BCP研修は 年1回45分で 足りる ——訪問看護ステーションで そのまま 使える 研修の 型と、 記録に 残す3点|資料を 作る 前に 決める こと

Summary
BCPは策定して終わりではない。運営基準は研修と訓練の定期的な実施を求めており、実施した記録がなければ未実施と同じ扱いになる。しかし研修資料を一から作ろうとして止まっている事業所は多い。必要なのは分厚い資料ではなく、45分で回せる型と、記録に残すべき3点である。訪問看護ステーションでそのまま使える研修の構成と、実施記録の書き方を示す。
BCP研修の資料を作ろうとして、手が止まる。訪問看護ステーションの管理者から、この話を何度も聞く。
理由ははっきりしている。BCPそのものが分厚いからだ。感染症編と自然災害編に分かれ、それぞれに体制、対応、平時の備え、復旧が書かれている。あれを全部研修で説明しようとすれば、資料は何十枚にもなり、聞く側も一度では覚えられない。
だから、資料から作ってはいけない。先に決めるべきは、その研修で職員に何ができるようになってほしいかである。
研修と訓練は、義務として別のもの
まず制度の位置づけを整理する。
介護保険の運営基準は、BCPの策定に加えて、その内容についての研修と訓練を定期的に実施することを求めている。感染症についても同様の規定がある。当メディアでBCPの義務化を扱った際に書いたとおり、策定していない事業所には減算が適用される。
ここで見落とされやすいのが、研修と訓練が別の行為として求められている点だ。
研修は、BCPの内容を職員に周知し、理解させること。座学が中心になる。訓練は、実際に手足を動かして手順を確かめること。安否確認の連絡を実際に回す、参集の可否を確認する、といった行為である。
どちらも定期的に実施し、記録を残す。運営指導で確認されるのは、計画そのものよりも、この記録であることが多い。当メディアで運営指導を扱った際に書いたが、実施したが記録がない状態は、実施していないことと同じに扱われる。
45分の研修に、何を入れるか
訪問看護ステーションの職員を集められる時間は長くない。全員が事務所に揃う機会自体が限られる。当メディアで直行直帰の記事を書いたとおり、そもそも顔を合わせない働き方が広がっている。
現実的な設計は、45分である。この45分に何を入れるか。
最初の10分は、BCPが何のためにあるかを伝える。災害時にサービスを止めないためであり、止めざるを得ない場合に何から止めるかを決めておくためだと説明する。全利用者に平時と同じ訪問はできない。その前提を共有しないまま手順だけ教えても、当日に判断できない。
次の15分で、自分の役割を確認させる。BCPには対策本部の構成と、誰が何を担当するかが書かれている。管理者が不在のときに誰が指揮を執るか。安否確認の担当は誰か。この部分だけを抜き出して、参加者全員に自分の名前がどこに書かれているかを確認させる。
続く15分で、優先順位を確認する。災害時に訪問を継続する利用者、間隔を空ける利用者、電話対応に切り替える利用者。この区分を事業所として決めているなら、その基準を示す。決めていないなら、その場で議論する。人工呼吸器や在宅酸素を使う利用者、独居で医療処置がある利用者から順に並ぶはずだ。


