訪問看護は「病棟より楽」と言われることがある。しかし実際に働いてみると、病棟とは違った種類のつらさがある。ここでは現場で「もう無理」と感じやすい4つの瞬間と、ベテラン訪問看護師がどう乗り越えているかをまとめた。
訪問先で意識障害や呼吸停止に遭遇すると、一瞬で血の気が引く。病棟なら応援ナースコールを押せば10秒で人が来るが、訪問では自分一人だ。
乗り越え方のひとつは、事前のシミュレーション。「この利用者が急変したら何から動くか」を訪問前に頭で反復しておくと、実際の場面で体が動く。ベテランほど、この訪問前シミュレーションを欠かさない。
訪問看護の現場では、家族の介護疲れやケア方針の対立が日常的に発生する。「もっと頻繁に来てほしい」という要望と、加算ルールの板挟みになることも多い。
この場合、一人で抱え込まず管理者やケアマネジャーに早期共有するのが鉄則。第三者が入るだけで関係が整理されることは多い。
1週間で2人、3人と看取りが続くと、共感疲労が蓄積する。特に若手看護師は「もっと何かできたのでは」と自責に陥りやすい。
多くの先輩が実践しているのは、退勤後に気持ちを切り替える習慣。運動、入浴、家族との食事など、意識して「仕事モード」を終わらせる時間を作る。
オンコール明けの疲労は病棟夜勤とは違う独特のつらさがある。出動はなくても、電話が鳴るかもしれないという緊張感で深く眠れない。
対策は、同僚との出動記録共有と、管理者への率直な相談だ。負担が特定の人に偏っているステーションは多く、声を上げないと改善されない。
訪問看護のつらさは、病棟と違って「見えにくい」のが特徴だ。一人で抱えず、チームや管理者に早く共有することが、長く働くための最大のコツといえる。