採用した 人ほど、 辞めていく ——訪問看護の 離職率が 病院より 高い 構造と、 定着に 効く 四つの 手| 既卒採用者の 離職率16.1%、 5人以上で 下がる 理由

Summary
日本看護協会の調査で、既卒採用者の離職率は16.1%でした。新卒8.4%、正規雇用全体11.0%に比べて突出しています。訪問看護は既卒採用が中心ですから、最も辞めやすい層を採用していることになります。訪問看護の離職率は病院より高く、一方で看護職員5人以上の事業所は離職率が低い。辞める理由の共通項と、定着に効く手を整理します。
日本看護協会が2026年3月に公表した2025年病院看護実態調査に、訪問看護の経営者が注目すべき数字がある。
2024年度の看護職員の離職率は、正規雇用全体で11.0%。新卒採用者は8.4%。そして既卒採用者は16.1%だった。
既卒、つまり他の職場を経験してから入職した看護師の離職率が、新卒の倍近い。この数字は病院を対象とした調査だが、訪問看護にはより重い意味を持つ。訪問看護ステーションが採用しているのは、ほぼすべてが既卒だからだ。
当メディアで求人倍率4.54倍という採用の厳しさをお伝えした。今回はその続きになる。苦労して採用した人が、なぜ辞めるのか。そして何が定着に効くのか。
訪問看護の離職率は、病院より高い
まず現状を確認する。訪問看護の離職率は、病院より高い傾向にある。
神奈川県の令和3年の調査では、訪問看護師の離職率は17.7%で、病院勤務看護師の13.3%を上回った。同県の2023年度調査では16.7%と、前年度の18.1%から改善したものの、依然として高い水準にある。全国では約15%が平均的な水準とされ、オンコールの負担が大きい事業所では20%を超える例もあると指摘されている。
もう一つ、見逃せない調査結果がある。同じく神奈川県の調査で、看護職員が常勤換算で5人以上の事業所は、5人未満の事業所より離職率が低かった。中規模以上のほうが人が辞めにくい。この事実は、対策を考えるうえで重要な手がかりになる。
職場ではなく、職業から離れる人が増えている
さらに気になる数字がある。日本看護協会の2025年看護職員実態調査によれば、今後も看護師として働き続けたいという意向を持つ人は約6割で、前年度の調査から5ポイント近く低下した。
転職先を探す人と、看護師そのものをやめる人は、性質が違う。後者が増えているなら、他の事業所と条件を競うだけでは足りないことになる。この仕事を続けたいと思える環境そのものが問われている。
辞める理由には、共通項がある
訪問看護師の退職理由を、実務資料から拾い上げてみる。
オンコールの負担。休日でも電話が鳴るかもしれないという緊張が続き、心身の疲労が蓄積する。当番が管理者や独身者、男性に偏りやすい事業所もある。
一人での訪問と判断の重さ。訪問中にトラブルや緊急事態に遭遇したとき、一人で対応しなければならない。経験したことのない処置を求められることもある。


