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インフルエンザの流行入りが去年より5週間早い——訪問看護が9月から感染対策を始める理由|1999年以降で2番目の早さ

2026年9月14日(更新: 2026年9月14日)·約6分で読めます
インフルエンザの流行入りが去年より5週間早い——訪問看護が9月から感染対策を始める理由|1999年以降で2番目の早さ

Summary

インフルエンザが8月に流行入りしました。全国の定点当たり報告数が1.11となり、流行開始の目安の1.00を超えています。1999年以降では2009年に次いで2番目の早さで、去年より5週間ほど早い。訪問看護は1日に何軒もの家に入る仕事です。まだ暑いこの時期に、何を始めておくといいのか。訪問の順番、車の中の使い方、体調が悪いときの判断まで、今日からできることを書きます。

目次8項目⌄
  1. 01何が起きているか
  2. 02いちばん怖いのは、気づかれないこと
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03
訪問看護は、運んでしまう側でもある
  • 04今日からできること
  • 05家族に、どう伝えるか
  • 06自分が体調を崩したとき
  • 07研修の題材にする
  • 08暑いうちに、始めておく
  • 9月に入っても暑い日が続いています。訪問先で汗を拭きながら、感染対策は冬の話だと思っていました。

    でも今年は違いました。インフルエンザが8月のうちに流行入りしています。

    何が起きているか

    全国の医療機関から報告される患者数を定点当たりで見た数字が、2026年の第34週、8月17日から23日の週に1.11となりました。これが1.00を超えると、流行が始まったと判断されます。

    感染症法が施行された1999年以降で、2009年に次いで2番目に早い流行入りです。去年は第39週、9月22日から28日の週でした。今年は5週間ほど早いことになります。東京都は8月27日に流行開始を発表しました。

    訪問看護にとって、この5週間は小さくありません。多くの事業所では、感染対策の話し合いも職員のワクチン接種も、10月や11月に予定しているからです。

    いちばん怖いのは、気づかれないこと

    この時期の流行で私が心配なのは、症状が見過ごされることです。

    厚生労働省の説明では、インフルエンザは38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身のだるさが比較的急に現れるのが特徴です。でも、まだ暑いこの時期にだるさや食欲低下があると、夏バテや熱中症だと考えてしまいます。

    高齢の利用者さんの場合、そもそも高い熱が出ないこともあります。いつもより元気がない。食事が進まない。ぼんやりしている。当メディアで糖尿病の在宅管理を扱ったときにも書きましたが、高齢者の体調変化は教科書どおりに出ないことが多いです。

    だから、いつもと違うかどうかを判断できる人が必要になります。週に1回でも2回でも、その人を継続して見ている訪問看護師は、その判断ができる数少ない立場にいます。

    先週の訪問でどうだったかを覚えているか、記録に書いてあるか。それが比べる土台になります。

    訪問看護は、運んでしまう側でもある

    もう一つ、はっきり書いておきたいことがあります。

    1日に5軒回るということは、5つの家に入るということです。私たちは、ウイルスを運んでしまう可能性のある立場にいます。

    病院なら、感染している患者さんは病室にいて、こちらが防護具をつけて入ります。在宅は逆です。こちらが家から家へ移動していきます。しかも訪問先には、高齢で持病のある方が待っています。

    これは怖がらせたいのではなく、対策の優先順位を決めるうえで大事な前提です。自分が感染しないことと同じくらい、自分が持ち込まないことに重みがあります。

    今日からできること

    難しいことは書きません。この時期に始められることを、順番に挙げます。

    手指衛生のタイミングを決め直す

    手を洗う、または消毒するタイミングは、利用者さんに触れる前と後、処置の前後、そして家を出るときです。頭では分かっていても、荷物を持ちながら玄関を出ると飛びます。

    私は、玄関を出て自分の車に触る前に必ず消毒する、と決めました。車のドアノブは、次の家まで持っていく場所だからです。

    訪問の順番を見直す

    発熱している方、感染が疑われる方は、その日の最後に回す。これは基本ですが、スケジュールが埋まっている日ほど守れません。

    朝のうちに、今日どこかで順番を入れ替える可能性があるかを考えておくと、実際に連絡が入ったときに動けます。事業所で「順番を変えるときは誰に相談するか」を決めておくと、一人で悩まずに済みます。

