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要介護の訪問の34.1%、要支援の46.2%をリハ職が担っている——厚労省が「リハビリ主体の事業所」を名指しした2027年度改定の論点|2024年減算の次に来るもの

2026年9月3日(更新: 2026年9月3日)·約7分で読めます
要介護の訪問の34.1%、要支援の46.2%をリハ職が担っている——厚労省が「リハビリ主体の事業所」を名指しした2027年度改定の論点|2024年減算の次に来るもの

Summary

2026年6月29日の介護給付費分科会で、厚生労働省は訪問看護の「現状と課題」として「リハビリテーションの提供が主体の事業所も一定数あると推察される」と明記しました。訪問看護ステーションの訪問単位数に占める理学療法士等の割合は、要介護で29.8%から34.1%へ上昇。委員からは「本来のあるべき姿から乖離」との発言も出ています。2024年改定で減算が入り、それでも増え続けた数字を、2027年度改定はどう扱うのか。資料の数字から読み解きます。

訪問看護ステーションが提供した訪問のうち、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問は、要介護の利用者で34.1%、要支援の利用者で46.2%を占めています。

2026年6月29日、社会保障審議会介護給付費分科会に厚生労働省が提出した資料の数字です。この日、2027年度介護報酬改定に向けた訪問看護の「現状と課題」が示されました。資料には、こう書かれています。

「医療処置を含めた24時間の看護サービスの提供ではなく、リハビリテーションの提供が主体の事業所も一定数あると推察される」

行政の資料としては珍しく、踏み込んだ表現です。2024年改定で減算が導入され、それでもなお増え続けた数字を、次の改定はどう扱おうとしているのか。資料に示されたデータを一つずつ確認します。

10年で、要介護の訪問の3分の1がリハ職に

まず全体像です。

資料によると、訪問看護ステーションの訪問単位数に占める理学療法士等の割合は、要介護の利用者で29.8%から34.1%へ、直近10年で上昇しました。要支援の利用者では48.3%から46.2%と横ばいですが、水準そのものが半分に近い状態です。

単位数の絶対量で見ると、さらにはっきりします。要介護における理学療法士等の訪問単位数は、10年で49億6,500万単位から113億7,600万単位へ、2.3倍に増えました。看護職員の訪問も117億単位から219億単位へ1.9倍に伸びていますが、伸び率はリハ職のほうが高い。

要支援でも同じ傾向です。理学療法士等の単位数は7億8,400万から18億800万単位へ2.3倍。介護予防訪問看護では、1日2回以下の訪問の単位数が2021年度以降に大幅に増えたと資料は指摘しています。

分科会では、日本医師会の江澤委員が、要支援者の約半数、要介護者の約3分の1の訪問をリハ専門職が担い、事業所によってはリハ職が看護職より多いケースがあると指摘しました。数字は資料のとおりです。

看護職員の割合は、81%から71%へ

もう一つ、資料が示した数字があります。訪問看護ステーションの全従事者に占める看護職員の割合です。

常勤換算で見ると、この割合は81%から71%まで下がりました。1事業所あたりの従事者数は8.1人、そのうち看護職員は5.8人です。残る2.3人にリハ職とその他の職員が含まれます。

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資料は「いずれの職種も年々増加しているが、全従事者に占める看護職員の割合は近年横ばい」と記していますが、10年前の8割から7割への変化は、ステーションの職員構成が構造的に変わったことを意味します。

当メディアで訪問看護ステーションの人員基準を扱った際、看護職員の常勤換算2.5人以上という要件に対し、理学療法士等は「実情に応じた適当数」としか定められていないと書きました。看護職員が2.5人いれば、リハ職を何人置いても基準上は問題ありません。この構造が、リハ職の比率が高い事業所を生んできました。

2024年改定の減算は、何を狙ったのか

ここで、前回の改定を振り返ります。

2024年度改定では、理学療法士等による訪問について新たな減算が設けられました。前年度のリハ職による訪問回数が看護職員の訪問回数を超えている場合、または緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算のいずれも算定していない場合に、リハ職の訪問1回につき8単位を減算する。介護予防訪問看護で12月を超えて訪問を続ける場合は、さらに15単位を減算するという内容です。

当メディアでもこの減算を取り上げましたが、狙いは明確でした。看護より多くリハを訪問させている事業所、そして24時間対応や医療的管理を担っていない事業所を、報酬で区別する。訪問看護ステーションに求められる本来の役割へ誘導する、という考え方です。

