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有料老人ホームの「登録制」は、併設訪問看護の事業モデルを三方向から囲む——難病・医療ニーズ対応のホームは大半が対象、施行は2028年6月まで|包括型療養費・紹介禁止の次に来た住宅側の規制

宮木 · 2026年9月4日
2026年6月に成立した改正社会福祉法等で、中重度の要介護者や医療ニーズを持つ人を受け入れる有料老人ホームは届出制から登録制へ移る。7月29日の厚労省検討会は、難病や複合的ニーズを持つ人を対象とするホームも登録の対象とし、既存ホームの大半が該当するとの考えを示した。ホスピス型住宅に訪問看護を併設する事業モデルは、2026年度改定の包括型療養費、有料紹介の禁止に続き、住宅側からも規制を受けることになる。経営者が確認すべき点を整理する。

有料老人ホームは、これまで都道府県への届出だけで開設できた。2026年6月19日に成立した改正社会福祉法等は、その前提を変える。中重度の要介護者らを入居させるホームには、基準を満たして登録しなければ運営を認めない仕組みが導入される。

住宅型有料老人ホームに訪問看護を併設し、末期がんや難病の入居者に医療保険で訪問を重ねる。いわゆるホスピス型住宅の事業モデルは、この数年で急速に広がった。当メディアはその構造と問題を追ってきたが、2026年に入って規制の側が動きを速めている。

6月の診療報酬改定で包括型訪問看護療養費が新設され、同時に有料紹介が禁止された。そして今回の登録制は、住宅そのものの側から入ってくる。三方向から囲まれた事業モデルが、どこまで立つのか。7月29日の厚生労働省検討会で示された内容をもとに確認する。

「医療ニーズのある人を受け入れるホーム」も対象

登録制の対象範囲について、検討会で厚労省が示した案は三つの類型からなる。

中重度の要介護者が入居するホーム。現に中重度の入居者がいなくても、中重度になっても住み続けられるホーム。そして、中重度ではない要介護者であっても、一定の認知症や医療ニーズを持ち、中重度に類すると考えられる人、具体的には複合的ニーズを持つ人や難病の人を入居対象とするホーム。

三つ目が、ホスピス型住宅に該当する。末期がんや神経難病の入居者は、要介護度の判定上は必ずしも中重度に分類されない。しかし医療ニーズは高い。厚労省はそこを見越して、要介護度ではなく「医療ニーズ」を基準に対象へ取り込んだ。

この考え方で線を引けば、既存のホームの大半が登録制の対象になる。厚労省自身がそう説明している。ホスピス型住宅を運営する事業者に、対象外という選択肢はほぼない。

登録できなければ、中重度者を受け入れられない

登録制の意味を、経営の言葉で言い換える。

基準を満たさないホームは登録されず、中重度の高齢者等を受け入れて運営することができなくなる。これが厚労省の整理だ。届出制のもとでは、基準を満たさなくても行政指導にとどまった。登録制では、運営そのものが認められない。

施行は改正法の公布日である2026年6月25日から2年以内の政令で定める日、つまり遅くとも2028年6月までとされている。既存のホームには施行後1年6か月の経過措置がある。時間はあるように見えるが、基準が決まってから体制を整えるには十分とは言えない。

当メディアで高齢者住宅に併設した訪問看護の経営を分析した際、住宅の入居率が訪問看護の売上を直接決める構造を指摘した。登録制はその入居率の前提となる住宅の存続に関わる。訪問看護ステーション単体の指定とは別に、住宅側の登録が必要になるという二重の要件が生まれる。

基準は「厳格にしない」方向だが、夜間対応が焦点

では、登録の基準はどこまで厳しくなるのか。

7月29日の検討会では、ほとんどの構成員が厳格な基準に反対した。看護師を入居者何名につき1名といった配置基準を設ければ入居者の安全は高まるが、登録できるホームが限られ、高齢者が住まいを探せなくなる。人員も設備もコストがかかり、入居者の負担増に直結する。人手不足のなかで厳しい基準は非現実的だ。こうした理由から、現行の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」の範囲内を基本とすべきという意見が大勢を占めた。

ただし一つ、注意すべき論点が残っている。中重度者が集住するホームの特性から、夜間の緊急時に対応できる人員配置の基準が必要だという声が、自治体側から出ている。ホーム側は人員配置に拘泥せず緊急通報システムや外部機関との連携で柔軟に対応すべきだと反論しているが、決着はついていない。

