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訪問看護師の給料は、実際いくらか——平均年収と手当の内訳を公的データで解説|オンコール手当は1回1,000〜3,000円、平均値より「内訳」を見るべき理由

HokanPress編集部 · 2026年8月10日
「訪問看護に移ると、夜勤手当がなくなって給料が下がるのでは」。転職を考える看護師から、よく聞かれる不安です。公的な統計では、看護師全体の平均年収は524万7,200円。では訪問看護師はどうかというと、出典によって約400万円から550万円と、幅が大きく出ます。理由は、事業所ごとの手当の設計に差があるからです。給料の内訳、手取りの目安、そして求人票で見るべき点を、HokanPress編集部が整理します。

「訪問看護に移ると、夜勤手当がなくなって給料が下がるのでは」。転職を考える看護師から、よく聞かれる不安です。

結論から申し上げると、訪問看護師の給料は、思われているほど低くありません。ただし、事業所によって差が大きいという特徴があります。だからこそ、平均値だけを見ても、あまり意味がないのです。

今回は、訪問看護師の給料について、公的な統計をもとに、平均年収、手当の内訳、手取りの目安、そして求人票で確認すべき点まで、整理してお届けします。

まず、看護師全体の水準を確認する

比較の土台として、看護師全体の数字を押さえておきましょう。

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によれば、看護師の平均年収は524万7,200円です。平均年齢は42.1歳。内訳は、月収が36万6,000円、ボーナスが85万6,000円となります。この月収には、夜勤手当や時間外手当、通勤手当などの各種手当が含まれます。

ここから税金と社会保険料が引かれるため、手取りの年収は、およそ394万円から420万円。手取りの月収でいえば、26万円から28万円ほどが目安になります。

なお、前年の令和6年の調査では、平均年収は519万7,000円でした。看護師の給与水準は、緩やかに上昇しています。

訪問看護師の年収は、幅が大きい

では、訪問看護師はどうでしょうか。ここで、正直にお伝えすべきことがあります。訪問看護師の平均年収は、調査や出典によって、数字がかなり異なるのです。

求人データと公的統計をもとに約510万円と推計する調査があります。一方で、およそ400万円から550万円という幅で示す解説もあり、地域によっては400万円から450万円が目安とされることもあります。以前の記事で紹介した日本看護協会の調査では、訪問看護師が約549万円という数字も出ています。

なぜ、これほど幅が出るのか。理由は明快です。訪問看護の給料は、基本給に加えて、オンコールや訪問件数に応じた手当で構成されており、その設計が事業所ごとに大きく違うからです。同じ地域の、同じ経験年数の看護師でも、勤める事業所によって年収が変わる。それが、この業界の実情です。

つまり、平均値を眺めるより、給料が何で構成されているかを理解するほうが、はるかに役に立ちます。

内訳① 基本給 ── 収入の土台

まず、収入の土台となる基本給です。

一般的には、月給で25万円から40万円程度、年収では300万円から480万円前後が多いとされます。法人の規模や地域、経験年数によって差が出ます。訪問看護の経験者には、初任給で30万円以上が提示されることもあります。

基本給は、賞与や社会保険料を計算する基準にもなるため、収入全体を大きく左右します。求人票を見るときは、提示された月給が純粋な基本給なのか、それとも固定残業代を含んだ金額なのかを、必ず確認したいところです。たとえば、月給32万円という提示が、基本給28万7,200円に固定残業代3万2,800円(15時間分)を加えた金額である、というケースもあります。

内訳② 訪問看護ならではの手当

ここからが、訪問看護の給料を特徴づける部分です。

まず、オンコール手当。多くのステーションが24時間対応の体制をとっており、夜間や休日に携帯電話を持って待機した場合に支給されます。相場は、1回あたり1,000円から3,000円です。

次に、緊急訪問の手当です。オンコールを受けて、実際に緊急訪問した場合には、待機の手当とは別に、出動手当などが支給されるのが一般的です。相場は1回あたり5,000円から1万円ですが、事業所によって、かなりの幅があります。

さらに、訪問件数に応じた訪問手当や、インセンティブを設けている事業所もあります。多く訪問するほど収入が増える仕組みです。

そのほか、資格手当もあります。認定看護師の資格を持っている場合、月額5,000円から1万円程度が支給されることがあります。通勤手当や住宅手当は、事業所によって内容が異なります。

夜勤手当がなくなる代わりに、オンコールと緊急訪問、そして訪問件数の手当が、収入を支える。これが、訪問看護の給与構造です。

手取りは、いくらになるか

額面と手取りの差も、確認しておきましょう。

年収400万円の場合、所得税や住民税、社会保険料などの控除は、おおむね80万円から100万円程度。年収550万円なら、120万円から130万円前後が差し引かれるのが一般的です。額面の75%から80%程度が手元に残る、と考えておくとよいでしょう。

病院と比べて、どうか

気になるのは、病院との比較でしょう。

夜勤手当がなくなる分だけ、単純に下がると思われがちですが、実際にはオンコールや訪問の手当が、その差をかなり埋めます。加えて、訪問看護は残業が比較的少ない傾向にあります。同じ年収でも、働く時間が短ければ、時間あたりの収入は上がります。

もう一つ、訪問看護には、病院と比べて年齢による年収の差が小さいという特徴があります。年齢を重ねるほど収入が上がる病院と違い、訪問看護では経験や役割が反映されやすい。裏を返せば、若いうちから相応の収入を得やすい、ということでもあります。

働き方の違いについては、以前の記事で詳しく比較しています。夜勤かオンコールか、チームか一人の判断か。給料だけでなく、そうした点もあわせて考えることが大切です。

給料は、上がる方向にある

そして、押さえておきたい流れがあります。訪問看護師の処遇は、いま改善の方向に進んでいます。

2024年度の診療報酬改定で、訪問看護ベースアップ評価料が新設され、賃上げの目標が設定されました。2026年度の改定では、その単価がさらに引き上げられています。在宅療養への移行が進み、24時間の対応体制を維持するために、看護師の確保が急務になっている。以前の記事で述べたとおり、国も、そのための原資を用意しています。

求人票で、ここを見る

最後に、実際に転職を検討するときの確認点をまとめます。

提示された月給が、基本給なのか、固定残業代を含むのか。オンコールの当番が月に何回あり、1回いくらか。実際に呼び出される頻度はどれくらいか。緊急訪問の手当はいくらか。訪問件数に応じた手当やインセンティブがあるか、その条件は何か。賞与は何か月分か。そして、移動に使う車両やガソリン代の扱いはどうなっているか。

訪問看護の給料は、事業所ごとの設計次第で大きく変わります。だからこそ、平均年収の数字を見るより、これらを一つずつ確認するほうが、確実です。

訪問看護師の給料は、看護師全体の水準と比べて、決して見劣りするものではありません。夜勤手当がない代わりに、オンコールや訪問の手当が収入を支え、残業の少なさを考えれば、実質的な条件はむしろ良好といえる場合もあります。ただし、年収に幅が出るのは、事業所ごとの手当の設計が違うからです。求人票の数字だけで判断せず、その内訳を確かめること。そして、給料と同じくらい、働き方や、学べる環境、職場の雰囲気も見ること。数字と働きやすさの両方を見比べたうえで、自分に合う場所を選ぶ。それが、長く続けられる職場に出会うための、確かな方法だと思います。

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