訪問看護ステーションのウェブサイト掲載について、2026年9月30日という期限が注目されています。訪問看護医療情報連携加算に関する経過措置が、この日で終わるためです。当メディアでも9月中旬に、この期限と確認項目を扱いました。
ただ、9月30日だけを確認していると、見落とすものがあります。
訪問看護のウェブサイト掲載義務は、一つではありません。医療保険側に二つ、介護保険側に一つ。そして残る二つは、すでに経過措置が終わっています。介護保険側にいたっては、2025年3月31日で終了しているため、1年半近くが経過しています。
期限の違いが分かる形で整理します。
まず全体像です。
一つ目が、訪問看護医療情報連携加算に関する連携体制の掲示事項です。2026年度診療報酬改定で新設された加算で、ウェブサイト掲載については2026年9月30日までの経過措置があります。
二つ目が、書面掲示事項のウェブサイト掲載です。2024年度診療報酬改定で導入され、経過措置は2025年5月31日で終了しました。2025年6月以降は適用されています。
三つ目が、介護保険の運営基準に基づく重要事項のウェブサイト掲載です。2024年度介護報酬改定に伴う基準の見直しで導入され、1年間の経過措置が2025年3月31日で終了しました。2025年4月1日から適用されています。
同じウェブサイト掲載でありながら、根拠となる制度も、所管も、適用開始日も違います。訪問看護が医療保険と介護保険の両方に関わるサービスであるために、こうなっています。
一つ目から確認します。
訪問看護医療情報連携加算は、ICTを用いた連携体制を構築していることなどを施設基準とし、その体制をステーションの見やすい場所に掲示するとともに、原則としてウェブサイトに掲載することを求めています。このウェブサイト掲載について、2026年9月30日までの間は基準に該当するものとみなす経過措置が設けられました。
対象は、この加算を届け出ている事業所です。届け出ていない事業所には関係がありません。詳細な要件と確認項目は、当メディアの別記事で扱っています。
二つ目が、見落とされやすい項目です。
2024年度診療報酬改定により、保険医療機関と保険薬局に加えて、指定訪問看護事業者における書面掲示についても、原則としてウェブサイトに掲載することとされました。経過措置は2025年5月31日までで、すでに終了しています。
医療機関向けの解説記事が多いため、訪問看護ステーションが対象に含まれていることに気づいていない事業所があり得ます。自ら管理するホームページ等を有していない場合の取扱いも含め、詳細は厚生労働省の関連通知で確認が必要です。
何を掲載するかは、事業所の届出状況や算定している加算によって変わります。網羅的な一覧を挙げるより、現に事業所内に掲示している書面をそのまま点検表にして、同じ内容がウェブサイトにあるかを照合するほうが確実です。
三つ目が、最も期限から時間が経っている項目です。
2024年度介護報酬改定に伴い、運営基準省令上、事業所の運営規程の概要等の重要事項について、従来の書面掲示に加えて、原則としてウェブサイトに掲載・公表することとされました。インターネット上で情報の閲覧が完結するようにするという趣旨です。
1年間の経過措置が設けられ、2025年3月31日で終了しました。2025年4月1日から適用されています。原則としてすべての介護サービス事業所が対象で、一部のサービスについては努力義務とされる整理があります。
公表の方法は二つあります。法人のホームページ等に掲載する方法と、介護サービス情報公表システムに掲載する方法です。自社のホームページを持たない事業所は、後者で対応できます。
掲載すべき重要事項は、運営規程の概要をはじめ、重要事項説明書に記載されている内容と重なります。ウェブサイトに重要事項説明書を掲載しておけば基本的に対応できるという解説もありますが、自事業所に求められる項目は、指定権者である都道府県や市区町村の案内で確認してください。
2026年9月の時点で未掲載であれば、運営基準上の対応が済んでいない状態にあたる可能性があります。当メディアで運営指導を扱った際、確認されるのは計画ではなく記録だと書きました。掲載の有無は、確認すれば分かる事項です。
三つに共通する実務上の注意点があります。
PDFをサーバーに置いただけで、トップページや事業所案内からリンクされていない状態が起こり得ます。URLを知っている人しか到達できないのであれば、インターネット上で情報の閲覧が完結するという趣旨を満たしているか説明しにくくなります。
トップページから数回の操作でたどり着ける場所にリンクを置き、リンク切れや古いファイルが残っていないかを確認しておくことをおすすめします。
なお、SNSのアカウントや地図サービスのプロフィールで代替できるかについては、自己判断せず、地方厚生局や指定権者に確認するのが安全です。制度上の「ウェブサイト」に何が含まれるかは、事業所側で決められる事柄ではありません。
確認の順序を整理します。
第一に、算定している加算と届出をしている施設基準を一覧にします。訪問看護医療情報連携加算を算定している場合は、9月30日までに連携体制の掲載を確認します。
第二に、事業所内に掲示している書面と、ウェブサイトの掲載内容を突き合わせます。掲示物を一枚ずつ見て、同じ内容がサイトにあるかを確認する作業です。
第三に、介護保険の重要事項について、自社ホームページか介護サービス情報公表システムのいずれかに掲載されているかを確認します。すでに適用されている項目であるため、優先度は高くなります。
第四に、掲載日、掲載URL、掲載ページの画面を記録として残します。更新した場合は、いつ何を変えたかも残しておくと、後から説明しやすくなります。
制作会社に依頼する場合は、訪問看護の情報を載せてほしいと伝えるだけでは不十分です。掲載項目の一覧、掲載するPDF、リンクを置く場所、公開希望日を具体的に渡します。公開後は事業所側でも実際の画面を確認してください。
当メディアで起業した管理者の困難を分析した査読論文を扱った際、「起業・運営に関わる必須かつ詳密な事務管理」が困難のカテゴリとして抽出されていたことを紹介しました。1事業所あたりの看護職員が平均5.8人という規模で、医療保険と介護保険の両方の掲載義務を追い続けるのは、管理者一人には重い作業です。誰がいつ確認するかを決めておくことが、現実的な対策になります。
訪問看護のウェブサイト掲載義務は、一つの期限で判断できるものではありません。医療保険側に2026年9月30日までの経過措置がある項目があり、書面掲示事項は2025年5月31日で、介護保険の重要事項は2025年3月31日で、それぞれ経過措置が終わっています。
9月30日の対応を終えても、掲載に関する確認が完了するわけではありません。医療保険と介護保険の両方に関わる訪問看護だからこそ、算定している報酬、指定基準、事業所内の掲示、ウェブサイトの掲載状況を一つの表で管理する必要があります。
制度の適用関係は、算定状況、指定権者、ウェブサイトの有無によって異なります。最終的な確認は、厚生労働省の最新の通知、地方厚生局、都道府県・市区町村の案内で行ってください。