「看護師は白衣の天使じゃない」——2025年4月25日放送のテレビ東京「ガイアの夜明け」で、ある看護師がそう語る場面がありました。全国1000以上の病院で行われたストライキと、1年で30人が辞めていく大阪・西淀病院の現場に密着したドキュメンタリーです。番組を拝見して、私自身も現場で感じてきたことがそのまま映っているようで、胸が苦しくなりました。
厚生労働省の推計によると、2025年には最大27万人の看護師が足りなくなるとされています。全国の看護職は約173万人ですから、その15パーセント以上が足りない計算になりますね。数字だけ聞くと抽象的かもしれませんが、現場では「1人で14〜15人の患者さんを担当する」という形で、私たちのところに降りてきてしまっているのです。
番組で取材されていた看護主任の弥永さん。2歳のお子さんを持ちながら、シフト作りに頭を悩ませる姿に、同じ世代の看護師として本当に共感しました。「夜勤は月8回以内」というルールがありながら、9回以上になってしまう看護師が増えているとのこと。この状況、どの病院でも起きているのではないでしょうか。
一番印象的だったのは、コロナ患者対応で50床を総入れ替えする最中、保育園のお迎え時間が迫る弥永さんの表情でした。母親としての時間と、看護師としての責任。その板挟みを、多くの方が毎日経験しているはずです。
2024年の賃金改定額は、全産業平均で約1万2000円アップ。一方で医療・福祉分野は約6800円と、ほぼ半分です。
日本医療労働組合連合会の方が番組で語っていた「今の日本の医療は、看護師や介護職員のやりがいや責任感に支えられている」という言葉。聞いていてとても重かったです。やりがいは大切な原動力ですが、それだけで支えるには限界がありますよね。
私は、辞めることも続けることも、どちらも尊い選択だと思っています。番組では石川県七尾市の看護学校で、国家試験に向けて勉強する学生さんたちの姿も映されていました。震災で校舎が被災しながらも、看護師を目指す若い方々がいる。その希望は確かに続いているんです。
ただ、希望だけでは変わらないこともあります。声を上げたストライキの看護師さん、現場で踏ん張る弥永さんのような方、そして新しく仲間入りする学生さん。この3つの層が揃って初めて、医療は守られるのではないでしょうか。
27万人不足は、遠い未来の話ではなく今起きている現実です。でも、絶望するだけでは何も変わりません。私たち一人ひとりが自分のペースで、時に声を上げ、時に休み、時に前を向く。その積み重ねが、次の世代に医療をつなぐ道だと信じています。