看護
看護師の夜勤手当、三交代と二交代で金銭差はどれだけ出るか
(更新: )·約6分で読めます
Summary
看護師の夜勤体制には三交代制と二交代制があり、夜勤1回あたりの手当も大きく異なります。月8回の夜勤を基準に、三交代と二交代でどれだけ年収に差が出るのか、体力的負担や生活リズムの違いも含めて比較しました。夜勤体制の違いで転職を検討中の方の参考になる情報をまとめています。
看護師の夜勤体制は、大きく分けて三交代制と二交代制の2種類があります。同じ「月8回の夜勤」でも、体制によって手取り収入や体力的負担は大きく変わります。日本看護協会の調査では、二交代制を採用する病院が年々増えており、2024年時点で約7割の病院が二交代制を採用または併用しています。夜勤体制を意識した転職や働き方の選択肢を、具体的な数字で整理します。
三交代制と二交代制の基本構造
三交代制
1日を3つのシフトに分ける勤務体制です。
- 日勤: 8時30分〜17時(8時間)
- 準夜勤: 16時30分〜翌1時(8時間)
- 深夜勤: 0時30分〜9時(8時間)
各シフトの引き継ぎ時間に30分程度の重複を設ける構造です。1回の勤務時間が短いため、夜勤の身体的負担は比較的軽い反面、生活リズムが不規則になりやすい特徴があります。
二交代制
1日を2つのシフトに分ける勤務体制です。
- 日勤: 8時30分〜17時30分(9時間)
- 夜勤: 16時30分〜翌9時30分(16〜17時間、休憩2時間含む)
夜勤1回が長時間になりますが、勤務日数が減るため連休が取りやすい構造になります。近年は二交代制への移行が進んでいます。
夜勤手当の相場
夜勤手当の金額は、勤務体制と病院の規模によって大きく異なります。
三交代制の夜勤手当
- 準夜勤: 1回あたり4,000〜6,000円
- 深夜勤: 1回あたり6,000〜8,000円
三交代制では準夜と深夜で金額が異なり、深夜勤のほうが高く設定されています。月に準夜4回・深夜4回を担当した場合、夜勤手当の合計は4万〜5万6,000円が相場です。
二交代制の夜勤手当
- 夜勤(16時間): 1回あたり10,000〜15,000円
- 大学病院・大規模病院: 1回あたり12,000〜18,000円
二交代制は1回あたりの金額が大きく、月8回の夜勤で8万〜12万円の手当となります。
月8回夜勤での収入比較
同じ「月8回の夜勤」を基準に、年収ベースで比較します。
三交代制(準夜4回・深夜4回)
- 基本給: 約24万円
- 夜勤手当: 約4万8,000円
- 月収合計: 約28万8,000円
- 年収目安: 約430万円(賞与含む)
二交代制(月8回・1回12,000円)
- 基本給: 約25万円
- 夜勤手当: 約9万6,000円
月収合計: 約34万6,000円年収目安: 約490万円(賞与含む)同じ夜勤回数でも、二交代制のほうが年収で約60万円高くなる計算です。これは1回あたりの夜勤手当が大きく異なるためです。
夜勤専従という選択肢
さらに収入を増やしたい方には、夜勤専従という働き方があります。日勤を行わず、夜勤のみを担当する勤務形態です。
夜勤専従の収入水準
- 二交代制夜勤専従(月10〜12回): 月収40万〜55万円
- 年収目安: 500万〜650万円
夜勤専従は通常の常勤看護師より年収が80万〜100万円高くなります。日中の時間を自由に使えるため、副業や育児、介護との両立を図る方に選ばれています。
夜勤専従のメリット
- 高収入を短時間労働で得られる
- 日勤帯の業務負担がない
- 月の出勤日数が10〜12日と少ない
- 通勤時間の総計が減る
夜勤専従のデメリット
- 体内リズムが大きく崩れる
- 日勤スタッフとの情報共有が限定的
- 加齢とともに身体への負担が増す
- 病院によっては夜勤専従の求人が少ない
夜勤専従は20代〜30代の体力がある時期に選ばれることが多く、40代以降は徐々に日勤と組み合わせる方が増えます。
体力的負担の違い
収入面だけでなく、体力的な負担も考慮すべき要素です。
三交代制の負担
短時間勤務のため1回あたりの疲労は比較的軽いものの、シフトの切り替えが頻繁なため、生活リズムの調整が難しいという特徴があります。