しかし今回の資料は「累次の改定で見直しを行ってきたところであるが、全体単位数は増加傾向にある」と記しています。8単位の減算では流れを変えられなかった、という評価が資料の行間に読めます。

委員の発言が示す、次の方向

分科会での委員の発言を、資料と重ねて読みます。

健康保険組合連合会の伊藤委員は、理学療法士等による訪問看護がこれまでも見直しを経てなお増加傾向にあり、中にはリハビリテーションの提供が主体となっている事業所もあると指摘。訪問看護の本来の役割を踏まえ、サービス内容や実態に応じた評価の見直しが必要だと述べました。

江澤委員は、現状を「本来のあるべき訪問看護ステーションの姿ではない、かなり乖離した状況」とし、報酬改定を通じてあるべき姿へ誘導すべきだと提起しています。

支払側と医療側の双方から、同じ方向の発言が出た。これが今回の議論の特徴です。資料の論点は「より質の高い訪問看護サービスを効果的・効率的に提供する事業所を適切に評価するためにはどのような方策が考えられるか」という表現にとどまっていますが、その裏返しとして、質の高い訪問看護を提供していない事業所の評価をどうするか、という問いが置かれています。

資料が並べた「あるべき姿」の数字

資料は、リハ職の数字と並べて、訪問看護に求められている機能の数字も示しました。

訪問看護における医療処置の実施件数は年々増加し、特に「褥瘡の予防」「緊急時の対応」「褥瘡以外の創傷部の処置」が顕著に伸びています。緊急時訪問看護加算の算定事業所割合は77%から88%へ上昇。特別管理加算は7割前後で推移。ターミナルケア加算の算定事業所は徐々に増えているものの、割合は1割前後で横ばいです。

当メディアで24時間対応の構造を論じた際に触れたとおり、緊急時訪問看護加算を算定する事業所は増えていますが、実際に夜間の訪問を担える体制があるかは別の問題です。資料が「医療処置を含めた24時間の看護サービスの提供」という言葉で線を引いたのは、加算の届出ではなく、その中身を問うているからでしょう。

一方で資料は、廃止・休止のステーションが増えていることも記しています。2024年度の廃止届は886件、休止届は355件。理由の上位は従業員確保の困難と管理者の退職です。人材が足りない業界で、看護職員の比率を高めよという方向は、事業所に厳しい選択を迫ることになります。

経営者は、何を確認すべきか

2027年度改定の内容は決まっていません。今後、秋にかけて各サービスの論点が整理され、年末に審議報告がまとまる見込みです。この段階で確認しておくべきことを整理します。

第一に、自事業所のリハ職訪問回数と看護職員訪問回数の比率です。前年度の実績で前者が後者を超えていれば、すでに8単位減算の対象であり、次の改定でさらに影響を受ける可能性が高い。

第二に、緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算の算定状況です。いずれも算定していない事業所は、「24時間の看護サービス」を提供していない事業所として整理される側にいます。

第三に、利用者の要介護度の分布です。資料は、訪問看護の利用者のうち要介護1〜2の割合が増加傾向にあると指摘しています。軽度の利用者へのリハ訪問を中心に据えた事業モデルは、今後の改定で最も影響を受けやすい構造です。

当メディアで2027年改定への準備を論じた際、財政審の建議や骨太方針の方向性を整理しました。今回の分科会資料は、その方向性が訪問看護においてどこに向かうかを具体的に示したものです。

減算の次は、何か

8単位の減算で流れが変わらなかったとすれば、次に考えられる手段は限られます。減算幅の拡大、看護職員比率の要件化、リハ職訪問の回数制限、あるいは訪問リハビリテーションとの役割分担の明確化。いずれも現時点では推測にすぎません。

ただ、資料が「リハビリテーションの提供が主体の事業所」という表現を使い、委員が「あるべき姿から乖離」と述べた事実は残ります。2027年度改定の議論は、この認識を出発点にして進みます。

リハ職の訪問は、利用者にとって必要なサービスです。問われているのは訪問看護ステーションという枠組みで、24時間の看護を担わずにリハビリを提供し続けることが、制度として持続するかどうかという点にあります。数字はすでに示されました。答えは年末に見えてきます。

#訪問看護#2027年度介護報酬改定#理学療法士#リハビリ#介護給付費分科会#減算#経営#制度改正
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執筆者

HokanPress編集部

医療・看護・介護の多職種チーム

訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム

HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。

保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 医療ソーシャルワーカー / 管理栄養士 / 介護支援専門員

※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています

2026年7月24日