月商347万円で、 残る 利益は 36万円——訪問看護の 38.2%が 赤字に なる 構造と、 抜け出すための 3つの 診断|立ち上げ期の 赤字か、 構造赤字か、 流出赤字か

Summary
厚生労働省の調査によれば、訪問看護ステーションの1事業所あたり月間収入は約347万6,000円、収支差率は10.3%です。残る利益は月におよそ36万円。そして同じ調査で、38.2%が赤字と報告されました。なぜこれほど薄いのか、そしてどう抜け出すのか。赤字には3つの型があり、型によって打つべき手が変わります。自己診断の方法と、撤退の判断基準まで論じます。
厚生労働省が公表した令和7年度介護事業経営概況調査に、訪問看護ステーションの平均的な姿が示されている。1事業所あたりの月間収入は、およそ347万6,000円。
同じ調査で、訪問看護の収支差率は10.3%と報告された。税引前で、物価高騰対策の補助金を含まない数字である。二つを掛け合わせれば、月に残る利益はおよそ36万円になる。
看護職員が常勤換算で5人前後の事業所。その全員が1か月働いて、手元に残る金額だ。
そして同じ調査は、訪問看護ステーションの38.2%が赤字であることも示している。今回は赤字の構造と、そこから抜け出すための考え方を論じたい。
訪問1回あたりに置き換えると
月36万円という利益を、訪問1回あたりに直してみる。
訪問1回の単価を8,200円から8,500円とすれば、月商347万6,000円に届くには410回から425回の訪問が要る。利益36万円をその回数で割ると、1回あたりおよそ840円から870円。編集部による試算だが、公表値から導ける水準としてはこのあたりになる。
看護師が家を訪ね、1時間近くをかけてケアを提供し、記録を書く。その一連から事業所に残るのが1,000円に届かない。
薄利であることは、経営者なら肌で知っているはずだ。それでも数字にすると、意味が変わって見えてくる。キャンセルが1件出れば、10回分の訪問で積み上げた利益が消える計算になる。
平均値そのものが、下がっている
収支差率10.3%という数字は、全介護サービス平均の4.7%と比べれば高い。当メディアでもその点はお伝えしてきた。
ただし前年度、つまり令和5年度決算では11.9%だったと報じられている。1年で1.6ポイントの低下。訪問系サービス全体で収支の悪化が目立つとの指摘もある。
平均値が悪化の途上にある以上、今年の10.3%を前提に組んだ計画が来年も成り立つとは限らない。
なお、この調査で訪問看護から有効回答を寄せたのは254事業所である。全国に2万を超えるステーションがあることを踏まえれば、あくまで抽出調査の結果として受け取るべき数字ではある。
赤字には、三つの型がある
赤字対策の記事は世に多い。原因が列挙され、対策が並ぶ。だが実際の経営でつまずくのは、自事業所がどの種類の赤字なのかを見極めないまま、手当たり次第に動くときだ。
私の整理では、訪問看護の赤字は三つに分かれる。立ち上げ期の赤字、構造赤字、流出赤字。どれに当てはまるかで、処方箋がまったく違ってくる。


