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【2026年診療報酬改定】訪問看護に関わる主要変更点まとめ

宮木 · 2026年4月26日
2026年6月施行の診療報酬改定で、訪問看護に関わる主要な変更点を整理する。本体改定率2.41パーセントの上昇、ベースアップ評価料の継続、包括型訪問看護療養費の新設、ICT・DX推進加算など、現場と経営に直接影響する変更を訪問看護ステーション経営者の視点で解説する。

2026年6月、2年ぶりとなる診療報酬改定が施行される。本体改定率はプラス2.41パーセントで、医療職員の処遇改善とDX推進を主軸とした改定だ。訪問看護分野においても多くの変更が含まれており、現場の運用と経営判断に直接影響する。本記事では、訪問看護に関わる主要変更点を整理し、現場が押さえるべきポイントを解説する。

改定の全体像

2026年改定の基本方針は以下の3点に集約される。

1. 医療従事者の処遇改善 ベースアップ評価料の継続と拡充により、看護師を含む医療従事者の賃金水準を底上げする。

2. 医療DXの推進 電子処方箋、オンライン資格確認、医療情報共有の標準化を加速させる。

3. 持続可能な医療提供体制の構築 不適切な医療提供への規制を強化し、適正な医療資源配分を実現する。

訪問看護はこの3つの方針すべてに関わる分野であり、改定の影響を強く受ける。

変更点1: ベースアップ評価料の継続と拡充

医療従事者の賃上げを目的とする「看護職員処遇改善評価料」が、訪問看護ステーションでも継続される。

訪問看護ベースアップ評価料

訪問看護ベースアップ評価料(I)

  • 算定対象: 通常の訪問看護ステーション
  • 評価額: 月額利用者数に応じて加算
  • 看護職員1人あたりの賃上げ目標: 月額1万2,000円以上

訪問看護ベースアップ評価料(II)

  • 算定対象: ベースアップ(I)では不十分なステーション
  • 評価額: 個別申請に基づく加算
  • 申請には実際の賃金引上げ計画と実績の提出が必要

経営への影響

評価料を算定するには、看護職員の基本給または毎月支払われる手当の引上げが必要となる。一時金やボーナスの引上げでは要件を満たさない点に注意が必要だ。

実際の運用では、評価料収入のうち看護職員賃金引上げに充当する割合の記録、毎年度の賃金水準報告が義務付けられる。事務負担は増えるが、経営者として避けて通れない対応となる。

変更点2: 包括型訪問看護療養費の新設

最大の構造改革と言えるのが、包括型訪問看護療養費の新設だ。

制度の概要

有料老人ホームやホスピス型施設に併設・隣接する訪問看護ステーションを対象に、1日単位の包括評価が導入される。従来の1回ごとの算定方式から大きく変わる。

算定要件:

  • 24時間対応体制が整備されていること
  • 計画的・随時の頻回訪問が必要な利用者であること
  • 特別訪問看護指示書の対象者または別表7・別表8該当者
  • 単一建物居住者数に応じた点数設定

点数の考え方: 居住者数20人以上50人未満で、訪問看護時間30分以上60分未満の場合、1日あたり6,310円が算定される。訪問時間が長くなるほど点数は上昇する。

経営者が判断すべきこと

併設・隣接型のステーションでは、従来方式と包括型のどちらが収益的に有利か試算が必要となる。利用者の医療依存度や訪問頻度、看護師の配置体制によって最適解は変わる。

不適切な短時間訪問の繰り返しによる収益確保は不可能になるため、サービスの質を高めて単価向上を図る経営方針への転換が求められる。

変更点3: 精神科訪問看護の算定要件厳格化

精神科訪問看護に対する規制が大幅に強化される。

主な変更点

複数回訪問の要件厳格化

  • 1日複数回の訪問は、医学的必要性を客観的に示す記録が必須
  • 単に利用者・家族の希望のみでは複数回算定は認められない

長期利用者への定期見直し

  • 6か月以上の継続利用者については、訪問計画の妥当性を半年ごとに再評価
  • 漫然とした長期訪問の継続が困難になる

特掲診療料の届出強化

  • 精神科訪問看護を実施するステーションは、より詳細な届出が必要
  • 自治体の実地指導の対象となりやすくなる

背景にある問題意識

2024年に発覚した大手訪問看護ステーションチェーンによる総額数十億円規模の不正請求事件が、規制強化の直接的な引き金となった。医学的必要性に乏しい長期高頻度訪問を続けて高額請求する事業所への対策である。

