HokanPress

訪問看護専門メディア

ログイン無料登録
TOP看護訪問看護医療制度医療一般編集部
キャリア診断給与診断求人
ニュースレター

最新情報をお届けします

医療・看護の最新ニュースをお届け。登録は無料です。

登録すると確認メールが届きます。いつでも配信解除できます。

HokanPress

訪問看護師・経営者のための専門情報メディア。経営・現場・制度の実践情報を発信します。

カテゴリ

  • 看護
  • 訪問看護
  • 医療制度
  • 医療一般
  • 編集部
  • キャリア診断
  • 給与診断

サイト情報

  • サイトについて
  • お問い合わせ
  • 広告掲載

法的情報

  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

© 2026 HokanPress. All rights reserved.

TwitterFacebookRSS
HokanPress

オンライン診療、2026年4月から医療法に位置づけ 何が変わるか

宮木 · 2026年4月26日
2026年4月、オンライン診療が医療法上の位置づけを正式に得る。これまで通知レベルで運用されてきたオンライン診療が法的根拠を持つことで、医療提供体制の選択肢として恒久化される。訪問看護との連携、対象疾患の拡大、地域医療への影響を、現場経営者の視点で整理する。

2026年4月、オンライン診療が医療法に位置づけられる改正が施行される。これまでオンライン診療は厚生労働省の指針(通知)に基づいて運用されてきたが、ようやく法的な裏付けを得る形となる。コロナ禍で一時的に拡大した運用が恒久化され、日本の医療提供体制における正式な選択肢として確立される。訪問看護との連携を含め、現場にどのような変化をもたらすかを整理する。

オンライン診療が医療法に位置づけられる意味

これまでオンライン診療は、厚生労働省が発出する「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づいて運用されてきた。指針は通知レベルの取り扱いで、法的拘束力は限定的だった。

医療法に位置づけられることで、以下の変化が生まれる。

法的安定性の確保

医療機関がオンライン診療を提供する際の法的根拠が明確になる。これまで「通知に従って」運用していた状況から、「法律に基づく医療提供」へと格上げされる。事業継続性の観点で大きな前進だ。

医療提供体制の選択肢として恒久化

対面診療と並ぶ正式な医療提供方法として認められる。地域医療計画にもオンライン診療の活用が組み込まれることになる。

質の確保のための法的規制

法律に位置づけられる以上、適切な運用を担保するための規制も法的根拠を持つ。不適切なオンライン診療(医学的妥当性に乏しい処方等)に対する取り締まりが強化される。

主な変更点

2026年4月施行の改正で、現場に直接影響する変更点を整理する。

1. オンライン診療の対象疾患の拡大

これまで初診からのオンライン診療は限定的な範囲でしか認められていなかった。改正後は、医師の判断によりオンライン診療で対応可能な疾患の範囲が拡大される。

初診から可能となる主な領域:

  • 急性疾患のうち、医学的判断で対面診療が不要とされるもの
  • 慢性疾患の症状増悪時の判断
  • 専門医による意見聴取(セカンドオピニオン)
  • 在宅医療における定期的な経過観察

ただし、医師の裁量で「対面診療が必要」と判断された場合は対面に切り替える義務が課される。

2. オンライン服薬指導との連携

オンライン診療で発行された処方箋について、薬剤師によるオンライン服薬指導を受ける流れが標準化される。電子処方箋の普及と合わせて、診療から服薬まで完全オンラインで完結する体制が整う。

患者の利便性は大幅に向上するが、医薬品の適正使用確保が新たな課題となる。

3. 在宅医療との統合

在宅医療を受ける患者に対するオンライン診療が、訪問診療の補完として正式に位置づけられる。

想定される運用:

  • 月2回の訪問診療のうち、1回をオンライン診療で代替
  • 急変時の初期対応をオンライン診療で実施し、必要に応じて訪問
  • 専門医による遠隔コンサルテーション

訪問診療を行う在宅医療機関にとって、業務負担の軽減と対応範囲の拡大を同時に実現する手段となる。

4. 訪問看護との連携要件

訪問看護師が利用者宅でタブレット等を用いて医師のオンライン診療をサポートする運用が、明確に規定される。

ケースA: 看護師が機器操作と医療情報提供を担当 看護師が訪問先でバイタルサインを測定し、その情報を医師に伝えながらオンライン診療が行われる。医師は画面越しに患者の様子を確認しつつ、看護師から詳細情報を得る。