    車の中を分ける

    自分の車が事務所と訪問先の間にある、と考えてみてください。

    使った物と使っていない物を同じ場所に置いていると、境目がなくなります。私は助手席を清潔なもの、後部座席を使用後のもの、と決めています。完璧ではありませんが、決めておくと迷いません。

    持ち込む物を減らす

    家に入れる物が少ないほど、管理は楽になります。必要な物だけを玄関で出して、バッグごと持ち込まない。この一手間で、バッグの底が訪問先の床に触れる回数が減ります。

    ワクチンの時期を前倒しで考える

    一般に、インフルエンザワクチンは効果が出るまでに2週間ほどかかると言われています。流行がすでに始まっている以上、例年どおり11月に打つのでは間に合わない時期に入ります。

    職員の接種をいつ始めるか、費用を事業所が負担するかは、事業所ごとの判断です。ただ、今年は決めるタイミングが早くなります。管理者に確認してみてください。利用者さんの接種についても、主治医やご家族と話す時期が前倒しになります。

    家族に、どう伝えるか

    利用者さんの家族は、感染対策の相手ではなく、一緒にやる人です。

    伝えるときに気をつけているのは、禁止の形にしないことです。面会に来ないでください、と言うと、家族は関われなくなります。そうではなく、こういうときは知らせてほしい、という形にします。

    ご家族の誰かが熱を出したら教えてください。デイサービスで休んでいる人がいるみたいだと聞いたら教えてください。そうやって情報が入ってくる関係を作っておくと、訪問する前に分かります。

    当メディアで残薬の確認を扱ったときにも書きましたが、家族から情報が入るかどうかは、普段の関わり方で決まります。

    自分が体調を崩したとき

    これがいちばん難しいところです。

    訪問看護は人数が少ない職場です。当メディアの記事で見た数字では、1事業所あたりの看護職員は平均5.8人。一人休めば、その日の訪問を誰かが引き受けることになります。だから、多少の不調なら出てしまう。私もそうでした。

    でも、訪問看護師が感染した状態で回るのは、病棟で働くより影響が大きいです。その日に入った家すべてが対象になります。

    学校には出席停止の基準がありますが、働く人にはそういう一律の決まりがありません。だからこそ、事業所で決めておく必要があります。熱が何度以上なら休むのか。誰に連絡するのか。その日の訪問をどう振り分けるのか。

    体調が悪いときに自分で判断するのは難しいです。事前に決まっていれば、決まりに従うだけになります。休みやすさは、その人の性格ではなく、事業所の準備で決まると思っています。

    研修の題材にする

    事業所には感染症のBCP、つまり業務継続計画があるはずです。当メディアでBCP研修を扱った記事では、45分で回せる研修の型を紹介していました。

    今年の早い流行入りは、そのまま研修の題材になります。もし来週、職員の3人が同時に休んだら、その日の訪問をどうするか。誰の訪問を優先し、誰に電話対応へ切り替えてもらうか。

    答えを出す必要はありません。話し合って、決まっていないことが見つかれば、それだけで研修の成果です。

    暑いうちに、始めておく

    感染対策は、流行してから始めると間に合いません。手袋や消毒液の在庫を確認する。訪問の順番を変えるときの連絡先を決める。ワクチンの時期を管理者と話す。どれも今日できます。

    去年より5週間早いということは、準備の時間が5週間短いということです。まだ半袖で訪問している時期に、こういう話をするのは気が早く感じるかもしれません。

    でも、いつもと違う年です。私は先週、事業所の消毒液の残りを数えました。思っていたより少なくて、発注をお願いしました。そのくらいのことから始めていいのだと思います。

    #訪問看護#感染対策#インフルエンザ#手指衛生#ワクチン#訪問順#BCP#臨床
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    執筆者

    未希

    看護師・編集長

    大学病院 手術室 10年(麻酔科・外科 幅広い手術を担当)

    大学病院の手術室で10年、多岐にわたる外科手術に携わる。手術看護認定看護師として後進指導にもあたった後、現在は訪問看護の現場でキャリアチェンジ中。急性期と在宅の両視点から、看護師に寄り添う情報発信を行っています。

    保有資格: 看護師免許 / 手術看護認定看護師 / 医療安全管理者 / BLSプロバイダー

    ※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています

    2026年9月2日