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認定看護師になるには|費用・期間・奨学金制度を経営者視点で徹底解説

宮木 · 2026年4月28日
認定看護師の資格を取得するには、6か月から1年間の教育課程と100万円から200万円の費用が必要となる。実際の取得プロセス、利用可能な奨学金制度、勤務先の支援制度、独立行政法人や日本看護協会の支援メニューまで、訪問看護ステーション経営者として認定看護師を採用・送り出してきた立場から、現実的な情報を整理する。

認定看護師は、特定分野で熟練した看護技術と知識を持つことを日本看護協会が認定する資格である。21分野が設定されており、現在約2万5,000人が登録している。資格取得には決して小さくない投資が必要だが、自身が経営する訪問看護ステーションでも複数の認定看護師を採用・送り出してきた経験から、現実的な取得プロセスと費用、活用すべき支援制度を整理したい。

認定看護師の取得要件

まず基本となる要件を確認する。

受験資格

  • 看護師免許取得後、通算5年以上の実務経験を有すること
  • そのうち通算3年以上は認定看護分野での実務経験
  • 認定看護師教育課程を修了していること

「実務経験5年」がハードルとなる。新卒から認定看護師を目指す場合、最短でも資格取得は28〜30歳前後となる計算だ。

認定看護師の21分野

2020年度から新たな21分野体系に移行している。需要が特に高いのは以下の分野だ。

  • 感染管理認定看護師
  • 緩和ケア認定看護師
  • 皮膚・排泄ケア認定看護師
  • 認知症看護認定看護師
  • 救急看護認定看護師
  • がん化学療法看護認定看護師
  • 集中ケア認定看護師

訪問看護現場で活躍しやすいのは、緩和ケア、皮膚・排泄ケア、認知症看護、感染管理の4分野である。

取得までの全体スケジュール

認定看護師教育課程を修了するまでの典型的なスケジュールは以下のとおりだ。

Step 1: 教育課程の選定(取得1年前〜)

全国に約30か所の教育機関がある。代表的な機関は以下のとおり。

  • 日本看護協会神戸研修センター
  • 日本看護協会看護研修学校(東京都清瀬市)
  • 各都道府県看護協会の認定看護師教育課程
  • 大学院併設の課程(聖路加国際大学、北里大学等)

希望分野の教育課程を行っている機関を確認し、入学要件・受講料・期間を比較する。

Step 2: 入学試験(取得6〜9か月前)

書類選考・小論文・面接が一般的。倍率は分野によって異なるが、人気分野で2〜3倍が標準だ。緩和ケアや皮膚・排泄ケアは特に倍率が高い。

入学試験の準備期間として、半年〜1年は必要となる。試験対策の予備校はないため、独学または所属病院の支援を受ける。

Step 3: 教育課程受講(6か月〜1年)

教育課程は2種類に分かれる。

A課程(2026年に終了予定)

  • 期間: 6か月以上(615時間以上)
  • 旧体系の課程

B課程(現在の主流)

  • 期間: 1年間(800時間以上)
  • 特定行為研修を含む(38行為のうち分野ごとに選定)
  • 修了後は特定行為研修修了者の資格も取得

B課程の方が学習内容が広範で、取得後の業務範囲も拡大する。

Step 4: 認定審査(教育課程修了後)

教育課程を修了したら、日本看護協会の認定審査を受験する。筆記試験と書類審査による評価で、合格率は約95パーセント。教育課程をきちんと修了していれば、ほぼ合格できる水準だ。

Step 5: 認定登録

合格後、日本看護協会への登録手続きを経て、正式に認定看護師を名乗ることができる。

取得にかかる費用の全体像

ここからが多くの方が知りたい本題、費用の話だ。

教育課程の受講料

A課程: 70万〜120万円 B課程: 100万〜180万円

機関によって差がある。日本看護協会の認定機関は比較的高めで、各都道府県看護協会の課程はやや安い傾向にある。

認定審査料

認定審査受験料: 5万円 認定料: 5万円 合計: 10万円

教材費・実習費

教科書代、実習用品代、参考書代として5万〜15万円。教育課程によっては教材費が受講料に含まれている場合もある。

生活費・移動費(地域差大)

教育課程は東京・神戸・大阪などの都市部に集中している。地方在住者が受講する場合、宿泊費・交通費が大きな負担となる。

短期賃貸物件を借りる場合: 月8万〜15万円 × 6〜12か月 ウィークリーマンション: 月15万〜25万円 通学が可能な距離なら宿泊費はゼロ

機会費用(収入減)

教育課程期間中は通常の勤務ができない。完全に休職する場合、月収32万円の看護師なら、6か月で約190万円、1年で約380万円の収入減となる。

費用の合計試算

ケースA: 通学可能、A課程、勤務先の補助あり

  • 受講料: 100万円(うち補助50万円、自己負担50万円)
  • 審査料: 10万円
  • 教材費: 8万円
  • 機会費用: 給与継続支給で実質ゼロ
  • 自己負担合計: 約70万円

ケースB: 地方在住、B課程、自己負担

  • 受講料: 150万円
  • 審査料: 10万円
  • 教材費: 12万円
  • 宿泊費: 80万円(月8万円 × 10か月)
  • 移動費: 20万円
  • 機会費用: 380万円(完全休職)
  • 自己負担合計: 約650万円