ホスピス型住宅では、夜間の対応を併設の訪問看護が担うことが多い。当メディアで包括型訪問看護療養費を解説した際、その施設基準に夜間帯の看護職員を常時1名以上配置する要件が含まれていることを書いた。住宅側の登録基準に夜間対応の人員が入れば、訪問看護側の配置と二重に求められるのか、一体として評価されるのか。この整理は、事業所の人件費に直結する。次回の検討会で厚労省が基準案を示す予定であり、ここは追い続ける必要がある。

かかりつけ医とケアマネの変更を、入居要件にできない

登録制と並んで、検討会で明確にされつつある点がある。

かかりつけ医の変更やケアマネジャーの変更をホームの入居要件とすることは許されない。抜け道が生じないよう国が具体的な考え方を示すべきだと、日本医師会の江澤構成員と日本介護支援専門員協会の濵田構成員が求めた。

この論点は訪問看護にも及ぶ。入居時に併設ステーションの利用を条件にする、あるいは他のステーションを使うと入居を断る。そうした運用は、囲い込みの典型として登録制の下で認められなくなる方向にある。

当メディアで6月に報じた有料紹介の禁止は、紹介業者に金銭を払って入居者を集める入口の規制だった。今回は入居後の出口、つまり入居者がどの医師・ケアマネ・訪問看護を選ぶかの自由を守る規制である。入口と出口の両方が塞がれれば、併設だから利用者が自動的についてくるという前提は成り立たない。

経営状況が、登録の審査対象になる

もう一つ、見落とされやすい点がある。

自治体が登録情報をチェックする際、経営状況に重点を置くべきだという意見が東洋大学の高野構成員から出た。背景には、給与未払いで職員が一斉退職し、入居者が転居を迫られた事例がある。住まいを失う入居者を出さないために、運営法人の財務が審査される。

訪問看護ステーションは、指定の際に財務状況を審査されることはない。だが住宅を併設する法人は、住宅側の登録で経営状況を見られることになる。当メディアで訪問看護のM&Aと再編を扱った際、住宅併設型の事業者に投資が集まる構図を書いたが、登録制の下では投資の回収を急ぐあまり財務が悪化した法人は、登録の更新で問題を抱える可能性がある。

情報公表も進む。検討会では、登録情報を介護サービス情報公表システムなどで分かりやすく公表し、申請から審査、公表までをワンストップで完了する仕組みが求められている。ホームの人員、設備、費用、入居者の状況が比較可能な形で公開される。訪問看護を併設する住宅であれば、その体制も公表対象になるとみておくべきだ。

ケアプランの利用者負担が、介護保険側に入る

改正法は登録制と同時に、登録ホームの入居者に対する相談支援として「登録施設介護支援」を新設し、利用者負担を求めることを決めた。ケアプランの有料化は登録ホームの入居者に限って先行する。

ホスピス型住宅の入居者は医療保険の訪問看護が中心であり、介護保険のケアプランの影響は相対的に小さい。しかし対象範囲の三類型には認知症や複合的ニーズを持つ人が含まれる。介護保険の訪問看護を受ける入居者にとっては、ケアマネジメントの負担が新たに生じる。具体的な内容は介護給付費分科会で検討されるため、2027年度改定の議論と重なる。

三方向からの規制を、どう受け止めるか

整理する。

報酬の側では、包括型訪問看護療養費が併設・隣接のステーションを1日単位の包括評価に移し、出来高で訪問を重ねる収益構造を変えた。運営基準の側では、有料紹介の禁止が入居者を集める手段を断った。そして住宅の側では、登録制が運営そのものに事前審査を課し、入居者の選択の自由を守り、経営状況を審査し、体制を公表する。

いずれも単独では致命的ではない。だが三つが重なれば、住宅型有料老人ホームに訪問看護を併設し、紹介で入居者を集め、併設ステーションで訪問を重ねるというモデルの前提が、一つずつ外れていく。

厚労省は登録制の基準を秋にまとめ、介護保険部会への報告を経て年内に法令を整備する方針だ。基準案は次回の検討会で示される。併設型の事業者が今すべきことは、基準案を待ってから動くことではない。入居要件の見直し、財務の点検、夜間対応の体制の文書化。登録制が求めるであろう項目は、すでに輪郭が見えている。

住宅型ホームに訪問看護を併設する事業は、制度に認められた形で続いていく。ただし、届出だけで始められた時代は終わる。

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