指示書が 切れても、 訪問は 続けられる ——千葉豪雨で 発動した 訪問看護の 災害特例|概算請求の 届出期限は 9月15日、 避難所での 訪問も 算定対象

Summary
2026年8月13日からの大雨は「令和8年8月千葉豪雨」と命名され、厚生労働省は8月中に複数の事務連絡を発出しました。主治医と連絡が取れなければ指示書の有効期間を過ぎても算定できる。避難所での訪問看護も算定できる。介護報酬は8月分を概算で請求でき、届出期限は9月15日。災害時に訪問看護へ適用される特例は、平時に読んでおかなければ使えません。何が発動したのかを整理します。
2026年8月13日、線状降水帯による大雨が千葉県を襲いました。大雨特別警報が出され、翌14日には県内24市町に災害救助法が適用されています。この災害は後に「令和8年8月千葉豪雨」と命名されました。
被災された方々にお見舞い申し上げます。
厚生労働省はこの災害を受け、8月14日、17日、27日、31日と立て続けに事務連絡を発出しました。そのなかには訪問看護の算定と請求に直接関わる内容が含まれています。
災害時の特例は、災害が起きてから探すものではありません。何が発動したのか、事業所は何を確認すべきかを整理します。
特例は「通知」として、あらかじめ用意されていた
まず押さえておきたい前提があります。
厚生労働省は2026年3月31日付で「災害発生時における保険診療関係等及び診療報酬の取扱いについて」という通知を出しています。大規模災害が起きるたびに個別の事務連絡で対応してきた従来の方式を改め、あらかじめ基本的な考え方を通知として整理したものです。
千葉豪雨については、8月17日付の事務連絡でこの通知の「対象となる災害」に該当することが示されました。つまり今回は、新しいルールが作られたのではなく、用意されていたルールのスイッチが入ったという構図です。
2026年に入ってからは熊本地震でも同じ通知が適用されています。今後の災害でも同じ枠組みが使われると考えてよいでしょう。だからこそ、通知の中身を平時に読んでおく意味があります。
指示書の有効期間を過ぎても算定できる
訪問看護に関わる特例のうち、最も重要なのが指示書の扱いです。
通常、訪問看護基本療養費と包括型訪問看護療養費は、訪問看護指示書に記載された有効期間内に行った訪問について算定します。有効期間は6か月が上限です。当メディアで医師会との関係を論じた際に触れたとおり、指示書がなければ訪問看護は一件も提供できません。
災害が起きると、この前提が崩れます。主治医のいる医療機関が被災し、連絡が取れない。指示書の期限が迫っているのに、新しい指示書をもらえない。
通知は、次の三つすべてに該当する場合、有効期間を超えていても算定できると定めています。
災害発生の前に主治医から指示書の交付を受けている利用者であること。医療機関が被災したため主治医と連絡がとれず、災害発生後に指示書の交付を受けることが困難であること。そしてステーションの看護師等が、利用者の状態からみて訪問看護が必要だと判断して訪問を実施したこと。
三つ目の要件に注目してください。判断の主体はステーションの看護師です。医師の指示が得られない状況で、看護師の判断によって訪問を続け、それを算定できる。平時にはない権限が、災害時には認められています。


