訪問看護に関心を持つ看護師から最も多い質問のひとつが「オンコール当番は月何回あるのか」「手当はいくらか」という点だ。実際の運用は事業所ごとに大きく異なるが、業界の相場観と現場実態をここで整理する。
一般的な訪問看護ステーションでは、常勤看護師1人あたり月4〜8回のオンコール当番が割り振られる。スタッフ5人規模のステーションだと週2回、10人規模だと週1回が目安となる。
ただし、24時間対応体制加算を算定している事業所では、必ず誰かが待機している必要がある。スタッフが少ないと負担が特定の人に偏りやすく、月10回以上を担当せざるを得ないケースもある。
待機回数と実際の出動回数は大きく異なる。月6回の当番を担当した場合、実際に電話が鳴るのは平均2〜3回。そのうち実際に訪問することになるのは月1〜2回程度だ。
電話相談で対応できる内容も多い。家族からの「体温が38度ある」「呼吸がいつもと違う」といった問い合わせに対して、経過観察の指示や翌朝の訪問調整で済むことがほとんどである。
オンコール手当の金額は事業所によって差が大きい。待機1回あたりの相場は以下のとおり。
実際に出動した場合は、これとは別に訪問1回ごとの手当(3,000〜5,000円)が加算される仕組みが一般的だ。
月6回の待機と月2回の出動があった場合、月額で2万〜3万円の手当になる計算である。年間にすれば24万〜36万円の上乗せだ。
オンコールの本当の負担は、出動回数よりも「電話が鳴るかもしれない」という緊張感にある。担当日は飲酒を控え、家族との外出も制限される。睡眠の質も落ちる。
日本訪問看護財団の調査では、オンコール担当者の約7割が「精神的負担を感じる」と回答している。手当金額に見合っているかは、人それぞれの価値観次第だろう。
近年、複数事業所での当番シェアや、ICTを活用した遠隔相談体制を整えるステーションが増えている。当ステーションでも、主任以上がサブ待機を担当し、新人が単独で判断する場面を減らす工夫をしている。
オンコール体制の質は、訪問看護ステーションの経営力を測る指標のひとつだ。求職時には手当金額だけでなく、負担軽減策の有無まで確認することを勧めたい。