国が 「看護業」を 業況悪化業種に 指定——セーフティネット保証5号、 期限は 9月30日|収支差率10.3%の 裏側に ある 現実と、 使える 資金調達の 仕組み

Summary
2026年7月1日から9月30日まで、セーフティネット保証5号の対象業種に「8342 看護業」が指定されました。業況が悪化している業種を国が指定し、その業種の中小企業が信用保証を受けやすくする制度です。収支差率10.3%と報じられる一方で、4割近くが赤字という現実がある訪問看護。国の指定が意味するところと、資金繰りに使える制度の内容を整理します。
経済産業省が公表した業種指定の一覧に、「8342 看護業」という項目が並んでいます。セーフティネット保証5号の対象業種です。指定期間は2026年7月1日から9月30日まで。
この制度は、業況が悪化している業種を国が指定し、その業種に属する中小企業が信用保証協会の保証を受けやすくする仕組みです。日本看護協会も会員向けに周知しており、6月11日から信用保証協会での事前相談が始まっています。
看護業が業況悪化業種として指定された。その事実が示すものと、実際に使える制度の内容を整理します。
セーフティネット保証5号とは何か
まず制度の仕組みを確認します。
中小企業が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が保証人の役割を果たすことで借入がしやすくなる仕組みがあります。セーフティネット保証は、その中でも特定の事情を抱えた事業者を対象とした制度です。号数によって対象が分かれており、5号は業況の悪化している業種に属する事業者を対象としています。
対象業種は国が指定し、四半期ごとに見直されます。今回、看護業が2026年7月から9月までの指定を受けたわけです。
利用するには、市区町村から認定を受ける必要があります。認定を受けたうえで金融機関や信用保証協会に申し込む流れになります。売上高の減少などの要件があるため、詳細は自治体の窓口で確認してください。
「業況が悪化している業種」という認定
制度の内容以上に注目すべきは、国が看護業を業況悪化業種として位置づけたという事実です。
当メディアでは、この業界の収益に関する矛盾を繰り返しお伝えしてきました。令和7年度の介護事業経営概況調査で、訪問看護ステーションの収支差率は10.3%と示されました。全介護サービスの平均が4.7%ですから、その倍以上。介護サービスの中で最も高い水準です。
ところが同じ調査のサービス別内訳を見ると、訪問看護の38.2%が赤字でした。平均値が高いことと、個々の事業所が黒字であることは、まったく別の話なのです。
倒産と廃業も増えています。訪問看護ステーションの廃止は過去最多の水準が続き、事業所数の増加と撤退が同時に進む状況が定着しました。人件費率は74%を超え、公定価格のため採用コストの上昇を価格に転嫁できません。
国の業種指定は、そうした現実の裏づけでもあります。数字の平均だけを見ていては見えない苦しさが、制度の側から認められた形です。