適正に運用してきたステーションにとっては、記録業務の手間が増えるが、業界全体の信頼性回復につながる改定として受け止められている。

変更点4: ICT・DX推進加算

医療DXの推進に関わる加算が新設・拡充される。

訪問看護医療DX情報活用加算

訪問看護ステーションが以下の要件を満たした場合に算定可能となる。

算定要件:

  • 電子カルテ情報共有サービスへの接続
  • マイナンバーカードによる資格確認の体制整備
  • 医療情報のデジタル取得・共有体制の構築

加算額: 月額数百円程度の上乗せ(具体的金額は告示で確定)

訪問看護管理療養費のICT要件

訪問看護管理療養費の算定要件にも、ICT活用の要件が組み込まれる。電子的な記録システムの導入、訪問先での情報入力環境の整備が求められる。

中小ステーションへの影響

機能強化型ステーションは既に体制が整っていることが多いが、看護師数5人未満の小規模ステーションでは、システム投資が経営負担となる可能性がある。クラウド型訪問看護記録システムの導入が、現実的な対応策となる。

変更点5: 24時間対応体制加算の見直し

24時間対応体制加算の算定要件が見直される。

主な変更点

  • オンコール担当者の負担軽減策を講じることが要件化
  • 複数のステーション間でのオンコール連携が一定の条件下で認められる
  • ICTを活用した遠隔相談体制の構築が評価される

経営者の対応

オンコール担当の偏りを解消するための運用見直しが必要となる。具体的には、オンコール手当の見直し、サブ担当制度の導入、ICT機器による負担軽減などが選択肢となる。

変更点6: ターミナルケア加算の拡充

在宅看取りを推進する観点から、ターミナルケア加算が拡充される。

主な変更点

  • 看取り期の定期的な訪問頻度が増える場合の加算額上昇
  • ご家族へのグリーフケアに対する評価の新設
  • 多職種連携による看取り体制への加算追加

在宅看取り強化の流れ

国は2030年までに在宅看取り率を25パーセント以上に引き上げる目標を掲げている。今回の改定はその政策方針に沿ったものだ。在宅看取りに対応できるステーションは、収益面でも有利になる。

変更点7: 機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し

機能強化型訪問看護ステーションの認定要件が見直される。

主な変更点

  • 看護職員の常勤換算数要件の引上げ
  • 24時間対応体制の整備要件の厳格化
  • 重症度の高い利用者への対応実績の評価強化
  • 地域連携実績(他事業所への助言、研修受け入れ等)の評価

経営戦略への影響

機能強化型を維持・新規取得するには、看護師の追加採用や研修体制の整備が必要となる。経営判断として、機能強化型への投資が見合うかどうかは、地域の利用者ニーズと競合状況による。

改定対応のための準備期間

施行は2026年6月だが、準備は今から始める必要がある。

推奨スケジュール

2025年12月〜2026年2月

  • 改定内容の詳細確認
  • 自ステーションへの影響試算
  • 必要な研修計画の立案

2026年3月〜5月

  • システム改修(ICT関連)
  • 記録様式の見直し
  • スタッフ研修の実施
  • 指定変更届の準備

2026年6月

  • 改定施行
  • 算定漏れがないかの確認
  • 運用上の課題抽出

2026年7月以降

  • 運用の安定化
  • 必要に応じた追加研修
  • 次回改定(2028年)への備え

経営者として押さえるべき3つの視点

最後に、経営判断のための重要な視点を3点挙げる。

1. 適正運用への移行

短時間訪問の繰り返しや早朝・深夜の意図的な算定など、グレーゾーンの運用に頼るステーションは経営継続が困難になる。サービスの質を高めて適正に算定する運営への転換が必須である。

2. ICT投資の必要性

DX推進の流れは止まらない。電子記録、オンライン会議、医療情報共有の各システムへの投資は、もはや経営の必須要件である。

3. 人材育成の重視

ベースアップ評価料は、賃上げの実績に応じて算定可能な仕組みだ。看護師の処遇改善と教育投資が、結果的に経営の安定につながる。

まとめ

2026年診療報酬改定は、訪問看護にとって大きな転換点となる改定だ。包括型療養費の新設、精神科訪問看護の規制強化、DX推進加算など、構造的な変化が含まれている。

適正に運用してきたステーションにとっては追い風となる改定だが、十分な準備なくしては変更点に対応しきれない。今のうちから情報収集と運用見直しを進めて、2026年6月の施行に備えていただきたい。

経営者にとっても現場スタッフにとっても、改定の本質を理解することが、これからの訪問看護を持続可能な形で続けるための第一歩となる。

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