上場企業が 買い、 そして 手放した ——訪問看護で 始まった 再編の 第二局面|2年で 2割増えた 事業所数の 裏で、 誰が 入り、 誰が 出ているか

Summary
東証プライム上場のLITALICOは2023年に訪問看護会社2社をグループ化し、2025年にそのうち1社を譲渡、1社をグループ内で吸収合併しました。参入から3年足らずでの整理です。訪問看護ステーション数は2年で約2割増えた一方、介護事業者の倒産は小規模に集中しています。資本の出入りから、業界がどの局面にあるのかを読み解きます。
東証プライムに上場するLITALICOという会社がある。障害のある方の就労支援や学習支援を全国で展開する企業だ。
同社は2023年2月、精神科に特化した訪問看護ステーションを運営するAmu.あむ株式会社を100%グループ化した。世田谷区と調布市を中心に3拠点、加えて障害者グループホームを1拠点運営していた会社である。同じ年の10月には、都内で6拠点を展開し小児領域に先駆的に取り組んでいた株式会社VISITもグループ化した。
障害福祉と訪問看護をつなぐ。当時の発表を読むと、住まい、就労、医療をワンストップで提供するという構想が語られている。
ところが2025年11月、VISITはグループ内の別会社に吸収合併され、統合された。そして同年12月11日、Amu.あむの全株式を株式会社ALTWELLへ譲渡する契約が締結されている。譲渡時点で、Amu.あむの拠点は5つに増えていた。
参入から3年足らず。この動きは、訪問看護業界がどの局面に入ったかを示していると私は考えている。
買い手は、参入2年目の会社だった
Amu.あむを引き受けたALTWELLは、東京東部と千葉を中心に介護サービスを展開する会社である。介護事業への参入は2023年4月と、比較的新しい。
譲受の理由として挙げられているのが、東京西部エリアへの拠点拡大と、医療と介護の連携強化だ。急速に事業規模を拡大するなかで、精神領域に特化した訪問看護の実績を持つ会社をグループに迎えるという構図になる。
売り手は上場企業、買い手は参入2年目の成長企業。売られた側は、精神科特化で5拠点まで育った事業所。この三者の関係に、いまの業界の姿が凝縮されている。
同様の動きは他にもある。2024年8月には、DSヘルスケアグループのDSセルリアが訪問看護事業を営む株式会社アイエムを100%取得し子会社化した。既存の介護事業所との相乗効果とマネジメントの効率化が理由とされている。
訪問看護は、買われる側として活発な領域になっている。
なぜ大手は入り、そして出るのか
参入の理由は分かりやすい。当メディアで人材紹介の手数料を扱った際に述べたが、看護師一人の採用には100万円規模がかかる。訪問看護のM&Aは、事業と一緒に人材と利用者と地域の紹介ネットワークを手に入れられる。ゼロから作れば年単位かかるものが、まとめて手に入る。
在宅シフトという政策の追い風もある。新たな地域医療構想では、2040年に向けて在宅医療と訪問看護の需要が大幅に増えると明記された。成長市場として捉えるのは自然だ。


