、訪問看護ステーションにとって、退院支援や急変時のバックベッドをどの病院と組むべきかが分かりやすくなります。以前の記事でお伝えした営業や連携の戦略は、この新しい地図を前提に組み直すことになるでしょう。

三つ目は、病床の再編が進むほど、受け皿としての在宅の比重が増すことです。医療機関の連携・再編・集約化が進めば、入院で支えられていた療養の一部は確実に地域へ移ります。看護師の確保や偏在の問題も、構想の中で正面から扱われます。以前お伝えした看護師偏在の議論と、この構想はつながっているのです。

「病床削減ありき」ではない ── 協議で決まる

誤解のないように付け加えます。厚労省は、地域医療構想は病床の削減や統廃合ありきではなく、地域での自主的な協議を踏まえて取り組むものだと明示しています。

鍵になるのは、地域ごとの協議の場です。構想区域ごとに関係者が集まり、データをもとに将来像をすり合わせていきます。実現の手段としては、地域医療介護総合確保基金が引き続き活用されます。2025年4月に始まったかかりつけ医機能報告制度も、外来と在宅の体制を「見える化」する仕組みとして、この構想と連動していきます。

つまり新構想は、上から降ってくる決定ではなく、地域で話し合って作る設計図です。だからこそ、その協議に在宅の現場の実情が届くかどうかが、出来上がる地図の質を左右します。

事業者は、いま何をすべきか

訪問看護の経営者・管理者に、三つの行動をおすすめします。

第一に、自分の都道府県の策定の動きを追うことです。2026年度中の策定に向けて、各都道府県で検討会や調整会議の資料が公開されていきます。自地域の在宅医療の需要推計は、そのまま自事業所の中期計画の基礎データになります。以前の記事でお伝えした、データで立地と戦略を見極める発想の、公式版が手に入るのです。

第二に、地域の協議に声を届けることです。看護協会や訪問看護の連絡協議会などを通じて、在宅の現場の実情——人材の不足、移動の負担、夜間対応の実態——が構想に反映されるよう、意見を出す機会を逃さないことです。設計図に描かれなかった課題は、その後の予算にも施策にも載りません。

第三に、「在宅医療等連携機能」を担う病院との関係を、いまから育てることです。新しい地図の上で自分たちの位置を定め、退院支援・急変時対応・看取りの連携先を固めておく。構想が動き出す2027年度に、選ばれる側に立っているための準備です。

2040年の地域医療の姿は、遠い未来の話ではありません。その設計図が、まさにいま、あなたの県で描かれています。そして今回初めて、訪問看護はその図面の中に正面から位置づけられました。需要は増えると国が認め、連携の枠組みが用意される。あとは、その設計図に現場の声を刻み、描かれた役割を担いきれるかどうかです。地域の医療がどう変わるのかを、当メディアも都道府県の策定の動きとあわせて追い続けます。

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