ケースA と ケースB では、自己負担額に10倍近い差が生まれる。所属病院の支援制度の有無が決定的に重要となる。

利用できる支援制度

幸い、認定看護師取得を支援する制度は複数存在する。一つひとつ確認していきたい。

1. 勤務先病院の奨学金制度

最も多くの認定看護師が活用しているのが、勤務先の奨学金制度だ。大規模病院の多くが設けている。

典型的な制度内容

  • 受講料の全額または半額補助
  • 教育課程期間中の給与継続支給
  • 取得後3〜5年間の勤続を条件に返還免除

注意点

  • 早期退職時には全額または一部返還義務
  • 病院の指定する分野での勤務が条件
  • 取得後の異動・転勤を受け入れる必要

入職前の段階から「認定看護師取得を視野に入れている」と意思表示しておくと、奨学金制度の利用がスムーズになる。

2. 日本看護協会の奨学金

日本看護協会は、認定看護師教育課程受講者向けの奨学金制度を運営している。

奨学金の概要

  • 月額10万円程度
  • 教育課程期間中の貸与
  • 修了後、認定看護師として一定期間勤務すれば返還免除

毎年募集枠が限られており、競争率は高い。早めの情報収集と申請が必要だ。

3. 都道府県看護協会の支援

各都道府県の看護協会が独自の支援制度を設けている場合がある。

例:

  • 東京都看護協会: 認定看護師教育課程奨学金
  • 大阪府看護協会: 認定看護師資格取得支援助成金
  • 神奈川県看護協会: 認定看護師教育受講奨学金

地域によって制度が異なるため、所属する都道府県看護協会のウェブサイトで確認することが重要だ。

4. 教育訓練給付制度

雇用保険の被保険者が利用できる国の制度だ。認定看護師教育課程の一部は対象となっている。

専門実践教育訓練給付

  • 受講料の最大70パーセントを給付
  • 上限年間56万円、最長3年間
  • 受講前の事前手続きが必須

申請には所定の手続きが必要で、ハローワークでの相談から始めることになる。

5. 日本政策金融公庫の教育ローン

公的な金融機関による教育ローンを認定看護師取得に活用することも可能だ。

  • 上限350万円
  • 金利2.5パーセント前後
  • 据え置き期間あり

通常の教育ローンより条件が良いため、奨学金で不足する分を借り入れる選択肢として検討に値する。

6. 国立大学法人の独自制度

国立大学病院や独立行政法人傘下の病院では、独自の支援制度を持つ場合がある。

例:

  • 国立国際医療研究センター
  • 国立循環器病研究センター
  • 各国立大学病院

こうした施設で勤務することで、有利な支援を受けられる可能性がある。

経営者視点で見る投資回収

私が経営する訪問看護ステーションでも、過去5年で3名の看護師を認定看護師教育課程に送り出してきた。

実際の投資金額と回収を冷静に計算すると以下のようになる。

スタッフAの例(緩和ケア認定看護師)

当社の負担

  • 受講料補助: 60万円(150万円のうち)
  • 給与の継続支給(休職期間1年): 380万円
  • 合計投資額: 440万円

取得後の貢献

  • 資格手当: 月3万円(当社負担増)
  • 緩和ケア対応可能利用者の増加: 月20万円の収益増
  • 機能強化型加算の取得要件達成: 月50万円の加算
  • 計年間: 840万円の収益貢献

投資440万円に対して、年間840万円の収益貢献。返還免除条件の3年間で2,500万円超の貢献となる計算だ。

スタッフ個人にとっても、月3万円の手当に加えて、専門性を活かしたキャリア構築につながっており、双方にとってメリットのある投資となっている。

取得後のキャリア展開

認定看護師資格は、取得後のキャリアにも複数の選択肢を生む。

院内コンサルテーション役

所属病院・施設で、その分野のエキスパートとして他スタッフへの指導・相談業務を担う。

専門看護師へのステップアップ

認定看護師の経験をベースに、大学院修士課程に進学して専門看護師を目指す道もある。

教育機関での講師

経験を積めば、認定看護師教育課程の講師、看護学生への教育職など、教育畑への転身が可能になる。

独立・起業

訪問看護ステーション開業時に、認定看護師の存在は機能強化型の要件となる。専門性を看板にした事業展開が可能だ。

講演・執筆活動

学会発表、書籍執筆、医療メディアへの寄稿など、専門家としての発信活動が広がる。

取得を検討する際の判断基準

最後に、認定看護師取得を検討する際の現実的な判断基準を示す。

取得を強くおすすめできるケース

  • 28〜35歳で、当該分野の経験が3年以上ある
  • 勤務先の奨学金制度を利用できる
  • 取得後10年以上のキャリア継続意欲がある
  • その分野での専門性を深めたい強い意欲がある

慎重に検討すべきケース

  • 40代後半以降での取得
  • 完全自費負担での取得
  • 短期離職を予定している
  • 「給料アップのため」だけが動機

経済合理性だけでは判断しきれない要素が多い資格だ。専門職としての誇り、キャリアの長期戦略、業務内容への興味——これらを総合的に勘案して判断していただきたい。

まとめ

認定看護師の資格取得には100万〜200万円の費用と6か月〜1年の時間が必要となる。一見大きな投資に見えるが、勤務先の奨学金制度、日本看護協会の支援、教育訓練給付制度などを活用すれば、自己負担を大幅に圧縮できる。

経営者として、看護師の認定資格取得への投資は、業務の質と経営の質の両方を引き上げる施策である。教育課程に挑戦する看護師、それを支援する経営者、双方にとって、認定看護師制度はキャリアと事業の両方を発展させる仕組みといえる。

取得を検討されている方は、まず勤務先の支援制度を確認し、自身のキャリアプランと照らし合わせて判断していただきたい。

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