訪問看護師の 年収は 549万円——病院より 高いのか、 低いのか|日本看護協会調査で 読む 「夜勤 手当の ない 給与」の 中身と、 オンコール1回2,233円の 現実

Summary
訪問看護師の年収は平均549万8,716円。日本看護協会の2024年度調査の数字です。病院より高いという話も、夜勤がないから低いという話も、どちらも聞きます。どちらが本当なのでしょうか。基本給、手当、賞与、オンコール、時間外。給与明細の項目ごとに調査の数字を並べ、病院から訪問看護へ移るときに何が増えて何が減るのかを、私自身の経験も交えて整理します。2026年に入った処遇改善加算の話も含めます。
訪問看護の求人を見ていると、月給40万円という数字が目に入ります。病棟で夜勤をしていた頃の給与明細と比べて、多いのか少ないのか。私が急性期病院から訪問看護に移ったとき、一番わからなかったのがそこでした。
数字を並べてみます。日本看護協会が2025年6月に公表した「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」では、訪問看護ステーションに正規雇用でフルタイム勤務する看護職員の2024年の年収は平均549万8,716円でした。一番多い層は500万円から600万円未満で、24.8%です。
この数字を、よく聞かれる質問に沿って読み解いていきます。
Q. 549万円は、病院より高いのですか
同じ調査の病院勤務者と比べると、年収で約26万円、病院のほうが高くなっています。ただし基本給の月額はほぼ同じで、差は約3,000円しかありません。税込の給与総額で月2.6万円ほど病院が上回り、それが年収の差になっています。
差の正体は夜勤手当です。病院は夜勤があり、訪問看護は日勤が中心です。基本給が同じで、夜勤手当の分だけ病院が高い。それが調査の示す構造です。
一方で、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、看護師全体の平均年収は524万7,200円でした。この数字と比べれば、訪問看護の549万円は上回っています。ただし、この二つは調査の対象も方法も異なるため、単純に並べて「訪問看護のほうが高い」とは言えません。日本看護協会の調査は協会の会員が中心で、厚生労働省の調査は事業所の規模や地域を広く含みます。
私の実感を言えば、病棟で月8回の夜勤をしていた頃と比べると、訪問看護に移った最初の年は年収が下がりました。夜勤手当がなくなった分です。そのあと訪問件数とオンコールに慣れて、手当が増え、ほぼ元の水準に戻りました。病院より高いか低いかは、その人が病院でどれだけ夜勤をしていたかで決まります。
Q. 夜勤がないのに、なぜ月給40万円の求人があるのですか
訪問看護の給与は、基本給に手当を重ねて作られています。訪問件数に応じたインセンティブ、オンコールの待機手当、緊急訪問の出動手当、資格手当。求人票の月給40万円は、こうした手当を一定の件数と回数で見込んだ金額であることが多いです。
私が転職の面接で聞いたのは、月給の内訳でした。基本給はいくらで、何件訪問すればその月給になるのか。オンコールは月に何回で、待機だけの場合と出動した場合で手当はどう違うのか。
これを聞かずに入職すると、最初の数か月は件数が少なくて月給が届かず、慣れて件数が増えたら今度は身体がきつくなる、ということが起きます。