特に「準夜勤の翌日に深夜勤」のような連続シフトは、睡眠時間が分断され、慢性的な疲労につながりやすいです。
二交代制の負担
1回の勤務が16時間と長いため、終わった後の疲労感は大きくなります。一方で、夜勤明けからの48時間休みが確保されることが多く、回復時間が取りやすいというメリットがあります。
ただし、夜勤中の集中力維持が課題となります。深夜帯に急変対応や緊急入院が重なると、判断力の低下が懸念されます。
夜勤体制の転換が進む背景
近年、二交代制を採用する病院が増えている背景には以下の要因があります。
1. 看護師の人材確保
夜勤回数を減らせる二交代制のほうが、看護師から好まれる傾向にあります。求人での採用競争上、二交代制の導入が有利になっています。
2. 生活との両立しやすさ
連休が取りやすい二交代制は、子育て中の看護師や副業を持つ看護師に適しています。
3. 業務効率化
夜勤回数が減ることで、シフト管理の負担も軽減されます。看護師長の業務負担軽減にもつながっています。
4. 国際的な潮流
欧米では二交代制が主流であり、日本も国際標準に近づいている流れがあります。
夜勤体制で転職を考えるなら
夜勤体制を理由に転職を検討する場合、以下のポイントを確認しましょう。
確認すべき項目
1. 1回あたりの夜勤手当
求人票に明記されていることが多いですが、明記されていない場合は面接で必ず確認します。
2. 月の夜勤回数の上限
「月8回以内」と就業規則で定められているか確認。実際にはこれを超えるシフトが組まれている病院もあります。
3. 夜勤明けの休日確保
夜勤明けが休日扱いか勤務扱いかは病院によって異なります。明けが勤務扱いだと、実質的な労働時間が長くなります。
4. 仮眠時間の確保
夜勤中の仮眠が制度として確保されているか。仮眠室の設備状況も重要です。
5. 夜勤専従の可否
将来的に夜勤専従への転換を希望する場合、その可能性があるか事前に確認します。
夜勤回数を増やすかどうかの判断
夜勤を増やせば収入は上がりますが、健康リスクも高まります。判断の目安として以下を考えてみてください。
増やしてもよい場合
- 体力に自信があり、20〜30代である
- 短期的に集中して貯蓄したい目標がある(住宅購入、留学等)
- 日中の時間を有効に使える環境にある
慎重になるべき場合
- 慢性的な疲労を感じている
- 40代以降で体力の衰えを感じる
- 子育てや介護で日中の負担も大きい
- 過去に夜勤明けの体調不良が頻発した経験がある
無理な夜勤回数で体調を崩し、長期離脱になっては元も子もありません。自分の体力と相談しながら、適正な夜勤回数を見極めることが大切です。
まとめ
三交代制と二交代制では、同じ夜勤回数でも年収で60万円以上の差が生まれます。夜勤専従を選べばさらに高収入を目指せますが、体力的な負担も大きくなります。
どちらの体制が自分に合うかは、収入、体力、生活スタイル、家族の状況など複数の要素から判断する必要があります。転職を考える際は、夜勤手当の金額だけでなく、回数、明けの扱い、仮眠環境まで含めて検討することをおすすめします。
夜勤は看護師の重要な収入源であると同時に、健康リスクを伴う働き方でもあります。自分のキャリアと健康のバランスを考えながら、最適な選択をしていきましょう。
執筆者
HokanPress編集部
医療・看護・介護の多職種チーム
訪問看護・在宅医療の現場に携わる多職種チーム
HokanPress編集部は、訪問看護・在宅医療の現場に実際に携わる多職種チームで構成されています。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属。それぞれの専門分野で培った臨床経験と専門知識をもとに、医療・看護・介護従事者の実務に役立つ情報を発信しています。記事は必ず該当分野の有資格者が執筆または監修し、公的統計データや学会発表・厚生労働省の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいて作成しています。
保有資格: 看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 医療ソーシャルワーカー / 管理栄養士 / 介護支援専門員
※本記事は公的統計データをもとに看護師資格保有者が執筆しています