ケースB: D to P with N(医師対患者+看護師) 法律上、看護師の関与によってオンライン診療の質が担保される構造が認められる。看護師が同席することで、初診からのオンライン診療や、判断が難しい症状への対応が可能になる。

訪問看護ステーションへの影響

訪問看護ステーション経営者として、特に注視すべき影響を整理する。

業務範囲の拡大可能性

医師のオンライン診療をサポートする訪問看護師の役割が、今後の業務拡大の柱になる可能性がある。診療報酬上の加算も検討されており、新たな収益源となり得る。

ICT機器投資の必要性

訪問看護師がオンライン診療をサポートするには、安定した通信環境とビデオ通話可能な端末が必須となる。タブレット、4G/5G通信、ノイズキャンセリング機能など、機器投資が必要だ。

機器更新のサイクルを考えると、年間1人あたり10万〜15万円の通信機器予算を見込む必要がある。

看護師教育の必要性

オンライン診療をサポートする看護師には、新たなスキルが求められる。

  • 医師に正確な情報を簡潔に伝える能力
  • ビデオ通話画面で見える範囲を意識した患者情報共有
  • ICT機器のトラブル対応
  • 患者・家族への機器操作説明

これらのスキルを既存スタッフに習得させる研修体制が必要になる。

在宅医療機関との連携強化

オンライン診療の活用が広がることで、訪問診療を行うクリニックとの連携がより重要になる。連携が密な医療機関を持つ訪問看護ステーションは、地域での存在感が高まる。

患者への影響

医療を受ける側にも大きな変化が生まれる。

通院負担の軽減

慢性疾患で定期通院していた患者が、症状が安定している期間はオンライン診療で対応可能になる。高齢者や働き盛りの世代にとって、通院に費やしていた時間が大幅に削減される。

専門医アクセスの改善

地方在住者や離島居住者が、都市部の専門医にオンラインで相談できる機会が広がる。これまで地理的制約で受けられなかった専門的医療が身近になる。

在宅医療の質向上

訪問診療と訪問看護に加えて、必要に応じてオンライン診療が利用できるようになる。在宅で受けられる医療の選択肢が増える。

予想される課題

恒久化に向けた制度整備が進む一方で、課題も指摘されている。

1. 医療の質の担保

オンライン診療では対面診療より得られる情報が限られる。診断精度の維持、医療事故防止のための運用ガイドラインが継続的に見直される必要がある。

2. 高齢者のデジタルデバイド

スマートフォンやタブレットの操作に不慣れな高齢者にとって、オンライン診療は依然として高いハードルとなる。家族や訪問看護師のサポートが前提となる。

3. 過剰なオンライン診療提供

不適切な運用(短時間で多数の患者を診察する等)を行う医療機関への規制をどう実効的にするか。法的位置づけがあっても、運用面の課題は残る。

4. 個人情報保護

ビデオ通話による診療では、医療情報の暗号化、画面・音声の記録管理、第三者への漏洩防止が極めて重要となる。

経営者として準備すべきこと

訪問看護ステーション経営者の視点で、2026年4月施行に向けて準備すべき項目を整理する。

ハード面の準備

  • スタッフ全員にタブレット支給、または個人スマートフォンへの業務アプリ導入
  • ビデオ通話に耐える通信環境の確保
  • 訪問先で使用する周辺機器(イヤホン、外部マイク等)
  • 機器盗難・紛失への対策

ソフト面の準備

  • スタッフ研修(ICT機器操作、オンライン診療サポート手順)
  • 連携医療機関との運用ルールすり合わせ
  • 個人情報保護規程の見直し
  • インシデント発生時の対応マニュアル

営業活動

  • 連携先の在宅医療機関にオンライン診療サポート体制をアピール
  • ケアマネジャーへの説明と利用者紹介依頼
  • 自ステーションの新たな付加価値として周知

これらの準備を1年かけて段階的に進めれば、2026年4月の施行時にスムーズに対応できる。

まとめ

2026年4月のオンライン診療の医療法位置づけは、日本の医療提供体制における大きな転換点だ。コロナ禍で急速に普及した運用が、ようやく法的根拠を持って恒久化される。

訪問看護にとっては、業務範囲の拡大、新たな収益機会、地域医療における存在感の向上といった追い風となる。一方で、ICT投資、スタッフ教育、連携医療機関との関係構築といった準備が必要だ。

施行までの1年間を、変化への準備期間として有効に活用したい。先行して対応するステーションは、地域医療における中核的な存在となるチャンスを得られる。

HokanPress — 訪問看護の今がわかるメディア